小説『夜天と勇気と決闘者』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 Side:はやて


 制裁デュエルは、私等の勝ちで終わって退学は無し!
 雪乃ちゃん達への罰則も帳消しになった。

 やけど、その裏でな?


 「速攻魔法『リミッター解除』!この効果でリニアブラストスパイダーの攻撃力を倍にする!」
 TM-X00リニアブラストスパイダー:ATK17200(パワー・ボンド+モーターチューン+M−100プラズマバラエーナー+リミッター解除)


 「リニアブラストで、ランチャー・ダークに攻撃!『リニアドライバーΩ』!」

 「ぬおわぁぁ!!」
 キース:LP1300→0


 元チャンプが店長に懲らしめられてた訳や。
 まぁ、店長お気に入りの『ランチャースパイダー』使うてたくせにイカサマ働いたんが店長の逆鱗に触れたんやろな。


 「だね。つーか攻撃力17200って…」

 「ホンマに凄いね、店長。」

 てか、カードショップの店長に負ける元チャンプて…週刊誌が喜びそなネタやね。











  遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX20
 『エアーマンが倒せない!』










 てな事があった訳や。
 いや〜、惨敗したキースをエヴァちゃんがからかいまくってたな〜。
 懲りずにイカサマなんぞしてたあいつが悪いんやけどね。


 で、制裁デュエルの翌日。
 デュエルアカデミア言うても、1年365日デュエルの事だけ学んどる訳や無い。

 普通の授業もちゃんとある。
 今は『体育』の時間や。

 男子はグラウンドで野球、女子は体育館でバスケットボールや。


 「そぉれ!!」


 ――ズガァアン!!


 にしても、バスケは裕奈の独壇場やね。
 流石、前世でバスケ部だっただけはあるわ。

 「女子のダンクってのは、人生で初めて目にしたけどな。」

 「凄いですね明石さん。」

 「五輪も狙えるほどの運動神経だわ。」


 ホンマにね。
 因みに、私と麗華ちゃんと雪乃ちゃんは同じチームで……ボロ負けしました!
 明日香ちゃんの運動神経もハンパ無かったわ。


 と、試合終了。
 結果は…120対56。
 裕奈のチームの圧勝や、ダブルスコアてドンだけやねん。

 120点の内、裕奈が80点以上ってのは突っ込んだらアカンのやろね。


 「I think so.」


 やね。
 で、リインフォース姉妹は何してんの?


 『いえ、ツヴァイが私と同じ紋様を顔に入れて欲しいと言うのでフェイスペイントを。』

 『折角おそろいの髪留め付けたから、お姉ちゃんと同じ紋様も入れたいです。』


 さよか、まぁ仲良き事はえぇ事や。
 アインスも『お姉ちゃん』やっとるね。


 「たっだいま〜!」

 「お〜、お疲れ裕奈。流石やね。」

 「うぃ〜っす、裕奈ちゃん絶好調!私にバスケで勝とうなんて100年早いって。」


 せやね。
 明日香ちゃんのチームが相手でも…裕奈には敵わへんな。



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 ・・・



 「「「「「入れ替え戦?」」」」」


 速攻着替えて、今は中休みの真っ最中。
 十代達も合流しての雑談中に出たんは、三沢君の入れ替え戦の話や。


 「さっきの授業の時にクロノス先生がね。」



 さっきて体育の時に?
 何で白塗り先生はグラウンドになんかに居たんやろ?

 まぁ、其れは良いとして、『入れ替え戦』言う事は他のクラスの人が相手って事か?
 三沢君の今の成績と、白塗りの思考考えれば相手はブルー生徒の誰か言う事になるな。


 「そうなるだろうな。だが、ブルー生徒の入れ替え対象は…」

 「そりゃ、準に1ターン3Killされて、実技考査でカード貰ったにも拘らずレッド生にボロ負けしたエリート(笑)でしょ?
  つか、三沢をはじめとしたイエローのトップ3がその3人と入れ替えすんじゃね?」

 「…有りうるな。」


 まぁ、先ず間違いなくそうやろな。


 「誰が相手でも負ける心算はないさ。ただ、ブルーへの昇格は君達を全員倒してからだけどな。」

 「ほう、言うやないの?実力者の其れは嫌いや無いな。何時でも相手になるで?」

 私等も負ける心算は毛頭無いけどな?


