小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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第四話


 高町士朗を死の淵から呼び戻して月日が流れた。

「ということで、引っ越しに伴い転入してきました神無月葵と申します。以後よろしくお願いします」

 そういって葵は自己紹介をする。本来葵は20歳。それに飛び級による大卒の資格もある。

 が、なぜこうなったかというと、


――回想・なのはと出会った日

 リニスと同時に贈られた制服はここからバスに乗って少し行った場所にある聖祥大付属小学校と分かった。レベルはここら辺では高いらしい。
 
 段ボールには神様から送られてきた手紙があり、そこには『いずれ必要になる』とだけ書かれていた。 
「と言われても私は小学校に行く必要もないと思うんですよね」

 エクスとルミルの情報収集によりこの地球の学習レベルが葵から見ればかなり低いというのが分かっていた。

「中学校でまだルート計算はおろか、因数分解も入っていないとは・・・」

「歴史もかなり古い物を使っていますね」

「これって小学生レベルじゃないのかな?」

 その光景を見ていたリニスは、

(この人たちの頭脳派チートです。小学校で因数分解はしませんよ普通は)

「さて、どうしましょう。明日からはとにかく情報収集に―――」

「葵さん。やはり小学校に行ってみてはいかがでしょう?」

「いえ、しかし」

「思うに葵さんはこちら側の情報をほとんど手にしてませんよね?」

「ええ。ほとんど言うよりかは全くですね。元いた世界は魔法にあふれていましたがこっちはゼロ。まずそこも注意しないと」

「そこでですね。小学校に行って情報を収集。些細なことでも引っ掛かることもあると思いますよ。それに学校の帰り道にばったり。ということもあるのではないのでしょうか」

 リニスの意見を聞いて葵は少し考え。

「そうですね。その意見には一理ありますね。リニスにはその間、家を護ってもらうことになると思います。あと、エクスとルミルは連れて行くので」

「そうなんですか? でも大丈夫なのですか」

「えぇ。彼女達はいろんな形態を取れるので問題ないかと。あとリニスの方でも情報収集をお願いします。意見をくれてありがとうございますね。リニス(ニコ)」

 そういって葵は満面の笑みでリニスに感謝した。

「///!! い、いえ! どういたしまして!(あの笑顔は何ですか!? 反則です!)」

「あぁ、マスターまたフラグ立て・・・」

「はぁ、私たちですら落とせないのにどんどんライバルが・・・」

 などとエクスとルミルが呟いていた。

――回想終了


ちなみにエクスとルミルは不可視の魔法によって見えないようにしている。

 そして現在。女子からは「きれいー!」とか「お人形さんみたい!」とか「お持ち帰り―!」とか。言われている。

(最後のは犯罪ですよ?)

 男子からは「イケメンだと!?」とか「コロスコロスコロスコロス」とか「討伐令」など物騒な発言が出ていた。

(なぜ女と勘違いされなかったんだ?)

 と考えていたが、すぐに制服のおかげですぐに男子と分かったんだという結論に至った。

(小学校ですよねここ?)

 葵がそう思うのも無理はない。明らかに子供の行動力プラス大きい子供の発想が加わり(特に男子)はあまりに物騒だ。

「あ! 葵君!」

「おや、なのは「なのはだとー!!」え?」

「聖祥の三美少女の高町さんを呼び捨てだと!?」

「許すべからず!」

「殺す! 滅殺する!!」

「あ、あはははは・・・・」

 葵はただ苦笑するしかなかった。

「先生。とりあえず私の席は?」

「そうね。高町さんの隣に「殺す気ですか?」だってそっちの方が面白いじゃない♪」

「・・・・(ここ、本当に小学校?)分かりました」

 しぶしぶながらも葵はなのはの隣の席に座り、

「よろしくねなのは(ニコ)」

「う、うん///(かわいすぎなの! ほんとうに男の子だよね!?)」

 と、フラグを立てるのでした。

(ん? またか。だんだん距離をつかめてきたぞ?)

