第十四話 夏休み×弟子?
side アルク
どうしよう!今僕の体からはなにやらモヤモヤしたものが出ているのが見える。それは暖かいものだけど興奮すると多くでて、落ち着くと少なくなる。僕がここ最近のようにジュン君の写真を見て僕の気持ちを確認していたらいきなり出てくるようになるなんて!あのくそ婆の恐怖以来ジュン君は僕に優しく気を使ってれる。それにあのくそ婆を倒してくれたジュン君はすごくかっこいい!血みどろになってまで犯人を捕まえてくれるなんて。そう!これは恋なんだ!親すら助けてくれない中に現れたジュン君!ああなんて素敵なんだろう。性別の壁なんてものは関係ないと悟ったんだ!
ジュン君のことを考えててでたこのモヤモヤはジュン君の愛……?ああでもなんかこのモヤモヤやばそう!ちょっと疲れるしジュン君なら知ってるかな?そう思いながら僕はジュン君の家に向かった。
※アルク君は男の娘ですぅ
sideジュン
「あ〜どうしようこれ!病気なのかな僕!」
今俺の目の前にはオーラをやや多めに垂れ流しながすアルクがいる。いきなり家まで来たのだ。前よりも精孔が大きく開いている。事件から一月ほど立つのだが日をおうごとにだんだんとオーラがでやすくなっているのはわかっていた。瞑想も何もしている様子はないのに開いていくのが不思議だった。悟りでも開いたのだろうか。ちなみにこの前の協専ハンターに精孔の開け方は聞いた。うちの家族は皆無理やりだって聞いたら驚いてたけど。
「ほら、大丈夫だから落ち着け!とにかく落ち着け!」
「うん」
「おし、そしたら俺の部屋に来い、その説明してやるから」
「ジュ、ジュン君の部屋?」
「うおおぉぉ、オーラの流出が早い!本格的に開いたか!?」
俺はオーラを垂れ流すアルクを連れて俺の部屋に連れてった。途中仕事に行ってる親父以外には出会ったがアルクの様子を見たグリアさんがシズクを抑えてくれてたので何とかなった。ちなみに精孔の安全な開け方を聞いてからシズクには瞑想をさせている。たぶん夏休み中には空けられるだろう。
俺の部屋に入ったアルクのオーラは更に流出速度を増した。
「ああ、僕……疲れてきたよ」
「そりゃそうだろ。いいから眼をつぶれ」
「うん」
「んでそのもやもやは自分の一部だ。それを体に巻きつけるのを想像しろ、もしくは包まれるでもいい。イメージは人によって色々あるからな」
俺の言葉を聴いて色々とやっているのだろう。だんだんとだがオーラが体の周りにまとわりつき垂れ流しがなくなってきた。二分ほどアドバイスしながら手伝ってやると何とか纏が完成している。まだまだ荒いがそれはしょうがないだろう。
「これで安心だな」
アルクの精孔は瞑想をしてあけたのと同じようで垂れ流しのオーラが少し多くなり自分のオーラを知覚できるようになっただけだ。精孔を無理やり空けたときよりオーラの流出は少ないが、流石にほっといたらぶっ倒れてたんだろう。
俺はオーラとは何か、念とは何かを説明した。途中「また僕はジュン君に救われたんだね……」とわけのわからない事を呟きながら目を潤ませていたりもしたがそれは忘れておこう。
「んでここからが問題だ」
「問題?」
「ああ、その力はそう簡単にもっててもいいものじゃない」
「あ……そうだよね。こんなに便利な力なら犯罪とかも……」
「そうだ。そう言ったことに使われたりする事も多い。それにその力は秘匿されるべきものなんだ。不用意に人に教えたりもしてはいけない。そしてその力は確りとコントロールできていないといけない」
誤って人に念なんかぶつけたら精孔が開いちまうしな。その後も延々と危険性を説いていった。
「それでここからなんだがアルクには念を最低限コントロールを覚えてもらおうと思う」
「あ、うん。それは僕も危険性を聴いてわかったんだけど」
