小説『男女戦争』
作者:UMA.m()

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その頃、西田は人ごみを走っていた。
まだ見た所、女性軍はいない。
俺がやらないと逆にやられてしまう。
もう迷いはない・・・・・だが・・・・・。

新の目の前では強気な表情を見せていたが、実際は怖くて仕方がなかった。
死にたくない。
妹と会うまでは死んでも死に切れない。
絶対、妹と会うんだ!!こんな所で死んでたまるかっ!!!

妹の事を考えて走っていたので気付かなかったが、
地面には数え切れない程の死体が転がっていた。
さっきまで緑で綺麗だった草原が、真っ赤に染まっていた。
周りからは耳が痛くなる程の爆音が響いた。

すると、目の前に3人の女性が現れた。
こいつらも、無理矢理兵士にされた、男女決別令の被害者なのだろう。

だが、そう同情の目を向けている場合じゃない。
女3人は西田を見つけると、すぐに銃口をこちらに向けてきた。
西田もとっさに構えた。

次の瞬間、西田はババババと銃を連射した。
一気に倒れる3人。
だてに5年間、サバゲーにハマってない。

だが、西田は罪悪感でいっぱいになった。
すまん。すまんと心の中で連呼する。
だが、撃つしかない。多子化法が制定されてから女性は男性を目の敵にしている。
相手は躊躇なく撃ってくるだろう。
こんな所で死んでいられないんだ。撃つしかないんだ。
西田は自分に言い聞かせ、少しでも罪悪感を無くそうとした。

その時、またも女性兵士が姿を現した。
西田は構える。だが、相手が悪かった。かなりの手慣れだ。
女の撃った弾が西田の足に一発直撃した。
「ぐっ!!!」西田もとっさに乱射した。弾は女の胸に3〜4発命中、女は血を噴き出し倒れた。
と、同時に西田も膝をついてしまった。

「くっ・・・・・。」
足から血が溢れる。痛い・・・・・痛い・・・・・。
くそっ・・・・・こんな所で止まっていたら、いつ撃たれるか分からない。
そう考えていると、なんと運が悪いのか、また女が現れた。

「くそっ!!立て!立てよ!!」西田は自分の足に問いかけるが、足は全く言う事を聞かない。
女はこちらに気付き、迫ってくる。
ヤバい!!!
女は西田の目の前で立ち止まり、銃を西田の額に当てた。

「じゃあね。」女は微笑みながら言った。

こ、殺される!!!
そう思った瞬間、パン!と音が響いた。





女は倒れた。
西田に血が飛び散る。
「た、助かった・・・・・?」西田は安堵する。
すると、一人の男が銃を構えていた。こ、こいつは・・・・・!!

「女に足をやられるとはな。なんとも情けない奴だ。お前はもう男性軍の邪魔だ。そこでずっと死ぬのを待ってるんだな。」男はそう言ってどこかに行ってしまった。

あれは加藤っちを殺した奴じゃないか!!
西田は命を助けられた事など関係なしに、憎悪の気持ちが湧いてきた。
こいつが加藤っちを・・・・・!!!
西田は銃を強く握りしめた。そして、そんな奴に助けられた自分が情けなくなり泣いた。

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