小説『異世界旅行券が当たったのでISの世界行ってきます』
作者:読む短刀()

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第31話 赦せない



修司Side
「ふああぁぁ〜。」
「眠そうだね、一夏。」
「まあな、遅くまでケータイを探してたし。」
「一夏ってば、部屋に戻ったらケータイが有ったから、絶句してたよね。」
「そりゃなぁ、山田先生にも遅くまで探すの手伝ってもらったんだから。」
「とゆうか、ケータイに電話すれば早かったろ。」
「昨日シャルルにも同じことを言われたよ。」
「ははは…ねえ、教室が騒がしくない?」
「ほんとだ、何かあったのか?」
教室が騒がしい…ああ、鈴とセシリアが学年別トーナメントで優勝したら一夏と付き合えるって噂を聞いてるところか。
「それは本当ですの!?」
「嘘じゃないでしょうね!!」
「本当だよ!!今度の学年別トーナメントに優勝したら尾上くんか織斑くんと…。」
「俺とシュウがどうしたんだ?」
『うひゃあぁ!?』
「おはよっす。って何だ?」
「よう、啓祐。」
「おう、どしたんだ?」
「さあ?僕達も今来たばかりだから。」
「ふーん。」
「修司くん。」
「ん?美羽?どうした?」
「SHRが終わったら屋上に来て。」
「ああ、わかった。」
「あ、あたしそろそろ教室に戻らないと。」
「さーてわたくしも席に着きませんと。」
あ、女子達が解散した。
「取り敢えず、俺達も席に着くか。」




「はあ!?一夏だけじゃなく俺とも付き合える!?」
SHRが終わり、美羽に呼ばれていたので屋上に来たら、美羽に衝撃の事実を聞かされた。
「うん。何がどうしてそんな風になったかわからないけど、本来なら織斑くん1人の筈が、織斑くんか修司くんのどっちかと付き合えるになってるんだ。」
「マジかよ。」
「だから、注意してね。原作通りならVTシステムによってトーナメントは中止になるけど、私達の存在によってどうなるかわからないし。」
「ああ、わかった。ありがとな、美羽。」
「別にいいよ。…私としても、そんな方法で修司くんと付き合いたくないし。」
「え?何だって?」
途中声が小さくて聞こえなかった。
「な、何でもないよ!!そろそろ戻らないと授業始まるよ!!」
「ああ、そうだな。戻るか。」




「さーて、今日のメニューはどうしようかな?」
放課後になって俺は何時ものようにISの特訓の為に第三アリーナに向かっていた。
「一夏達は先に行ってるしな。」
俺は織斑先生に頼まれて、今度行われる学年別トーナメントに関するプリントを運んでいたから、一夏達に先にアリーナに行ってもらった。
「第三アリーナで専用機持ちが模擬戦してるらしいよ!!」
「!!」
俺はピットに向かって走り出した。




「鳴神!」
俺は第三アリーナのピットにつくと同時に鳴神を展開し、アリーナに出る。
「くっ!!動けない!?」
「所詮敵ではないな。この私と、シュヴァルツェア・レーゲンの前では貴様も有象無象の1人とゆうわけだ。」
ラウラが一夏にレールカノンを向けようとした瞬間。

ズバッ!!

「何!?」
俺はシュヴァルツェア・レーゲンの右肩に搭載されているレールカノンを切り落とした。
「貴様!!邪魔をする気か!!」
「邪魔?」
俺はラウラの方に振り返る。
「ふざけるなよ、この野郎!」

ドガア!!

「ぐは!?」
俺はラウラを思いきり蹴り飛ばす。
「一夏。鈴とセシリアを安全な場所に運んで下がれ。」
「何言ってんだ!!俺も戦う!!」
「邪魔だ、下がってろ。」
「っ!!わ、わかった。」
俺は右手にエクスカリバーを左手にカリバーンを展開しラウラに接近する。

ガキィン!!

「そこまでだ、尾上。」
「修司くん!!落ち着いて!!」
俺がラウラに降り下ろそうとしたカリバーンは美羽の持つビームサーベルと織斑先生の持つ打鉄用近接ブレードに止められた。
「修司くんの怒る気持ちはわかるよ!!けど落ち着いて!!」
「武器を仕舞え、尾上。どうしてもボーデヴィッヒと戦いたければ、今度の学年別トーナメントで決着を着けろ。」
「……わかりました。」
俺は鳴神を解除した。
「ボーデヴィッヒもそれでいいな?」
「教官がそう仰るなら。」
「よし、では今日から学年別トーナメントまで私闘の一切を禁止する!!」




一夏Side
アリーナでの騒動が終わってここは保健室。
「一夏!!修司!!シャルル!!」
「啓祐!!」
ケータイで連絡した啓祐が保健室にやって来た。
「凰とオルコットが怪我したって。」
「なによ上條。あんたまで来たわけ。」
「別に大したことはありませんわ。」
そう言いながらも、鈴とセシリアは身体の各所に包帯を巻いている。
「じゃあ触ってみても?」
「「いいわけありませんわ!!(ないわよ!!)…イタタタタ。」」
「なあ、一夏。いったい何があったんだ?」
「ああ、アイツだ。ラウラ・ボーデヴィッヒだよ。」
「あの銀髪眼帯が?」
「ああ、アイツが鈴とセシリアをここまで痛めつけたんだ。」
「戦闘経緯は何なんだ?」
そういえば聞いてないな。
「そ、それは…。」
「女のプライドを侮辱されたから、ですわね。」
「何だそれ?」
さっぱりわからん。
「2人共好きな人…」
「美羽!!あんたは何言おうとしてんのよ!?」
「美羽さん!!」
天音さんが何か言おうとしたが鈴とセシリアに口を抑えられた。

ガラッ!!バン!!

