小説『男女戦争』
作者:UMA.m()

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第16章 最後の日





男女戦争最終日、男達はこれまでにない覇気を醸し出していた。
丘の上に見える女性軍を見つめる。

新も西田も、今日はいつもと少し違った。

今日が最後。
今日を切り抜ければ殺し合いは終わる。
もう、誰も傷つけないで済むんだ。

手に持っているライフルにグッと力が入る。
それは西田も同じだった。

「友田っち。今日までありがとな。」不意に西田が言った。
「ど、どういう意味ですか。冗談でも笑えないですよ。」新は不服そうに言った。
「いや、なんとなくさ、今日は胸騒ぎがするんだ。最後の日ってのもあるんだろうけど。」西田は頭を掻きながら言った。
胸騒ぎは俺も昨日からしてる。
西田も自分と同じだったのか・・・・・。

空砲班が空にバズーカを向ける。



これが最後。
これが最後。
これが最後。

そう心の中で連呼し目をつむる。
閉じたまぶたに家族の笑顔が映る。
それを見て、新は再び気合を入れた。
家族に会う為には、ここで死ぬ訳にはいかない。
隣の西田だって同じ考えのはずだ。
彼も大切な妹を思っているはずだ。
お互い、ここで犬死になんて考えたくない。
もう数日間ここで生き残ったんだ。
辛く苦しい毎日を我慢してきた。
今日で最後。今までの命、ここで絶やす訳にはいかない。
生き抜いて生き抜いて生き抜いてやる!!





ドーーーーーン!!!!!





空砲が鳴った。
とうとう最後の男女戦争が幕を開けた。





男女戦争 最終日スタート




今日は最後とあってか、男性軍全勢力が駆り出された。
戦車も今まで以上に発進していた。

そしてまもなく、あちこちから銃声、爆音が響き出す。

新は戦車の横につき、並行して進んだ。
西田は周りに紛れて見失ってしまった。無事だといいが・・・・・

すると、目の前に女性兵が5人現れた。
新はすぐに戦車の後ろに周り、そこから銃を発砲した。
一人が倒れる。
「むっ!?そこだ!!」
女性兵の一人が気づき、それに合わせて残り四人の女もこちらに発砲してきた。
戦車の後ろに隠れる。
そして撃つを繰り返した。
見事、全員を倒す事が出来た。
早五人を撃ち殺した新だが、もう恐怖や罪悪感を覚えなくなっていた新は改めて自分が怖くなった。
俺もおかしくなってる。周りの男共と大差ないな。
そう思いながらも新は機敏に辺りを警戒した。

「RPGだ!!!逃げろ!!!」
そんな声が聞こえた。新は慌てて周りを見渡した。女性兵の一人がこちらにロケットランチャーを構えていた。新はすぐに戦車から離れた。次の瞬間、

ドーーーーーーーーーーン!!!!!

放たれたロケット弾は、戦車に命中。
完全に戦車を破壊してしまった。
爆風で新は吹き飛ばされる。
咄嗟に起き上がり、ロケットランチャーを放った女に新は発砲した。
見事命中。

「くそっ!!ロケットランチャー一発で戦車を破壊するだとっ!?なんて武器を持ってるんだ女共は!?」
Aチームであろう兵士が、驚いた声を上げた。
新は軍事の事などよく知らないが、女性国はかなり進んだ軍事力を保有しているらしい。
焦りながらも、新は再び進軍した。

再び目の前に女性兵士が現れた。今度は十人。
新は咄嗟に手榴弾を投げた。
そして伏せる。直後、爆発。
一気に十人を片付けた。
「よし・・・・・。」
新は起き上がり再び動き出す。

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