鼻歌交じりに適当に歩いていると、住宅街に出てきた。
よく住宅街には商店街が近いことが多い。カリンは目を輝かせた。
老若男女が楽しそうにしている。
「あらあら。見かけない子だね。どこから来たの?」
時にはカリンに話しかけてくる人もいた。いや、話しかけない人のほうが少なかった。
「きれいな髪の毛の色だねェ。ここまで長くするの大変だったんじゃない?よければゴムあげるよ。」
若いお母さんが自分の結っていたゴムをほどいた。
ただのゴムではないような気がした。真っ黒だが、時折きらきらと光っている。
「きれー。はっ。でも、もらえないよ。何か特別な何かがあるんじゃないの?」
「はっはっは。面白いことを言う子だねぇ。普通のゴムさ。ほれ。いっぱいあるからあげるよ。」
普段は髪の毛を結んでいるのだが、突然この世界に飛ばされたらしいので、持ってくる暇もなかった。
「ありがとうございます!」
さっそく髪の毛を上のほうで結んだ。そして、元気にスキップをして去って行った。
飛び上がるたびに青い髪が飛び跳ねる。
「ふふふ。元気だね。元気が一番だよ。」
若いお母さんは腰に手を当てて言った。