小説『男女戦争』
作者:UMA.m()

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第1章 理由





それは、さかのぼる事2100年の話。
まだ日本が男女平等に暮らしていた頃、
日本は少子化に酷く悩まされており、経済的にも大変不利な状況にさらされていた。
国会は、審議に審議を重ね、ある法律を制定した。
「多子化法」だ。
内容は、
16歳になった女性は、5年経つまでに子供を最低3人以上産まなくてはならない。

もし産めなかったら、強制的に「受精センター」通称「子作りの館」で3人以上子供が生まれるまで人口受精をさせられるといったものだった。
勿論、多くの女性はその法案に反対したが、時すでに遅し。
早速、各都道府県で、「子作りの館」は建築された。



まるで、女性には人権がないようだ。



女性同士が結束し、毎日のようにデモが各国で起きたが、
国は動かなかった。
こうするしか方法がないのだ。

ネット上では、「女性人権尊重団体」通称「JJSD」というチームが結成される程だった。
アクセス数はあっという間に何千万となった。全て女性だというのは言うまでもない。



それまではまだ良かったのかも知れない。
その法案が制定されてから5年、ある事件が発生した。



深夜、女性が仕事から帰宅途中、一人の男にいきなり羽交い絞めにされ、性的暴行を受けたあげく、子供を授かってしまったという事件だ。

すぐさま、被害者の女性とその親族は裁判をおこした。
誰もが刑罰を願った。と同時に、勝ちを確信していた。
しかし、なんと、加害者側は無罪放免となったのだ。

男性は今、日本国に必要な“子供”を授けたとし、社会に貢献したという事で無罪になったのだ。
その裁判は全放送局で生中継され、日本女性は愕然とした。



その事件があった次の日から、
女性に性的暴行を行う悪質な事件が全国で多発したが、誰一人、有罪にはならなかった。
「JJSD」によるデモも、もはや“暴動”だった。
しかし、国はピクリとも動こうとせず、反対に次々と女性を見下した法律が作られた。

例えば、「女性は仕事をしてはいけない」という案だ。
女性は、自分の子供を育てる義務があるとして、子供を育てる事に専念しろという意味だ。

早速、全国の働く女性はクビにされ、働くのは男性だけとなった。



女性を女性と思わない法律に対し、「JJSD」を先頭に、ネットや各地で集会が行われ、
それにより、全国の女性同士の団結が深まっていった。





そして・・・・・



除々に女性は男性を避けるようになった。

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