小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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プロローグA’s

 こんにちは。【黄泉路への案内人】こと神無月葵です。

 私は今自分の家にいるはずなんです。そう。はず。

葵「・・・・エクス、ルミル。ここは私たちの家で間違いないんですよね?」

エ≪イエス。私たちの家ですね≫

ル≪まっ黒ですね。何があったんでしょう?≫

 貴重品や魔法具に関しては心の世界に入れているため何とかなるが、服、家事道具、調理器具はもう駄目だろうな。

エ≪! マスター! 直上に高エネルギー反応!≫

葵「はぁ!?」

 そのまま私に雷が直撃しました。


???「・・・き・・・」

 あれ、なんか声が・・・

???「・・・ん・・・か」

 ようやく意識がはっきりしてきた。

???「起きんか!!」

葵「フンッ!!!」

――バギッ

神「ぶるべふぁ!?」

 嫌な者を見た。

寝起きにあのクソ神の顔を見たので思いっきり右ストレートをかましてやった。

神「いきなりなにするんじゃ!?」

葵「寝起きに貴様を見たのだ。また、どうせ貴様の失敗で天界に来たのだろ?」

神「・・・・」

 無言。つまり肯定か。フフフフッ、一度ならまだしも二度もあいつのミスで私は、よし、殺ろう。死んでも、まだ殺りつくそう。そうだ、この恨みを晴らすまで!

葵「フフフフフフフフフッ。エクス、ルミル。いますか?」

ル「はい、ここに」

エ「いま〜す」

 私のすぐ後ろにエクスとルミルがいた。おそらく同じ気持ちなのだろう。

葵「蒼騎士。クソでも神は神です。一応ABP(オール・ブレイク・ファンタズム)が効くでしょう。殺しましょうか」

エ・ル「「はーい」」

 元気よく答える二人。それを見てダメ神は、

神「ま、まつんじゃ! お前さんに良い情報を与えるためにここに呼び寄せたんじゃ!」

葵「家を破壊した揚句に、人に雷を落とす。これでいい情報・・・・。笑わせないでほしいな・・・」

 さぁ、殺しの時間だ。神殺しの称号でも貰おうか。

神「まて! というか、その称号はまずいじゃろ!?」

葵「勝手に人の心を読むな。とりあえず理由だけ聞いてやろう」

 一応理由だけでも聞いてやろう。一応。

神「そ、その、お前さんは覚えているか、わしがお前さんのお願いを三つ聞いてやると言うのを」

葵「あぁ。覚えている」

神「じゃがのう、わしはさみしいんじゃ。一向にお願いしにこないから、出番も・・・って、剣をふりかぶるな、狙いを定めるな!」

葵「そんなくだらない理由でか?」

神「お、落ちつけ! じゃが上からの命令でいい加減さっさとお前さんの願い事を叶えんと色々とまずいんじゃよ! 主にわしの給与にって冗談じゃ!!」

 その後、ダメ神の言い訳を永遠と聞かされた。というか神って給料制なのか?

葵「はぁ、つまり最低でも一個、ここで叶えろと言うことか?」

神「そうじゃ!」

葵「と、言われても」

 もともと力はチート、というよりそうさせられた。あの師匠たちに。

 足りない物、足りない者・・・・・・・ない

神「そんなことわないで〜、おねがい〜!!!」

 そう言って泣きついてくるダメ神。キモい。

神「そうじゃ。お前さんの世界を調べておったらこんなものが出てきたぞ?」

 そこにあったのは私が高校まで使っていた魔法の授業の教科書。なぜある?

神「そこでこんな物を見つけたんじゃが、これなんじゃ?」

 神の癖に知らんのか!?

神「神だって万能じゃない。それはお前さんもしっとるじゃろ!?」

 でした。ミスって、間違って全く殺す予定の無い人間殺したりしますもんね。

神「グサッ!?」

葵「はぁ、どれどれ。あぁ、魔力回路契約」

神「魔力回路契約?」

葵「通称パス契約。つまり――」

 そう言って説明して、2時間。

神「なるほどの。簡単にえばネギ○の仮契約みたいなものか。仕組みも似とるし。ただ、カードではなく左手にお前さんとおんなじ模様がうめ込まれると。他にも、契約者は交えた者と一体となることができる。まるでユニゾンデバイスになるといっとるようなものか。なになに、契約した者によって【相対】【付属】【強化】と、違う内容で契約者をサポート強化する。どいうことじゃ」

 まぁ、簡単に言えば相対というのは水を扱う者ならば火を使えるようにする。付属とは武器で言うならその死角となる部分を補うモノがプラスされる。強化は言葉通りだから説明は省こう。

