数時間前・・・
私は昼休みに千夏ちゃんに呼び出されていた。
どうやら、直樹のことでかなり重要な話らしい。
さては、あいつ千夏ちゃんが可愛いからって手でも出したか?
「千夏ちゃんいる?」
呼び出された部屋に入ると、そこには誰もいなかった。
「あれ?時間間違えたかな?」
少し進むと何かが足に引っかかった。
何かが足を掴んでる。
「ヒッ!?」
足元をみると、黒い軟体生物みたいな物が右足に絡みついていた。
「な、なに!?なんなのよ!!」
右足から両足へ、私はバランスを崩し倒れる。
「いった・・・」
さらに、手に絡みつく。
「ちょ、ちょっと!?」
洒落になってないって!?
「やっほ、先輩?」
声の方を向くと千夏ちゃんがそこに立っていた。
「千夏ちゃん?」
「ホントに来てくれるなんて嬉しいですよ。」
いや、違う千夏ちゃんとは付き合いはまだ短いけどこんな汚い笑い方をするはずがない。
「あなた、誰?」
「嫌だな〜、私は私ですよ〜。あなたの事が死ぬほど嫌いな『雨宮 千夏』です。」
「違う!!千夏ちゃんはそんな笑い方しない!!」
千夏ちゃんじゃない誰かは鋭い目つきで見てくる。
「ま、いいんだよね。そんなことは。」
黒い何かが口を塞いでくる。
「私ね、直樹先輩に呼び出されてるんだ。大事な話があるってさ。」
直樹!?
「うん、だからこれからの為にも先輩は邪魔なの。」
体が沈み始める、ここフローリングのはずじゃ・・・
「だからね、招待してあげるよ。せっかくだから楽しんできてね・・・『私達』の世界を。」
腕も足も押さえつけられたまま、私の体は闇に沈んで行く。
やがて、光がなくなり・・・