 はい? まぁいいや。そしてHRが終わり一時間目の授業に入ると、

「さて、一時間目の準備を・・・あれ?」

 すると、葵の周りには人垣ができていた。

「神無月君はどこから来たの?」

「前にいた学校ってどんな感じ!?」

「神無月君、趣味は!?」

「神無月君は女の子? 男の子?」

 などと質問を受けていると。

「あんた達、いい加減にしなさい! 彼も困っているでしょうが!」

 そういってあの人が気を突破してきた金色の髪の女の子がいた。

 それに遅れてどこかおっとりとした女の子となのはもきた。

「えっと、あなた方は?」

「わたしはアリサ・バニングよ」

「月村すずかです」

「よろしくね二人とも。あと助かったよ」

 そういって笑顔で返すと、

――ボンっ

「あれ?」

「え、な、なんでもないわよ!(な、なによ、今のかお///)」

「な、なんでもにゃいよ!?(か、かわいかった///)」

 しかし一人だけ、

「ぶ〜〜〜〜〜!!(ライバルふえちゃったよ!)」

「さて、質問に答えようか。最初の人。北海道(嘘だけど)から来たよ。次の人は前の学校との比較だったね。あまり変わらないというのが答え。趣味は家事全般。小物作りも得意かな。あと読書もね。次は女か男なら私は男だよ」

 そういてって次々と質問に答えるが、途中でアリサから順番にという指示が出たので周りがそれに合わせた。

 その後授業を難なく答えた。それにあまりよくしない先生が因数分解というこっち側の小学生が答えられない問題を出してきたが難なく答え、かわりにフェルマーの最終定理を出し返り討ちにしたりなど意外と茶目っ気も出した。

