そして夜。
池田の部屋に帰るのはしゃくなので、一人、戦艦の船首の柵に手をつき、夜空を眺めながらたそがれていた。
「この星空をどこかで、ハルカや安江、涼も見てるんだろうか・・・とか、詩人的な事を言ってみたりして・・・・・。」
その時、後ろから人の気配がした。
西田だ。
「あれ?友田っちもここに来てたの?何かここ落ち着くよな。潮風と静けさで・・・・・」
西田はそう言いながら、新の横で柵にもたれかかった。
「俺さぁ、明日の戦争が終わったら、女性国行って妹助けるわ。」
西田がふいにそう言った。
「どうやって女性国に乗り込むんです?」新が聞くと、
「さぁ・・・。まぁ、何とかなるでしょ。」そう西田は言ってヘラヘラと笑った。
呑気な・・・・・。女性国に乗り込むなんて不可能に決まってる。
どうやって妹を助けるというんだ・・・・・。
だが、新はあえてそれを言わなかった。
西田の言葉に、ただ新は笑った。
「はぁ・・・・・。いい夜空だなぁ・・・・・。」
西田はそう言うと夜空を眺めたまま黙りきってしまった。
西田は無理に明るくしているが、こいつも結構疲れがきてるんだろうな。
妹を連れていかれ、父親は死に、自分は兵士として駆り出されている・・・・・。
西田に頼ってばかりじゃいけないな。
俺もちゃんとしないと。
新は心の中でそう感じながら、
「ほんとにいい夜空だ・・・・・。」そう言って黙った。