小説『男女戦争』
作者:UMA.m()

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体操服に着替えさせられた男達は別の部屋に連れてこられ、そこで身体測定をさせられた。
新は高校の時野球をしていたのもあいまって、体つきは中々だった。
加藤もそれなりの体つきだったが、一体この身体測定、何の意味があるのか。

身体測定が終わり、次に男達が集められたのは、人工芝の広がるグランド。
刑務所にこんな所があるとは凄いが、一体何が始まるというのか・・・・・。

そして、そこで男達は、一日中運動をさせられた。
全力でグランドを走らされたり、
腹筋、腕立てを100回ずつなど、どれも過酷なものばかりだった。
その光景を数人の軍服を着た兵士がメモに何かを書き込みながら監視している。
怠ける訳にはいかない。そういう事だろう。





日も沈み、グランドがオレンジ色に染まった頃、
やっと過酷な“運動会”は終わった。

新は、どうにかここまで耐え抜いたなと自分でも驚く。
聞くに耐えない音を漏らしながら息をする新。
そこで、懐かしいあの男が口を開いた。大崎だ。

「よくここまで耐え抜いた。だが安堵もしていられないぞ。お前達!横に一列に並べ!!」
男達は速やかに横一列に並んだ。新と加藤も一緒に並んだ。

「お前達に今からカードを配る。大切な物だからちゃんと持っているんだぞ。」
そう言うと、大崎はさっきまで監視の兵隊が何かを書きとめていたメモを見ながら、端にいる男から順番に一枚のカードを配り出した。
黄色のカード・・・・・
いや、赤いカードもある。一体これにはどういう意味が隠されているんだ?

大崎はとうとう新の目の前にやってきた。
新には赤いカードが渡された。加藤も同じく赤だった。

そして、大崎は全員に配り終えるとこう言った。

「では、今配ったカードを持ったまま、あそこにいる仕分班の兵隊の所に行け。」

仕分班?
俺達は今から仕分されるのか。
多分、赤のカードと黄色のカードで分けられるのだろうが、何故そんな事をする必要があるのか。
訳の分からないまま、新達はその“仕分班”とやらの兵隊の所に行った。

このカード、まるでサッカーのレッドカードとイエローカードのようだ。
サッカーのルールにのっとるなら、イエローよりレッドの方が悪かった気がするが・・・・・。
悪い予感しかしない。

その兵隊に渋々カードを掲げると、その兵隊は、「あそこに停まっているバスに乗るんだ。」と、軍事用のバスを指さした。
加藤も同じくバスをさされ、二人はそのバスに乗り込んだ。

「一体・・・・・、僕達どうなっちゃうんですかね・・・・・。」加藤が落ち込み気味に口を開いた。
新もただうなずく事しか出来なかった。
バスにぞろぞろと他の男達も乗り込んできた。
どうやら全員レッドカードの男達みたいだ。
反対に、イエローカードの男達はというと、
別の兵隊に連れられて、刑務所の建物の中に戻っていく。

バスに大崎も乗ってきた。
「では、改めて、今後君達の世話役をする、大崎だ。よろしく。詳しい説明は海についてからだ。」
大崎はびしっと敬礼をすると、運転席に座った。それと同時にバスが動き出す。

海?
今から海に行くのか・・・・・。
一体そこには何が待っているんだ。
俺達はどうなってしまうんだ。
新・・・いや、男達全員は不安や恐怖で一斉に溜め息を吐いた。

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