「ん?おお、シャルル。シュウ。飲み物買って…どうしたんだ?」
飲み物を買いに行っていたシュウとシャルルが戻って来たが、何やら慌てている。
「一夏!!啓祐!!今すぐこの場から逃げるぞ!!」
「「は?」」
逃げる?何で?
「2人共、急いで!!」
「え!?ちょっ、何だよ!?」
「いったいどうしたんだよ修司!?」
「それは…!!」

ドドドドドドドド…!!

「何だ?」
「何かが近付いてきてる?」
「遅かったか。」
次の瞬間。

ドゴーン!!

保健室のドアが吹き飛んだ!?
『尾上くん!!』
『織斑くん!!』
『上條くん!!』
『デュノアくん!!』
保健室のドアを吹き飛ばしたのは異常なまでの女子の集団。てか、多すぎる!!いったい何人いるんだ!?
『『『『これ!!』』』』
そう言って女子達が前に出したのは何かのプリントだ。
「何だこれ?」
啓祐が1枚手に取り内容を読む。
「えーと、「今月開催の学年別トーナメントでは、より実戦的な模擬戦を行うため、ふたり組での参加を必須とする。ペアが出来なければ、抽選でペアを決める。締め切りは…」。」
『そこまででいいから!!取り敢えず!!』
女子達が一斉に手を伸ばしてくる。
こえーよ!!ホラーかよ!!
『一緒に優勝目指そ!!尾上くん!!』
『私と組もう、織斑くん!!』
『私と組むのよ、上條くん!!』
『私と組んで、デュノアくん!!』
取り敢えず、この危機を乗り切るには、そうだ!!同じ男子であるシャルルと組もう。
「皆すまん!!俺は「俺シャルルと組むから一夏か啓祐に言ってくれ。」へ?」
俺がシャルルと組むと言おうとしたら先にシュウに言われた。
「え、修司?」
「別に問題ないだろシャルル。」
「う、うん。いいけど。」
「なら決定。」
『まあ、同じ男子同士なら。』
『他の女子と組まれるよりは。』
『やはり、尾上×デュノア!!』
『じゃあ…。』
「俺と一夏が組む!!」
「俺と啓祐が組む!!」

ガシッ!!

再び迫る危機を察知して俺と啓祐は肩を組みながら女子達に言う。
『織斑×上條!!』
『せっかく男子と距離を縮められると思ったのに。』
ある女子は元気にまたある女子は落ち込みながら保健室を出ていく。
「あ、おーいちょっと待った。」
突然シュウが女子達を呼び止めたぞ。どうしたんだ?
「保健室のドア壊したこと、ちゃんと織斑先生に報告しとけよ。」
それを聞いた瞬間。元気だった女子も落ち込んでいた女子も皆震えながら職員室の方に向かった。




修司Side
「…と言う訳で御座います。美羽さん。」
「ふーん、織斑くんはデュノアくんが女子だって知らず、修司くんがイベントに遭遇したんだ。」
俺は今寮の屋上で正座している。
「は、はい。その通りです。」
目の前にいるのは誰が見ても笑顔な美羽だ。でもな、正面から見たらわかるんだよ。顔は笑ってるけど目が笑ってない。あと後ろに何かが見える。
「まったく…どうしてそんなにフラグをたてるのかな。」
何だろう。小声で言ってたからわからんが聞き返したら駄目だな。
「まあ、デュノアくんの方は今は置いとくけど、今日のアリーナでの事だけど。…もし私と織斑先生が止めてなかったら修司くんどうするつもりだったの?」
「多分、鈴とセシリアみたいにボロボロにしてただろうな。…あの時はどうしても赦せなかったからな。」
「赦せなかったって、それは私もそうだけど。」
「違う。ラウラが赦せなかったのも事実だが、俺が一番赦せなかったのは今日の戦闘を止められなかった俺自身なんだよ。」
そう。俺は今日何がおきるのかを知っていたのに、それを止められず、鈴とセシリアを傷付かせた。俺はそれが一番赦せなかった。だからラウラにその怒りもぶつけようとした。
「駄目だな、俺。中学の頃の箒と同じことをしたんだ。…俺があの時ラウラに使おうとしたのは、紛れもない暴力だ。」
そう、中学の頃の箒と同じ、今のラウラと同じことをあの時俺はしようとした。
「修司くん…。」
「でも、だからこそ、ラウラは俺が倒す。」
あいつを間違ったままにしておくわけにはいかない。

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