1回・・・2回・・・3回とコール音が続くばかりで、香苗は電話に出てくれない。
「無駄ですよ、先ほど『あっち』へ落としてきましたからねぇ。」
もう一度、かけ直す。
「香苗・・・頼む・・・」
また、コール音がなるだけだった。
「じゃあ、ホントに・・・香苗は・・・」
膝から、力が抜ける。
「主殿!?」
エリーが隣で何かを言っている。
「エリー・・・香苗はもういないのか?」
「違う!!奴の口車に乗るな!!」
「じゃあ、なんで連絡しても・・・」
「先輩!!」
鞄の中から、人形が出てくる。
「千夏・・・?」
「あれ?まだ生きてたんだ?」
「えぇ、私は戻らないといけませんから。」
千夏は俺と怪異の間に立つ。
「エルスさん!!」
千夏の隣に白銀の甲冑が現れる。
「ふむ、随分小さくなりましたな。千夏殿。」
「今、この場でふざけてる場合じゃないかと・・・」
エルスは静かに剣を構える。
「アハハハハ!!今更あがいたってあの女はもう怪異食われてるか変わられてるよ!!」
怪異は携帯を取り出し、電話をかける。
・・・だが、その時だった。
「・・・お前は誰だ!?女は生きてるだと!?」
怪異の驚きの声を聞いて、俺は我に帰った。
何かがおかしい?
「主殿!?」
「生きてる・・・?」
怪異はこちらを目を見開き見てくる。
「香苗が生きてるのか・・・?」