小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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プロローグ

「はて? ここはどこでしょう?」

 そこにたっていたのは上下全て黒で統一されところどころ白い刺繍が入っている服(イメージはFateのアーチャー。ただし上の外套は着ず、外套も赤ではなく黒)を着ている男性。

見た目は20歳。髪の毛は白銀、瞳は青色。右の耳に黒と白のイヤリングをしている。
そして彼の目の前にいるのは土下座をしている白髪に白髭のやせている御爺さん。

「すみません。そこの御老人」

「は、はい!」

「ここはどこでしょう?」

「こ、ここはいわゆる天国じゃ」

「ほぉ。ここが天の国。ん? ということは私は死んだことになるのでしょうか?」

「はい。おっしゃる通り」

「ふむ。エクス、ルミル」

 彼がそういうとイヤリングが光り、そこに二人の女性が現れた。

「なんでしょう。マスター」

 そういって白色のイヤリングから現れたのは金色の髪に青い瞳、白を基調とした服を着ている女性。といっても身長は150後半だろう。エクス(武装神姫アーンヴァルMk.?参照)。

「呼んだか? マスター」

そしてもう片方の黒色のイヤリングからは黒色を基調とした服を着て、オレンジの瞳、水色の髪の毛をしたクールな女性。身長はやはりエクスと同じ。ルミル(武装神姫ストラーフMk.?参照)

 彼女たちがイヤリングから人の姿に変わると、私の髪の色も黒色に戻った。髪の色の変化は魔法を使う際に私の過去が原因でこうなるらしい。

「私は死んだらしい。でも、まぁ世界を敵に回して生き残れるわけはないと思っていましたがね」

「マスター。ですが、今またこうして出会うことができたのです。私は嬉しいです」

「はい。マスターは悪くありません! 悪いのはあいつと世界です! と、話を折って申し訳ないのですが、マスター。ここで頭を下げているご老人は誰ですか?」

「え?「ほぅ。白か」いやあああああああああああ!!」

 何かを言い当てた御老人にエクスは白騎士に切り替え砲撃を放ち御老人は星の彼方へ。

「落ち着いてください。エクス」

「うぇええん。ひっぐ、まずだー、みられぢゃいまじた・・・」

 泣きながら、エクスはマスターと呼ばれる男性に抱きついた。

「あ〜、よしよし。大丈夫ですよ」

「えへへへ///」

 男性がエクスは泣きやみ、頬を朱に染めながら笑っていた。

「ん? ルミルどうかしましたか?」

「エクスばかりずるい」

「ルミルもおいで」

「ん」

 するとルミルも撫でやすいように頭の角度をずらすと、男性も優しくルミルの頭をなで
た。

「おーい。話を続けていいかのぅ?」

「あ、はいどうぞ。あと、私の相棒に不埒なまねは二度としないでください。じゃないと
私もあなたを殺してしまいそうで」

 そう言い終わると男性は不気味な声で「フフフフッ」と笑っていた。

「わ、分かった。約束するからその笑い声をやめてくれ」

「分かりました。ところでここは? そしてあなたは?」

 すると老人は髭を整え、

「わしは神。ここは天国じゃ」

「・・・・」

「マスター、病院へお連れした方が・・・」

「エクス。もう手遅れだ。マスター黒騎士になってこの方の介錯をしてあげた方が」

「本物じゃ! なら、これを見ろ!」

 そういって神(自称)は一枚の紙をこちらに手渡した。

「自称じゃない! 本物じゃ!」

「無視して、どれどれ。ほぉ。私の個人データですね」

「ふむ!」

 そこには彼の名前、生年月日、出身地、そして今までこなしてきた依頼の数々。

「さすがじゃの。『黄泉路(よみじ)の案内人』、神無月(かんなづき)葵(あおい)」

「いえいえ。私はただ自分の成すべきことをしてきたまでです。それで私は死んだのでしょう? どうしてここへ?」

「うむ。簡潔に言おう。お前さんの力を貸してくれんか?」

「どういうことでしょう?」

「うむ。その前にお前さん、アニメは知っておるか?」

「えぇ。たまに見る程度で」

「ならこれは知っておるか?」

 そういって神は一つのDVDを見せた。タイトルは魔法少女リリカルなのは。

「これがどうかしたんですか?」

「うむ。その中にイレギュラーがはってしまっての」

「イレギュラー?」

「本来物語というのは作られた物。設定や登場人物もあらかた決めれらた者しか出てこな
い。じゃが、いくつもの世界のうちの一つのなのはの世界にイレギュラーが現れて物語が変わってしまっての」

「そのイレギュラーを排除してほしいということですか」

「そうじゃ」

「どうします?」

 そういって葵はエクスとルミルの方を見ると、二人とも、

「「マスターの身心のままに」

 その目には強い意志が宿っており、決意もある。彼は彼女たちに何度も助けられ支えられてきた。

「なら、決まりですね」

「ありがとう。それでじゃ。何か欲しい能力があれば3つまでならあげられるが?」

「三つ。うーん。武力は今までのままでいいし、せいぜい住む場所とお金ですかね」

「その辺はすでに手配しておる。安心して構わん」

「わー、太っ腹ですね」

「むしろそれぐらいは前準備でしてもらわないと困ります」

「となると、特にありませんね。後で決めてというはありですか?」

「構わんよ?」

「ではそれで」

「分かった。では行ってらっしゃーい!」

「「「へ?」」」

 すると、葵達がいた場所に穴が急に開き、

「イヤ――――――――!!!??」

「なぜ――――――!?」

「後で覚えておいてくださいね?」

 葵だけ何か黒い笑顔だった。


SIDE神

「葵だけ怖かった・・・・」

 そういって穴を見ると、ばっちり目があった神はガタガタと震えていた。

「そうじゃ、こっちも準備しておくかの。制服と、そうじゃった。お前さんもあいつらの
もとへ送るとしよう」

 そういって神は一匹の山猫を制服と同じ段ボールに入れた。

 段ボールを送り終えると、その場に三人の老人が現れた。

「無事に終えたか?」

 一人は老人にしては、あまりにも体つきが良すぎ、無駄な肉がなく、身体のあちこちに傷がある爺さん。

「はい。問題なく」

「そう。よかったわ」

 にこにこ笑いながらも、何を考えているのかいまいち嫁ない老婆。

「まぁ、あ奴なら乗り越えるじゃろこれぐらい」

 その場にいたのは白いひげの長く、頭の髪は無い爺さん。

 彼ら四人は葵が落ちて行った世界を見ながら、これからの行く末を考えてみていた。これから起きたことがまるで過去何回も起きるのを防ぐための布石のように。

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