小説『男女戦争』
作者:UMA.m()

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「おいお前ら。分かってんなら返事くらいしたらどうなんだ!?あぁ!?」池田は言うと、食事のテーブルを思いっきり蹴った。それでもCチームは全員黙っている。
「ほぉ。全員揃って俺にたてつこうってのか?良い度胸じゃねぇか。あんなクソみてーな女共を捨てきれず、うじ虫みてぇーにウニウニしやがって!!お前らそれでも男か!?女なんかなぁ。所詮、別の生き物なんだよ!!最初から男と女が吊り合う訳なかったんだよ!!」そう池田が言い放った瞬間、加藤が耐え切れなかったのか、いきなりバン!と、机を思いっきり叩き、池田の所まで恐ろしい形相で近づいた。
そして、池田の胸ぐらを思いっきり掴んだ。

「それぐらいにしとけよ!!女性をなんだと思ってる!!俺達Cチームには居るべき家族を無理矢理引き離された奴ばかりなんだ。お前らに何が分かる!!家族と・・・・・家族と一緒にいたいと思って何が悪いんだよ!!!」加藤は泣きながら叫んだ。心からの叫びだった。
それに同意するかのように、他のCチームの男達も泣き出した。

新も、両手を強く握り、下を向いて涙をこらえた。

「お前・・・・・!!離せ!!」池田はもがくが、加藤の力は相当強かった。
AチームBチームからは喧嘩をあおるように、いけー!そこだー!と声が響く。

「こいつ・・・・・!!」池田はおもむろに腰から何かを取り出した。
「加藤さん!!危ない!!」何かを察した新が叫んだが、もう遅かった。





パン





乾いた音が食堂に響いた。
新は目を疑った。

加藤はその場にうずくまり、「うぅ・・・」と声を漏らす。
そしてそれを見据える池田の片手には煙を出すピストル。

「加藤さん!!!」新は急いで駆けつけた。
加藤からはおびただしい血が流れていた。撃ちどころが悪かったらしい。
「くふっ・・・・・。僕とした事が・・・・・、つい頭に血が上って・・・・・。」加藤は苦しそうに言う。
「そんな!!そんな・・・・・、こんな事で・・・・・!!」新は半狂乱になりながら叫んで泣いた。

救急車・・・・・!!

新は周りを見渡し、救護を要請しようとした。
そして、丁度大崎が目についた。

それを見た瞬間、新は愕然とした。

大崎は椅子に座って一部始終を見ていたようだが、こちらを見ながら不気味な笑みを見せている。



ダメだ。
ここには頼れる人物なんかいない。
女性を支持しただけで自分達まで人間扱いされなくなるなんて・・・・・。
なんて皮肉なんだ・・・・・。

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