小説『親父と一緒にいきなりトリップ【H×H】』
作者:プータ()

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第三次試験×シャルナークの思惑

 二次試験のトライアスロンが終わりすぐさま三次試験突入かと思われたがどうやら違うようで休憩時間となった。
 建物の中は体育館と休憩施設のようで、シャワー室などや洗濯機なども置かれていた。正直なところ勇気は助かったと思った。さすがに二日寝ていなければ眠いのは我慢できるとはいえ寝たいのは変わらない。普通に一日休憩の後に三次試験となった。
 翌日の朝、まだ日も上っていない。寝ているところを起こされた参加者12名が体育館で並んでいた。男子9名女子三名で、女子三人は一次試験で一緒に合格していた三名だ。
 12名の前には試験官が立っている。全身迷彩の動きやすい服を着た男性だ。
 
 「三次試験官、マリクだ。今から三次試験を開始する。試験はドッチボール。これから6名ずつのチーム分けをしてもらう。くじ引きを引いてれ」

 受験者は順番にくじを引いて行く。引いたくじは折りたたまれており中身はわからない。

 「では、中を見てみてくれ」

 勇気がくじを開いてみるとAとかかれている。

 「シャルナークは?」
 「おれはB、勇気は?」
 「Aだった」
 「へえ……じゃあ敵だね、お手柔らかにね?」

 怪しく光るシャルナークの眼。シャルナークが最初に勇気に声をかけたのは勇気の纏をみてかなり強いと認識し、早く味方についておいたほうがいいと思ったからだ。もう一つの理由としては自分が所属する組織の団長のお土産にできる能力かを調べようとしたがそれはいまだできていない。今回敵対関係になれば見れる可能性もある。
 もしも二人が同じチームなら恐らくそのチームが勝っていたのは言うまでもないが。

 「このドッジボールは片方のチームを全滅させる必要はない。AとBのコート内の合計人数が6人以下になった時点で終了だ。最初の外野は一人だが、外野は一人以上アウトにしないと合格できない、あたった人は外野になるが一人アウトにすればコートに戻れる。外野が一人の時は二人になるまでコート内には戻れない。顔面もアウト、手以外に当たってボールが床に落ちたらアウトだ。それでは二チームに分かれてくれ」

 それぞれ体育館のはじでAとBに分かれた。分かれたチームは、Aチームが勇気、女性三人のミカゴ、ミチア、ミルバ(三姉妹だったらしい)とモヒカンとハゲ。Bチームがシャル、金髪筋肉、爺筋肉、筋肉Aと筋肉B、ノッポ筋肉だ。ちなみに呼び名は勇気の頭の中で決まった。シャルナークが童顔筋肉なのでちょうどいいだろうと判断してだ。
 シャルナークは暑苦しそうにしながらチームを見渡している。勇気はシャルナークに同情したが、悪いことを考えてるシャルナークは自業自得なのかと思っている。

 「分かれたな?だったらまず外野を決めるんだ」

 そう試験官マリクいわれた受験者達だが最初の外野は貧乏くじだ。もし外野に一度もボールがこなかったらそのまま不合格なのだから。

 「僕達はどうする?」

 勇気がチームメイトに質問する。物腰やわらかく話しかけているせいか女子のうち一人、ミルバの視線が熱い。

 「あ?お前がやれよ?」

 ハゲが威嚇するように話しかけてくる。

 「そうだな、俺もそこの優男が外野に一票だ」
 
 モヒカンも同意のようで発言にのっかった。いささか勇気に対してねたみのような感情を向けている。ぱっと見勇気は美青年だ。それをねたんでいるんだろう。

 「私達はどうしようか?」
 「うーん私はそれでもいいけど一人に押し付けるのはなぁ」
 「好みだわー……」
 
 ミカゴ、ミチア、ミルバの三人は話が進みそうにない。ミルバだけはちょっとおかしいが。

 「……僕がやってもいいですよ?」

 勇気の発言に他の五人は勇気に視線を向ける。

 「その代わりといってはなんですが最初にボールが手に入ったら僕にパスしていただける事が条件です。飲みますか?」
 「そんくれーならいいぜ」
 「俺もだ」
 「あなたがそれでいいのなら」
 「私も」
 「うちもー(謙虚やなー)」