「そうだ。明日からはちょうど夏休みだ。その間だけでも俺が念を教えよう。じゃないと色々と危ないしな」
「え……ほ、本当?」
「ああ」
「(じゃあ夏休みの間ジュン君とずっと一緒?キターーーーー!)じゃあおねがします!」
「あ、ああ」
いきなり元気になったなアルク。まあ誰かに念で攻撃しちゃう可能性があるかもしれないし。その場合人を殺してしまうかもしれない。そうなったらアルクは傷つくだろう。そうならないようにしてやるくらいは別にいいだろうしな。
こんな感じで俺の初弟子ができたわけだ。
現在夏休み中盤。俺は11歳になった。毎年夏休み中に誕生日だ。現実世界では寂しい誕生日を毎年迎えていたが、この世界では周りに人が多いせいか祝ってもらったりもした。なきそうになったのは秘密だ。
アルクは夏休み中ほぼ毎日来ている。念のほうも順調で一応危険度がない程度にはコントロールできるようにはなった。だが四大業を完全習得するのには後三ヶ月ぐらいかかるだろう。やはり才能の壁は大きい。それでも練の修行でオーラの総量を増やす修行を最初からしている分成長が早いのは確かなんだが。
「今度は組み手だ!俺は手を出さないから俺を殴り続けろ!」
「はいぃ」
嬉々として鍛錬するアルク。何故だか気合を入れて抱きついてくるのはやめてほしい。だがまだまだ余裕はありそうだ。
「纏、絶、練を順番に!」
「はい!」
念の特訓はできるんだが如何せん身体能力の強化特訓がなあ。だがこれ以上の体の鍛錬となると通いでの特訓は難しい。いっそ夏休みの間泊まらせるかとも思ったがこれ以上グリアさんにお世話になるのも気が引ける。そこで気がついた。特訓に必要なもの(グリア家の環境。念で家具の重さを変えられる)がないのなら調達すればいいじゃないかと。まずはパソコンで重い物質を調べる。探すのはゾルディック編の管理人小屋にあった日用品なんかの原材料だ。あれがあればアルクの家もあら不思議、ゾルディックの管理人小屋のようになる。そして世界不思議現象、『筋肉が増えないのに何故か怪力』を習得させよう。
原材料はとある所でとれる石や木材といったものと言う事がわかった。その場所で取れたものはほぼすべてが重いと言うことらしい。
「アルクー!」
「な〜に〜」
休憩中のアルクに話しかける。脱力状態になり地面に横たわっている。
「実はな念の方はこのままでも危険度がない程度までは鍛えられた」
「うん」
「だが体のほうの鍛錬はまだまだ足りない。てことで鍛錬に必要な道具をとりに行こうと思うんだ」
「あ、あのさ、それなんだけど……」
なにやらいいずらそうに言い淀むアルク。
「僕って念のことを教えてもらうっていうことで修行し始めたんだよね?」
「そうだな、オーラ出しちゃったら覚えないと」
「それなんだけど何で体鍛えないといけないの?僕念のことだけ教えてくれればいいんだけど」
「……」
「……」
そうだったあ!つい気合が入って何故か修行させてたけど、こいつはハンターになるわけでもないじゃんか!
「あー……それはだな念を覚える以上、多少危険な事にあう可能性が増えるんだ。だから体はある程度鍛えておかないとこまるから」
「そうなんだ。うん!わかったよジュン君」
「ああ」
まあグリアさんがいってたことをそのままいっただけだけどいいよな。と言うか俺も最初からそのつもりだったんだ、うん。
「それで特訓に必要な器具のためにとってくるものがあるんだ。それでなんだが、アルク。一緒に小旅行と行かないか?」
「りょ、旅行?」
「ああ、夏休みなのに何処にも出かけないのもなんだしな。行く予定のところは一応観光地らしいし」
「い、行くよ!絶対行く」
「そうか、あ!費用のほうは気にしなくていいぞ」
「え、で、でも」
「俺が言い出したしな」
費用なら結構持ってるしな。さほどかかるものでもない。あれ?金銭感覚がおかしいか?