 そして昼休み。

「さてと、お弁当に「葵君! いっしょに食べよ!」はい?」

 声がした方に目を向けるとなのはとアリサ、すずかの三人がいた。

「よろしいのですか?」

「えぇ。というかその敬語やめてくれない? あとなのはと一緒で名前でいいから」

「わたしもそれでいいよ」

「と申されましても、これが素、いや、ごほん。これでいいか? アリサ、すずか」

「「「///」」」

「ど、どうした?」

「な、なんでもないわよ!(しゃべり方変えるだけでこれって///)」

「そ、そうだね!(かわいいからかっこいいになったよ〜///)」

「は、はやくいくの!(葵君かっこいいよ!///)」

「分かった。〈エクス、ルミル。この口調、何か変か?〉」

〈〈ぷしゅ〜〜〜〜///〉〉

「〈あれ?〉」

 神姫二人とも撃沈。その後口調を変えた葵。だが、一人称は癖で変えなかったらしい。

 その後屋上にて昼食。

「「「「いただきます」」」」

 そういって各自弁当箱のふたを開ける。

「葵君のお弁当おいしそうだね?」

「そうか? これぐらい普通だと思うが?」

「ひとつもらっていい?」

「どうぞ。どれがいい?」

 そういってすずかは卵焼きをチョイスした。

「わかった。はい、あーん」

「ふぇ!?」

「ん? どうした? あーん」

「(あーんって///)あ、あーん・・・」

 そういって照れながら食べるが当然味など恥ずかしさのあまり分からない。

「どうだ?」

「お、おいしいです///」

「そうか。それは良かった。自信作だから」

「え!? これあんたが作ったの!?」

「あぁ。叔父はではらっている時間が多くてな」

「そ、そうなんだ・・・」

「ご、ごめん」

「気にするな。それより食事中だ。湿っぽい空気と食事は合わない。ほれ。二人ともどれがいい?」

「え!? じゃ、じゃあこれ」

 そういってアリサが選択したのはアスパラのベーコン巻。

「はい、あーん」

「(うっ/// すずかがしているのを見て思ったけど、いざやるとなったら恥ずかしいわね。でも!)あーん」

 咀嚼(そしゃく)し、そして、

「お、おいしい・・・///」

「そうか。良かった。なのはは?」

「じゃあこれ」

 指差したのはミートボールだ。

「あーん」

「あ、あーん///(ふにゅ〜〜/// 恥ずかしさとうれしさが〜〜〜)」

 そして咀嚼。

「おいしい!」

「なのは、それはいくらなんでも冷凍「それも私の手作りだ」えぇえー!?」

『神無月葵――――――!!!!』

「これは、クラスの男性陣。何か用か?」

「決まっている。クラスの三美少女と食事だけでなく、あまつさえ「あーん」だと!? うらやm・・・じゃなくてけしからん行為を!」

「気にするな。好きでやっているだけだ。ならお前らもしたらどうだ?」

「な、んだと?」

「その前に三人の許可を取るのが前提だがな」

「お前はしたのか!?」

「・・・・忘れてた」

『殺す!!』

 そういって全員がこっちに向かってくるので葵は、

「よっと」

 そのまま前に突き進み、一気に棒高跳びの要領で飛び、人間離れした跳躍力で一気に屋上の入り口まできた。
「さらば!」

 そういって階段を下りて行く。

「後を追え!」

「逃がすな―!」

 屋上に取り残されたクラスは葵の後を追う。そして屋上にはなのは達しかいなくなった。

「にゃはははは、葵君大丈夫かな?」

「さぁ?」

「し、心配だよ〜」

 そして全員がいなくなったのを見計らって、

「全く、落ちついて昼食も食べれないな」

「「「なんで!?」」」

「なにが?」

「あんた、あいつらに追いかけられて屋上から!?」

「あぁ。屋上の扉の裏に隠れた。たまた入り口周辺誰もいなかったからな」

 そして何事もなかったように昼食を再開した。

 その後授業も難なく受け、あっという間に放課後。

(確かにつまらなかった。割愛してもらった方が私としてもうれしいな)

「葵君! これからひま?」

「なのは。いや、今日の御勤めも終わったし後は帰えるだけだが?」

「ならちょうどいいわ。これからあんたの歓迎会するから」

「よかったらこない?」

「翠屋? あぁ、なのはの両親がやっている喫茶店!」

「うん!」

「知ってるの!?」

「まぁ、成り行きでね。いいよ。じゃあ行こうか」

「「「は〜い♪」」」

 そういって帰り道に翠屋に寄っていき、あっという間に翠屋。

――カランコロン♪

「いらっしゃい、ってあらなのはにすずかちゃん、ありさちゃんに、葵君だったかしら?」

「はい。御無沙汰です桃子さん」

「おや、君は」

「はじめまして。神無月葵といいます」

 そういって葵は士朗に一礼した。

「はじめまして。私はなのはの父親で高町士朗だ。ここのオーナーもやっている」

 すると、士朗は葵の近くに行き、

「やはり君かい? 私を助けたのは?」

「えぇ。あの時も言いましたがなのは達を悲しませるのはいやでしょ?」

 小声で相手にしか聞こえないように話す。

「本当にありがとう。今日は私のおごりだ。好きなだけ食べて行くといいよ」

 そういって最後の言葉はアリサとすずかにも聞こえるように言った。

「ありがとうございます」

 そういって葵はコーヒー(ブラック)とモンブランをいただいている。

「そう言えば葵君は本当に見れば見るほど女の子に見えるわね」

 そう言ったのは桃子だ。

「えぇ。よく言われます」

「あら? 怒らないの?」

「ん〜どうでしょう。この顔は生まれつきですし、それにこれはこれで結構気に入ってるんですよ」

「あら、そうなの?」

「はい。レディースデーとか、女性限定の割引とかいろいろと」

「あらあら、意外と主夫しているのね」

「えぇ。最近だと外食でも結構安く買えますしね」

 と、何とも言えない話をしていた。

「なら、これ着てみる?」

 そういって取り出したのは一着のメイド服。

「・・・なぜに?」

「かわいいからよ」

「はぁ。まぁ着てみましょうか」

「「「着るの!?」」」

――数分後

「ふむ。悪くない。というか女ものの服というのは動きやすいですね」

「「「〜〜〜〜///」」」

 そこには悶絶する三人の少女と、

「あらぴったり!」

「ではこれでお手伝いをしましょうか?」

「いいの!?」

「えぇ」

 その後お人形さんみたいな男の娘がお手伝いしていると一気に広まり、その噂の影響で翠屋は過去類を見ない売り上げをしたとか。

-5-
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