 ハゲ、モヒカン、女子三人はこの条件を飲んだ。その瞬間シャルナークチームから轟音がした。Aチームがそちらに眼を向けるとシャルナークが床を踏み砕いていた。どうやら外野が決まらずに威嚇のためにやったようだ。シャルナーク以外が顔を青ざめながらシャルナークに注目しているのが見える。腹を立てているのかオーラが少しもれている。

 「アイツは要注意だな……」
 「ああ」

 ハゲとモヒカンが警戒している。女子三人も腰が引けている。ここまで来たのだから体力はかなりある人たちだろうが、シャルナークの馬鹿力は警戒心を持たせるもののようだ。勇気も同じような事ができるがなんとなく同類に見られたくないので黙っている。

 「それぞれ決まったようだな?決まったらコートに入ってくれ!」

 試験官の一声に皆がコートに入る。Bチームのほうはノッポ筋肉が外野のようだ。シャルナークに言われてしぶしぶと言うのがなんとなくわかる。
 ちなみにボールはじゃんけんできまり、最初はBチームからとなった。シャルナークがボールを持っている。最近感が良くなった勇気は嫌な予感がしたが止め様もない。

 「では……はじめ!」

 審判役の試験官の掛け声とほぼ同時にシャルナークのボールが投げられる。その速度は試験官と勇気意外には全く反応できない。
 ドガ!っとボールがぶつかったとは思えないような音がした後にはモヒカンが吹っ飛ばされて白目をむいている。鼻は曲がっており皮膚から骨が覗いている酷い状態だ。ボールは投げた勢いが強すぎたのと骨に当たったせいか破裂状態している。
 ここまで来た参加者なら常人以上の威力のボールは簡単に投げられるだろうがこの威力には驚いただろう。
 Aチームの面々は勇気以外冷や汗が止まらない。かなり衝撃的な光景を見てしまったせいなのは明らかだった。勇気は見えていたしいざとなれば念でどうにかなるので変わらない。勇気の身体能力なら普通に受けられるだろうが。

 「……言い忘れていたが、ボールが欠損した場合はその欠損した場所から再スタートだ。この場合はAチームのコートだな」

 試験官は何事もない様に告げる。プロハンターならこれくらいでは全く驚かないだろう。
 モヒカンは試験官に頬をたたかれて眼が覚めたようだが痛みでどうしようもないようだ。意地で外野ゾーンまで行ったが骨の見える鼻からは血が流れている。恐らく試験には使い物にならないだろう。

 「あららら、やりすぎちゃったなぁ」

 何事もない様に言ってのけるシャルナークに回りはドン引きしている。Bチームの筋肉たちは自分達が相手でなくて良かったと心から思っているだろう。
 試験官は黙って新しいボールをミルバに渡した。ミルバは冷や汗をかきながら受け取る。

 「おーい、僕にパスしてくれよー」
 「あ、そうでしたね」

 ボールの威力にあっけを取られ勇気に最初のボールを渡す条件をすっかり忘れていたミルバ。
 周りから見ればずいぶんとのんきな奴にしか見えない。ミルバもさっきまでの熱視線を冷静な眼にして勇気を見ている。

 「審判さん質問いいですか?」
 「なんだい?」
 「ボールを持った状態でも空中であればコート内に入ってもいいんですよね?」
 「ああ、相手コートに足がついた時点でボールを持っていた場合は相手ボールになる」
 「そうですか、どうも」

 勇気の質問に答える試験官。勇気は試験官に質問している間にボールをパスされている。
 何をするんだと回りが注意した瞬間勇気の姿が掻き消えた。Bチームの面々は周りを見渡すが全く見えない、唯一シャルナークだけが上を見てにやけているだけだ。
 
 「どこぐぁ」

 Bチームの一人、筋肉Aの頭にボールが直撃した。かなり強いボールだが怪我をするほどではない。ボールがバウンドしていく先は先ほどシャルナークに吹き飛ばされ外野にいるモヒカンの所だ。勇気は天井すれすれにジャンプして相手の頭上からボールを投げただけだ。
 