そうして俺達の材料調達と修行を兼ねた小旅行が決定した。将来的に世界中を転々とする予定もあるし、原作舞台を回る予定なんだ。予行演習にはちょうどいい。
「わ〜!僕この町から出るの事なんか数える程度しかないんだ!楽しみだなあ!」
「わかったから落ち着けって」
現在、二人で電車に乗っている。駅まで歩いてその後は大陸横断列車で電車に丸一日揺られてからバスで予定の場所まで行く。なれない体験のせいかアルクはとてもはしゃいでいる。傍目から見たら美少女がはしゃいでいるようにしか見えない。寝台車を予約しておいて良かったと思う。多分生暖かい目を向けられて恥ずかしかっただろうから。
特に何事もなく二人で個室で夜を明かした。
俺達の目的地はネヴールと言う街で、おもに観光人が多い。恐らく夏休みの今はかなり込み合っているのが予想される。そして目的の材料は、この街の観光地、『奈落の穴』といわれる大穴の中にある。穴口が直径が一キロほど、深さは全くわからないほどで、中はある程度の空間が広がっている。世界最大の穴として観光する人が多い。この穴の中にはこの穴の中特有の植物や鉱物、生物などが存在する。そして目的のものはこの中の鉱物や植物である。
「うわー、でっかいねー。底が全然見えないや」
俺達は駅から出てバスに乗り、直接『奈落の穴』きた。ここから見える穴は底が全く見えない。アルクなんかは大口を開けて下を除いている。勿論穴の周りには柵があるので落ちる心配はない。
「ここは穴の中も一応観光地になっているんだ」
「一応?」
不思議そうに聞いてくるアルク。
「そうだ。穴の中は重力が通常より高くなっているため体の弱い人や病気の人は入れない。まあそれ以前に降りられない人のほうが多いんだけどな。そして入るときにこの契約書を書かされる」
「契約書?」
不思議そうにしながらも俺が持っている紙を持って内容を見るアルク。そこには色々と書かれているが要約すると
第一項、契約者はいかなる理由であろうと穴の中での負傷、死傷等は自己責任である。ネヴール観光組合『奈落の穴』担当はいかなる責任も負わない。
第二項、契約者はこの中に入って持ってきた鉱物、植物等は一定量以上持ち出す事はできない。
第三項、契約者が第二項に従わない場合実力をもって当地の資源を取り返す。その際の負傷、死傷にも責任を負わない。
「ねえ、ジュン君。この死傷って?」
「ははは!気にするな!」
「きになるよ。死傷って死ぬの?あれ僕って観光旅行に来たんじゃなかったけ!?」
なにやら言っているが、ここでは死傷者が出ているというのは本当だがそれはよほどあほな事をする奴らばかりだ。特に資材の持ち逃げは多いらしいが、ここは契約ハンターがいるので速攻で捕まる。その際のやりすぎが一番死傷者が出る確率が高いらしい。
「まあ、この契約書の第二項を守ってれば大丈夫だよ」
「そうなの?安心したかな……?」
何はともあれ二人で契約書にサインし、穴の中へと入ろうとした。その際受付の人にテストをされたが全く問題はなかった。アルクもだ。
「余裕余裕」
「あれ僕っていつの間に人間やめたんだろう……」
「はははなに言ってんだよ、高々百キロの重りを持ち上げただけで」
なにやらアルクはブルーになっているようだ。その間に俺は受付の人に岩を降りる用意等を借りた。お金を払えば器具を貸してくれるのだ。非常食等は自前で用意してあるので問題ない。
俺とアルクは穴の中を降りていく。入り口付近はアルクのことが心配なので一応命綱を俺につなげてある。俺は器具を周で覆ったりができるので簡単には落ちないしな。アルクは渋々ついてきているが黙々と降りている。こいつも色々と図太くなったな。
「ねえジュンくーん」
「なんだー」
「これってどのくらい降りるの?」
「ざっと半日くらい降りっ放しかな」
「え?」
何を言われてるかわからないという顔をしながら俺を見るアルクだった。
あとがき
アクセス数が二万、総ポイント数が1500以上になりました!皆さん見てくださりありがとうございます!
更新はあまり早くはありませんがコツコツがんばって行きたいと思います。