 「そうさせてもらうさ。其れとは別に…十代、約束は守ってもらうぞ?」

 「分ってるって。」

 「約束?」

 何かしたん?


 「さっきの体育の時に、アニキと三沢君は勝負してたんすよ。
  アニキは三沢君に討ち取られて、逆に三沢君はアニキから1本打ってるっすから。」

 「野球は三沢の勝ちと言う事だ。…俺は十代の凄まじい珍プレーの連発に驚いたがな。」

 「「「「「珍プレー?」」」」」

 「審判のマスクに投げたボールが挟まって…」

 「牽制球でデッドボール。」

 「更にはバットをクロノス先生にダイレクトアタックだ。」


 「「「「「うわぁ…」」」」」


 マスクにボール挟まるてドンだけの球威やねん。
 推定150km/hやな。


 「いや〜、つい力入っちゃってさ。」

 「其れでは済まんだろう。大体どうやったらバットで地面を掘れるんだ!」

 「は!?」

 「バットで地面掘った!?スイングで!?」


 ふ、普通にあり得へんわ…


 『やれやれ、僕がやってたら、もう少しはマシな結果になっていたのかな?』


 ユベル…一切否定できへんね其れ。








 ――――――








 Side:裕奈


 「何処のマッドサイエンティストの研究所よ此れ…」

 「見てるだけで目が回りそうやな…」


 授業終了後、私とはやても十代達と一緒に三沢の部屋に。
 因みに、予想通り『入れ替え戦』の対象ブルー生徒はあの3人組でしたとさ。
 イエロー生3人の勝利は確定だねこりゃ。

 しっかし、この部屋…壁も天井も数式だらけ。
 一体何事よ?


 「この世の様々な事を数式にしてしまう癖が有ってね。夢中になるとノートだけじゃなくて壁から何からに数式を書き込んでしまうんだ。」

 「にしたって、この量は凄すぎだよ…」

 「何の数式か理解できんのも有るな?」

 「まぁ、俺の独自の式も有るからね。例えばこっちは『犬が歩くと棒に当たる確立』で、こっちは『風が吹くと桶屋が儲かる』確立。
  他にも『初手にエクゾディアが揃う確立』や、『時限爆弾を解体して残り1秒で止まる確立』とかかな。」


 うん、意味わかんねぇ。
 なのはは理数系得意って話だけど解る。


 『さっぱり。』


 だよね。


 「で三沢、俺は一体何をすればいいんだ?」

 「簡単な事さ。流石に此の侭は良くないからな。ビッグバンで塗り替えようと思ってね。その手伝いさ。」


 白ペンキ?

 「あ、そう言う事か。」

 「それやと、私等の出番は無いな?ん?でもこの部屋塗り直したら、三沢君は今日は何処で寝るん?」


 そう言えば如何すんの?


 「十代の所に泊めて貰うさ。良いだろ?」

 「おう!構わないぜ!」


 レッド寮に泊まるの?
 んじゃあ、夕飯の量1人分増やさないとね。

 「ま、頑張ってね。私等は夕飯の仕込みあるから寮に戻るよ。」

 「おう!あ、今日の飯なに!?」

 「皆大好き『花丸ハンバーグ』。ニンジンのグラッセと粉吹き芋つきや。」

 「おぉ!楽しみだぜ!」


 ま、期待しててよ。
 私とはやての料理の腕は最強だからね♪



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 ・・・



 で、翌日!

 「三沢の…」

 「デッキが無いやとぉ!?」


 朝っぱらから問題発生!!
 三沢のデッキが無くなったって、盗まれたってこと!?
 てか、昨日デッキ何処に置いてたのよ?


 「迂闊だった。昨日部屋の塗り替えの為に外に出した机の中にしまいっ放しだった…!」

 「あっちゃ〜〜!そら仕方ないわ。忘れてしまいがちやしな。」


 痛恨のウッカリだね。
 けど、デッキを盗んだの…間違いなく三沢の対戦相手だな〜?
 デッキ盗んで、デュエル不能にする心算かよ…!


 「三沢!!」

 「準!」

 どったの、血相変えて?


 「お前達も一緒だったか。今すぐ埠頭に来てくれ!」

 「埠頭に?」

 な〜〜んか、やな予感がすんね…。



 ん?埠頭?……まさか!!








