小説『男女戦争』
作者:UMA.m()

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その頃、新は今だに動けずにいた。
「動けよ・・・・・動けよ・・・・・」
人を殺してしまった罪悪感で押し潰されていた。
それはCチームのほとんどがそうだろう。

罪悪感もそうだが、とにかく怖い。
さっきの銃弾が1cmでもずれていたらと思うと背筋が凍る。
ここで立ち上がったら、今度こそ銃弾が直撃しそうで怖くてたまらなかった。

「何で立たないんだよ・・・・・!!」
新は恐怖に陥っていた。





西田は足を撃たれ、這いずりながら必死に人ごみから抜け出そうとしていた。
何回か流れ弾が西田を素通りしたが、西田は必死に這った。
「ぐっ・・・・・!!」
痛みは薄れてきたが、当分立てそうになかった。

周りは必死になって戦っている。
と、次の瞬間!
「うわっ!!!」
西田の目の前に女が仰向けで倒れてきた。まだ息をしている。
見ると、胸に一発くらったようだ。
西田はその女を見据える。
かすかに「助けて・・・・・」と声がした。
「あんた・・・・・まだ生きてるのか・・・・・?」西田は話かける。が、返事はない。
「あんたは、家族はいるのか?寂しくないのか?」虫の息の女が喋れるはずがなかった。
「た・・・・・すけ・・・・・て・・・・・。」かすれた声で女は連呼する。その痛々しい姿に西田は目を背けた。
その時、この女を撃ったであろう男がいきなり女に馬乗りになった。
「へへへ・・・・・。女なんかなぁ、もっと苦しめて殺してやるよ。へへへ。」男は狂っていた。真っ赤に目を充血させ、まるで獣だった。
男は腰からサバイバルナイフを取り出し、女に何度も何度も突きつけた。
血が飛び散る。女はうめき声を上げた。
それを見た西田は吐きそうになった。
男に狂気を感じた西田は急いでその場から這って去った。

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