小説『男女戦争』
作者:UMA.m()

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第12話 戦闘1日目終了





怖い
怖い
怖い・・・・・。



ん?



さっきまで周りで聞こえていた爆音が聞こえなくなっていた。
男、女の叫び声、奇声、断末魔も聞こえなくなっていた。

新はゆっくり顔を起こした。

周りには誰もいない。
あるのは死体。あちらこちら煙も上がっている。
生きてるものはいなかった。

「・・・・・ん?何があったんだ?もう終わったのか?」
新の願いが叶ったのか、辺りは静寂に包まれていた。



その頃西田はというと、近くにあった小さな森の木の下にもたれかかり休息をとっていた。
足に包帯をグルグル巻いた、簡単な処置。
足をさすりながら苦痛に耐えている。
そういえば、辺りが静かになった。
西田は痛みを我慢し立ち上がる。
と、その時、偶然にも新が目に入った。
動いている。生きていたんだ。
西田は安堵する。足を引きずりながら新に近づく。

新は今だに立ち上がれないでいた。
今の状況が把握出来ていなかった。
その時、向こうから近づいてくる人影にとっさに反応した。
新は素早く銃を向けた。

「うわっ!!ちょっと待って!!俺だよ!!」そいつは慌てて手を振る。

西田だ。
生きてたんだな。新もホッと一息ついた。
だが、足を怪我しているようだ。
「だ、大丈夫ですか。」新は心配した。
「大丈夫。大丈夫。こんぐらい。それよりも、みんなどこ行っちまったのかな・・・・・。まさか全滅?」
いや、それはないと、新はすぐ否定した。
男性軍だけでも何千人もいるんだ。どう見ても死体の数と合わないのは明らかだった。
「じゃあ、どこに・・・・・?」西田は問うた。
「多分、戦艦の方に撤退したんじゃないのかな・・・・・。俺、ずっと地面に伏せて震えてたからさ・・・・・。何も分からなかった。」新は情けなさそうにいう。
「俺も、足やられてから動けなくなってな、休んでて・・・・・足の痛みを我慢するのに精一杯だった。」西田も恥ずかしそうにいう。

新は自分が情けなくなった。
西田は怪我をして頑張っているのに・・・・・。
俺は猫みたいに丸くなっていただけじゃないか。

とにもかくにも、二人は戦艦に向け歩き出した。

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