 ――――――








 ――アカデミア島・埠頭


 Side:はやて


 「ブラッド・ヴォルスに破壊輪…!」

 「三沢のカードじゃないかよ!」


 最悪の予感が的中してもうた…!
 おんのれ、似非エリートが…デュエリストの風上にも置けん下衆や…!

 せやけど、どないする?
 デッキが無いんじゃデュエルはできへん。
 このカード全部回収したところで40枚には全然足らん…このままやったら三沢君は…!


 「一応回収したけど、此れじゃあデッキには…」

 「く、半分はカードが無い…!」


 今からデッキ組んでも、そんな付け焼刃のデッキじゃ力は発揮できへん。
 万事休すや無いか…!

 おんどれ似非エリート…頭冷やしたるわ腐れ外道が!


 「…講堂へ行こう。このままじゃ不戦敗だ。」

 「講堂て…デッキはどないすんの!?」

 「心配ご無用!そのデッキは戦術調査用かつ入試用に組んだデッキだ!」


 ――バッ!!


 「「「「「!!!」」」」」


 此れは…!
 成程、其れが三沢君が計算の元に導き出したデッキなんやね?


 「そういう事さ!だが、俺のカードをこんなにしてくれた事については、利子をつけてお返しさせてもらう。」

 「やな。目に物見せたれ!」

 「やっちまえ三沢!!」


 勝った気で居るやろうけど、そうは行くかい!
 覚悟せいや似非エリート!

 カードを粗末に扱った報いも受けてもらうからな…!








 ――――――








 ――アカデミア講堂・デュエルリング


 Side:万丈目


 俺達が着いた頃、既に2つのデュエルは終わっていた。
 結果は言うまでも無くイエロー生徒の勝利だ。


 当然だな。
 ブルーであると言う事に捕らわれ、自己研鑽を怠った者が勝てるほどデュエルは甘くは無い。

 だが、残った1人…貴様か地上目。


 「ふん、逃げずに来たか三沢!その度胸だけは褒めてやるぜ。」


 コイツ…!
 勝ちを確信してるのか…間違い無い、三沢のデッキを盗み、海に捨てたのはコイツだ!

 「ほざくな地上目。貴様、三沢のデッキを盗み出して海に捨てただろう!」

 「お前デュエリストとして恥ずかしくないのかよ!デュエルは正々堂々とやるもんだぜ!!」


 お前も怒るか十代。
 当然だな、カードはデュエリストの命、デッキはデュエリストの魂だ。
 其れを盗み出したと言うだけでも業腹ものだが、まして捨てるなど…万死に値する!


 「つかぶっちゃけ普通に死刑でしょ?」

 「少〜〜し、O・HA・NA・SHIが必要みたいやなぁ?」


 裕奈とはやても相当に怒っているな。



 …オレンジ色のオーラと、銀色のオーラが見えたようだが、気のせいだなきっと。


 「俺様がデッキを盗んで捨てただと?言い掛かりは止せよ!誰がそんなせこい事するか!」

 「残念だけど地上目君、貴方の犯行は確りと見させてもらったわ。」


 天上院君!…カイザーも!
 犯行を目撃したのか?


 「あぁ、昨日の夜中、地上目が寮を抜け出すのを見てな。不審に思って付けてみたら海に何かを捨てていた。
  暗くて何かまでは判断できなかったが、まさか人のデッキを盗み出して捨てて居たとは…」

 「成程、其れが三沢のデッキだった言う訳か。此れでもまだ白を切るか地上目?」

 「はっ!馬鹿言うなよ、俺様は必要ないカードを邪魔だから捨てただけだ。大体そのカードが三沢の物だって証拠は無いだろが!」


 何処までも…!
 もう良い、三沢見せてやれ!


 「勿論だ!」

 「へっ、やる気か?見たとこデッキがねぇみたいだが…其れで如何すんだよ!」

 「デッキは…此処にある!!」


 ――バッ!