葵「まぁ、普通ならな。でも私にはそれが無いからキスはただのキスになるぞ?」

神「―キュピーン」

 ・・・なんかいやな予感・・・

神「ではさっそく! でぇ「させるか!!」ゲベェラッガ!?」

 再び右。神は地平の彼方へと消えた。

 そして、右腕で汗をぬぐっていると、右手に黒い翼と白い翼の刻印が記されていた。

 そう。いわゆる魔力回路契約のために必要なkeyを渡したのだ。

葵「・・・・あのクソ神!!!」

 その後すぐに神を見つけ殴り、叩き、つぶした。

葵「はぁ、はぁ、はぁ。ここまで勢いよく殴ったのは逃走中以来だ」

神「わ、わしも、ここまで瀕死の状態になったのは数百年ぶりじゃ」

 その後、これでお願い一つ消費ということで、何とかなったが問題がある。

葵「それで、私は今後どこにすむ予定だ?」

神「ん? お前さんならさっき車いすの少女が引きずっていったぞ?」

葵「・・・・はい?」

神「おそらくこれの重要人物じゃ。というかお前さん無印の時も原作を見ずに行きおったな」

 確かに。で、ボケ神が渡して来たのは魔法少女リリカルなのはA’sとかかれたDVD。

葵「続編ものか?」

エ「みたいですね?」

ル「ん? こっちにこんなものもあるぞ?」

 そういってルミルが持ってきたのはStrikerSと書かれた物。なのは達の成長した姿も映っていた。

葵「まぁ、みちゃったらおもしろくないしな。みないでおこう。あれ? そう言えばあのクソ神は?」

 そういってあたりを見渡すがそこにあのジジィの姿は見えない。あれ? なんか口調どころか性格も変わって来たような・・・まぁいっか。

???「みーっけ!」

―ふにゅん

 なにやら大人っぽい声と共に、背中に柔らかい感触が・・・って! この声は!

葵「こ、孤狐!?」

エ・ル「「孤狐様!?」」

 そこにいたのは白銀の髪に、日本人離れしたルックス。紫の瞳をもった女性。そして人とは絶対に違うのは、頭のてっぺんにある犬のような耳と、お尻あたりにある9つの尾。ぞくに言う九尾。俗に言うお稲荷様という豊作の神様の一柱だ。

孤「ん〜〜〜♪ この匂い、この感触、間違いない! 葵だ〜〜〜!!」

 そういって私のほほに孤狐の頬をすりつける。

孤「久しぶりだな」

葵「うん。ホント、あの時以来かな」

 彼女は私が精霊だと思い契約した神だ。なぜ、精霊と神を見間違えたか? 分からん。なぜかわからんがその愛くるしさになすがままに契約した。

孤「でもさ、あんた、大変な目にあってるらしいね。まぁ、あっちよりかは楽なんでしょうが。でも子供の葵もかわいい!」

 そういってさらに密着度を増す。まずいまずいまず! 特に理性が、精神が!!!

ル「こ、孤狐様。そろそろその辺で!」

エ「じゃないと、マスターが!!」

孤「ん? あ、そっか。いくら精霊皇で耐性ついていてもこれはキツイか」

 そう言って私を放した後、

葵「なぜあなたが?」

孤「あっちじゃ死んじゃったじゃん。でもね、契約が切れなかったの」

葵「? おかしいですね。それに平行世界でも契約が?」

孤「まぁいいじゃん。出会えたし―――あぁあああああああ!!!」

―キ――――ン

 耳元で騒ぐな。鼓膜が破れる。

孤「これ!keyじゃん! なんで、どうして!? 葵持ってないはずなのに!?」

 何やら興奮気味に騒いでいる孤k「いただきまぁす!」むぐっ

 いきなり唇に暖かい感触が宿る。・・・・これってまさか!?

―シュゥウウン

 すると、血管状に流れるパスが、孤狐とつながった。

孤「ごちそうさま♪」

葵「・・・・・きゅう」

―バタン

孤「あら?」

 それから数分経ち、ようやく意識を取り戻した。

葵「はぁ、やっぱりパスがつながっている。それに白書まで」

 白書。その名の通り白い書物。契約を示しまとめた書物のことでその者がだれと契約を交えた者がどんな魔法を使い、さらに交えた者に【付属】【相対】【強化】のいずれを与えたのか。それはどんな力なのかを記しまとめたモノだ。

葵「はぁ、とりあえずおきますか。私を助けた少女にも出会いたいので」

孤「そっか。じゃあボクは狐の姿になって葵のそばにいるね」

 さぁ、目覚めるとしよう。そして始めよう。

――新たな物語を

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