さて、
バスに乗り込んで何時間経っただろうか・・・・・。
バス内は一切の光は黒いカーテンで遮断されていて、薄暗くなっていた。
バスはトイレ休憩、食事の時以外にはずっと走り続けていた。
一体どこまで俺達を付き合わせる気なのか。
新はイライラしてきた。
加藤がすぐ近くにいたにも関わらず、新は口を開かなかった。
新だけじゃない。他の男達も重く閉じた口を開く者はおらず、ずっと俯いているままだった。
それからまた数時間が経過し、やっとバスは目的地に着いたようだった。
ずっと運転をしていた大崎が口を開いた。
「着いたぞ。みんな降りるんだ。」
やっとかと、溜め息を吐きながら一人一人がバスから降りていく。
新もバスから降り、目の前の光景に唖然とする。
どこまでも続く海が広がっていた。
水平線がくっきり見える。
空は真っ暗な夜。星が綺麗に輝いている。
この場所は、一体どこなのか・・・・・。
「青森だ。」
大崎が口を開いた。
はっ?今なんて?
「今からそこに停まっている船に乗り込む。そこで詳しく状況を話してやる。」
大崎が指さした方には戦艦が数台停まっていた。
こんな近くで見たのは初めてだ。迫力が凄かった。
もしかしたら俺達はとんでもない事に巻き込まれてしまったのかもしれないと、新は再び思うのだった。