 「!!!其れは!!」

 「疾きこと『風』の如き!静かなること『水』の如き!侵略すること『火』の如き!動かざること『地』の如き!
  覆うこと『闇』の如き!照らし出すこと『光』の如き!此れが俺が計算の元に導き出した6つのデッキだ!!」


 6属性のエキスパートデッキ。
 俺や十代のようにオンリーワンのデッキではないが、その分あらゆるデッキに対応した戦術が取れる。

 しかも、この間の制裁デュエルに出てきた奴のアンチデッキとは違う。
 三沢が時間をかけて組上げた魂のデッキだ。

 デッキの紛失による不戦勝を狙ったんだろうが残念だったな。


 「ぐぬ…良いだろう、相手になってやる。そうだ、如何でしょうクロノス先生、このデュエルに負けたものはアカデミアを去ると言うのは?」

 「ちょ、何勝手な事言ってんの!?」
 「ふざけるのも大概にせいや!!」


 全くだな。
 だが、其れは貴様の首を占めることに他ならん。


 「良いだろう。その条件受けて立つ!」

 「良い度胸だ。貴様のデッキなどこの俺様の『怒りの激流』が消し去ってくれる!」


 吠えるか。
 だが、最後に消えるのはどちらだろうな?

 「返り討ちにしてやれ。」

 「負けんなよ三沢!」

 「勿論だ。君達や、ましてカイザーが見ている前で無様なデュエルなどしないさ。」


 だろうな。


 「君の相手はこのデッキだ地上目。」

 「『さん』を付けろよ格下が!」


 …見るに耐えんなアイツは…


 「マジでね。」

 「ホンマやね。」


 さて、どうなるか…



 「「デュエル!!」」


 三沢:LP4000
 地上目:LP4000


 「先攻は貰う!俺のターン。『フレムベル・ヘルドッグ』を攻撃表示で召喚!」
 フレムベル・ヘルドッグ:ATK1900


 炎属性のモンスター…三沢が選んだのは『火』のデッキか。
 レベル4で攻撃力1900の下級アタッカー、出だしとしては良いモンスターだ。


 「カードを2枚セットしてターンエンド。」

 「俺のターン!魔法カード『エンジェル・バトン』!デッキからカードを2枚ドローしてその後手札を1枚捨てる。
  2枚ドローし、『ゴギガ・ガガギゴ』を墓地に送る。そして魔法カード『死者蘇生』!ゴギガ・ガガギゴを蘇生させる!」
 ゴギガ・ガガギゴ:ATK2950


 蘇生コンボで行き成りの上級モンスターか!
 尤も、誰もが思いつくコンボであるが、矢張り上級モンスターを速攻で出す手段としては優秀だな。


 「おぉ!行き成りレベル8のモンスターかよ!」

 「ま、良くあるコンボだけど、行き成り最上級モンスターは確かに強力だわ。」

 「せやけど、三沢君の勝ちは動かへんやろうね。」


 恐らくな。
 三沢なら、此れくらいの戦術は読んでいるだろう。


 「バトル!ゴギガ・ガガギゴでフレムベル・ヘルドッグに攻撃!!」



 ――バガァァン!!



 三沢:LP4000→2950
 「攻撃してくる事は読んできた。トラップ発動『魂の綱』!
  俺のモンスターが破壊された時、ライフを1000ポイント払いデッキからレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。
  この効果で、デッキから『オキシゲドン』を特殊召喚!」

 オキシゲドン:ATK1800
 三沢:LP2950→1950


 「更に永続トラップ『リビングデッドの呼び声』!この効果で墓地の『フレムベル・ヘルドッグ』を蘇生させる!」
 フレムベル・ヘルドッグ:ATK1900


 大幅にライフを失ったが、上級モンスター召喚用のリリースを揃えたか。
 だがゴギガ・ガガギゴを上回るモンスターなど早々居ないが……ふっ、お手並み拝見と行こう。


 「ち、ターンエンド!」

 「俺のターン!『オキシゲドン』を召喚!」
 オキシゲドン:ATK1800


 !?

 「上級モンスターじゃない?いや、特殊召喚モンスターか!」

 「だね。この布陣だと、既に『アノ』カードが手札にある筈。」

 「速攻で出すのは流石やね。」

 「おぉ!一体何が出てくるんだ!?」


 裕奈とはやては何が出てくるか分るのか?
 カード知識も中々豊富だな。


 「そんな雑魚ばかりで何になる!」

 「焦るな。君を倒す為の計算は全て終わった!魔法カード『オキシジェン・バースト』!
  俺のフィールドのオキシゲドン2体と、炎属性のフレムベル・ヘルドッグをリリース。
  現れろ、灼熱の竜、『ファイアー・ドラゴン』!」
 「ゴォォォォォォォォ…!」
 ファイアー・ドラゴン:ATK3000