 「これで僕は内野なんですよね?」
 「ああ」
 
 天井から降りてきた勇気が試験官に質問すると悠々と内野に入っていく。
 
 「んーやっぱり勇気ならそのくらいできるよね」

 そういって余裕な態度のシャルナーク以外、Bチームは勇気を警戒し、Aチームは賞賛の声をあびせる。ミルバの熱視線が復活しているのはしかたがないことだろう。
 そのままゲームが再開する。Aチームは勇気の力を見たからか勇気を中心にしている。Bチームも似たような物でシャルナーク中心だ。似たようなチームだが、勇気は他の人のフォローもするがシャルナークは全くしない。
 シャルナークが投げたボールは受けるだけで骨折したり骨にひびが入りそうなほどの剛球だ。勇気以外には全く持ってうけれられない。ほとんどを勇気一人で捕球している。途中いららついたシャルナークがオーラをまとわせて投げてきたりもしたが、勇気は難なく受けていた。その際、ミルバの勇気に対する情熱的な視線が取り返しがつかなくなりそうだった。
 勇気は守るがシャルナークは守らない、その結果としてかなり早くに決着はついた。シャルナークとしては勇気が能力を使うまでもなく終わりそうなのでそのままさっさとゲームを終わらせた。結局は筋肉がすべて全滅したところで終了となった。
 残ったのはミカゴ、ミチア、ミルバ、ハゲ(ゲハルという名前らしい)、勇気、シャルナークだ。この六人が最終試験に進める事になった。六人はそのまま屋上に上り、飛行船にて最終試験会場へと行く事になった。

 『最終試験まで残ったみなさん、お疲れ様です。当機はこのまま最終会場へと行きますが、これから皆様には面接を行っていただきます。名前を呼ばれたら面接室までお越しください。では受験番号32番、ミカゴ様……』

 原作と同じように面接官はネテロで、同じような流れで質問された。

 あなたはどうしてハンター試験を受けたのか?
 ミカゴは「死んだ母がハンターだったので」
 ミチアは「母が楽しそうに話していたので」
 ミルバは「お母さんがお父さんを見つけたのはハンターになったおかげって行ってたから自分もお婿さんを見つけるため!」
 ゲハルは「ハンター証がほしいから」
 ゆうきは「戸籍がなくて息子が学校にいけないので戸籍の変わりにと」
 シャルは「ハンター証を持っていれば便利だから」

 一番気になる参加者は?
 ミカゴは「シャルナークって子ね、あぶないかんじするもの」
 ミチアは「シャルナークって子かな、身体能力も高いし」
 ミルバは「ゆうきさん!あの人本当かっこいいし!」
 ゲハルは「シャルナークだな」
 ゆうきは「シャルナーク」
 シャルは「ユウキ」

 一人落ちる試験と全員が受かる可能性もあるが全員が落ちるかもしれない試験どちらがいい?
 この質問に対しては全員一致で一人落ちる試験だった。以上が面接の回答だ。
 面接が終わり、飛行船を降りついた先は闘技場のような建物だった。中にはこれまでの試験官達、パリストン、マリー、マリクが並んでいる。
 
 「今からここで受験者同士で戦ってもらう。勝ちぬけのトーナメント戦じゃ、参ったと言わせれば勝ちじゃ。殺してしまった場合は不合格となる」

 最終試験は原作と同じよう勝ちぬけのトーナメントとなった。
 対戦カードは一回戦シャルナーク対勇気。これについては恐らく二人が念能力者だからだろう。
 二回戦はミカゴ対ゲハル。ちなみに二人ともナイフを使う。
 三回戦はミチアとミルバだ。ミチアは篭手を装備している。ミルバは鉈だ。
 シャルナークからしてみれば渡りに船だった。能力が見れるかもしれないのだから。
 
 「勇気、手は抜かないでね」
 「そんなに強くないけどよろしく」
 「では両者前へ!」

 審判役の号令に習い闘技場にはいるふたり。

 「では……はじめ!」 



 

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