小説『男女戦争』
作者:UMA.m()

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警察だ・・・・・。

新はその瞬間、膝がガクガクと震えだした。
口もガタガタと震えている。



外の警官が、
「出て来い!!!
貴様は女性を支持したとして逮捕状が出ている!!!すみやかに出て来い!!!」



ばかげた話だ。
女性の話をしただけで逮捕とは・・・・・。

警官のノックが激しくなった。
チャイムもこれでもかというぐらい鳴らされた。

新はブルブルと震えながら立ち尽くしていた。
頭から汗が滝のように流れる。

「出てこないなら強行突破する!!!!!」

その言葉を聞いた瞬間、新は我に返り、WWWのコメントを思い出した。

逃げる。
逃げる。
逃げる・・・・・。

新はバッと玄関から逃げるように走り、寝室のベランダに出た。
マンションの5階に住んでいた新は、近くにあった一階から伸びるパイプを見た。
これをつたえば一階に降りられる!!!

その時の新は、高さの恐怖よりも捕まる恐怖の方が勝っており、
高さをなんとも思わずパイプに手を差し伸べた。

その瞬間、玄関の方からドーーーーーン!!!と物凄い音がした。
多分扉が壊されたのだろう。
「出て来い!!!」と、警察の声が近づいてくる。

新はパイプに足もかけ、そのままゆっくりと下に降りていった。

4階まで降りた時、自分の出て来たベランダから警官の顔が出て来た。
「あそこだ!!!あそこにいる!!!」
その警官が言うと、数人の警官も顔を出してきた。
「くそう!!!逃げられるぞ!!!!!」
一人の警官が叫ぶと、警官達は顔を引っ込めどこかへ走っていった。
1階で待ち伏せするつもりだろう。
そうされてたまるか!と、新はスルスルとパイプを降りた。



何とか警察が来る前に・・・・・
といってもギリギリだった。
自分が降りた時、既に警官はマンションの外に出ており、こちらに向かって「あそこだ!!!」と叫んで走ってきていた。
新はバッと、警官と正反対の方角に必死に走った。

新は、「ハァハァ」と、今にもとまりそうな息を出しながら走り続けた。
後ろからは数人の警官が追いかけてきている。
両者、一歩も譲らず、一定の距離を保ち走った。

「待て!!!とまれ!!!」
警官の怒声が朝の住宅街に響く。
何事かと、通学中の学生、出勤中のサラリーマンが振り向く。

そんなものお構いなしに、新は走って、走って、走り続けた。
捕まってたまるか!!!
安江に会うまでは!!!
ハルカに会うまでは!!!
涼に会うまでは!!!
安江に会ったらまずは強く抱きしめて、すでに生まれているであろう赤ちゃんも抱いてやる!!!
血は繋がってないが、れっきとしたうちの家族だ!!!
そして、またみんなでテーブルを囲んで晩ご飯を食べるんだ!!!
安江の手作りの料理を!!!コンビニ弁当とは比べ物にならない位美味しい料理を!!!

そんな事を考えながら走る内に、新の目からはボロボロと涙が溢れた。
昔の楽しかった日々。明るかった家庭・・・・・。
それが走馬灯のように脳裏に浮かんだのだ。

捕まってたまるか!!!
捕まってたまるか!!!
捕まってたまるか!!!

新は何回も何回も頭の中でそう考えながら走った。

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