 「な、ファイアー・ドラゴン攻撃力3000だと!?ってなにぃ!?」
 ゴギガ・ガガギゴ:ATK2950→0


 「ファイアー・ドラゴンの効果さ。このモンスターが表側で存在する限り水属性及び水族のモンスターの攻撃力は0になる。
  超高温の前では、水は蒸発してしまうと言う事さ。」

 「ば、馬鹿な…!」

 「此れで終わりだ、魔法カード『ヘルフレイム・サーペント』!
  発動ターンのみ、俺の場の炎属性もモンスター全ての攻撃力を1000ポイントアップさせる!」
 ファイアー・ドラゴン:ATK3000→4000



 見事。
 相手の戦術を完全に読んでの1ターンキルか。


 「バトル!ファイアー・ドラゴンでゴギガ・ガガギゴに攻撃!『マグマ・インパルス』!」



 ――ゴォォォォォォ!!



 「おわぁぁぁぁぁ!!そんな、馬鹿な…」
 地上目:LP4000→0



 まぁ、当然の結果だな。


 「やったぜ三沢!!」

 「えぇもん見せてもろたで?」

 「ファイアー・ドラゴンなんて、結構玄人好みなカード使うじゃん!」

 「実に見事だったぞ。」


 カイザーも賞賛するか。
 確かに入試トップの実力は間違い無いようだ。


 「く…図に乗るなよ!お前がたまたま俺に有利なデッキを選んだだけだ!そうじゃなければ…!」

 「偶然なんかじゃない。デュエルの前に自分で言っただろう『怒りの激流』で俺を消し去るって。
  お前が水属性モンスター主体のデッキを使うことは大凡読むことが出来た。」

 「そ、そんな事から…!?」


 洞察力も長けているということか。
 確かにアノ一言から全てを予測するとは…


 「其れに、このカードは間違いなく俺の物だ。俺は色んな物に数式を書いてしまう癖が有ってね。
  カードに書き込んでしまわないように、全てのカードをプロテクターに入れてあるんだ。
  その証拠に…ほらな?」


 此れは又なんとも…

 「凄いな…プリテクターの両面が数式で埋まっている…」

 「此れは何の式やの?」

 「聞いても多分わかんねぇと思う…」


 うむ、一切理解できん。


 「大体どんなカードで有ろうと大事に出来ないんじゃデュエリストとしては失格だぜ地上目。」

 「ぐ…クソォォォォォ!!!」


 其れに気付けなかったお前の敗北は当然だったと言う事か。

 「見事だったが、お前はまだ昇格する気は無いんだろう?」

 「な、そうなのです〜カ!?何故なの〜ネ!」

 「俺は十代、万丈目、裕奈君とはやて君の4人を倒した時こそブルー昇格の時だと思っているんです。
  …4人とも、もう少し待っていてくれ。塗り直した壁が数式で埋まる頃、君達を倒す為のデッキが出来上がる。
  そうしたら、俺とデュエルしてくれ。」

 「おう!そん時を待っているぜ!」

 「私は簡単には倒せないよ?」

 「その時は私を満足させてや?」


 全員やる気だな。
 俺もだが…

 「何時でも来い。その時は返り討ちにしてやる。」

 楽しみが増えたな。







 因みに、この日の夕方、島の一角から爆音と地上目の悲鳴が聞こえたが…一体何があったんだ?
















   To Be Continued… 






 *登場カード補足



 ファイアー・ドラゴン
 レベル8    炎属性
 炎族・効果
 このカードは通常召喚できない。「オキシジェン・バースト」の効果でのみ特殊召喚する事ができる。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、水属性と水族モンスターの攻撃力は0になる。
 このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在する「オキシゲドン」2体と炎属性モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
 ATK3000    DEF2400



 オキシジェン・バースト
 通常魔法
 自分フィールド上に存在する「オキシゲドン」2体と、炎属性モンスター1体をリリースする。
 自分の手札・デッキ・墓地から「ファイアー・ドラゴン」1体を特殊召喚する。



 ヘルフレイム・サーペント
 通常魔法
 発動ターンのみ、自分フィールド上の炎属性モンスターの攻撃力は全て1000ポイントアップする。

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