小説『黄泉路への案内人』
作者:楽一()

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デート編 エクス・ルミル


SIDEエクス・ルミル


エ「ん〜」

 エクスが、なにやら考えていると部屋の扉が開き、

ル「? どうしたんだエクス?」

エ「あ。ルミル。うんとね、今ままでマスターの御嫁さん候補たちと距離縮める作戦でデートを公認したよね?」

ル「あぁ。確かに。おかげでマスターも少しずつ進んでいるしな」

エ「そうだね。そうなんだよね。でもさ」

ル「でも?」

エ「私もデートしたいよ!! マスターとデート!!」

 すると、エクスはまるで駄々をこねる子供のように地面でジタバタし始めた。

ル「お、落ちつけ!? でも確かにそうだな。そうだ。ちょうどいい」

エ「!? 何か思いついたの!?」

ル「これなんてどうだ?」

エ「どれどれ? おぉ! さすがルミル!!」


SIDEout


葵「ん〜。・・・・あれ? え、エクス!? ルミル!?」

 私が目を覚ますと、いつものはやてとヴィータの特等席にはエクスとルミルがいた。

葵「な、なんでお前らが!?」

ル「ん・・・あ、マスター・・・」

エ「ふわぁ〜。おはようございます」

葵「あ、あぁ。おはよう。じゃなくて!? なんでお前らが具現化しているんだ!?」

ル「何故とは愚問だな」

エ「今日は私たちとデートしてもらいます!」

葵「・・・は!?」

ル「で、今日はここに行くのだ!」

 そういってルミルが取りだしたのは一枚の広告。そこには、

葵「海鳴温泉?」

エ「一度なのはちゃんとその一家で出かけたあの温泉です!」

ル「たまにはゆっくり休むのもいいかと思ってな」

葵「はぁ・・・でも今はお客さんもいっぱいだから「大丈夫だ!」え?」

ル「もう予約も済ませてある」

エ「大丈夫ですよ!」

 なんという行動力・・・・。まぁ理由があるんだろうがな。

葵「・・・・で、実際はどうなんだ?」

エ・ル「「え?」」

葵「何年お前らとパートナ組んできたと思っているんだ。予想だが、大かたお前らなのは達の姿を見てデートをしたくなったというあたりか?」

エ「・・・さすがマスター」

ル「うむ。あたりだ」

葵「やっぱり」

エ「でもマスターの体を心配もしてるんですよ?!」

ル「私たちはマスターあっての身だ。だから休んでもほしいと思う」

 その言葉に私は下手に断るわけにもいかず。

葵「はぁ。分かった。では準備していくか」

エ・ル「「は〜い!」」

 その後、準備をして目指すは温泉地。

 で、数十分後には到着。

 え? 何をしたかって? 簡単だ。魔法で人気のない場所に移動して到着。簡単だろ?

仲居「いらっしゃいませ。えっと、何名様でしょうか?」

葵「えっと、予約していた神無月ですが」

仲居「神無月様ですね。・・・はい。確かに予約を承っています。ではお部屋にご案内いたします」

 そう言って案内された部屋は・・・・

葵「・・・・マジでここなんですか?」

仲居「えぇ。確かにここで間違いないはずですよ」

 部屋の外からは日本庭園が見え、外にはそれを一望できる露天風呂付き・・・え? 予算はどこから?!

エ「大丈夫ですマスター!」

葵「・・・本当に大丈夫なのか!?」

ル「マスターとは別にお給料はもらってますよ。これぐらい」

 そう言ってルミルは給料明細を見せてくる。ざっと見ただけでもなのは達を簡単に上回っている。私よりかは下だが。

葵「・・・何ともまぁ」

ル「さて、では来て早速だが旅館といえば温泉だな」

エ「というわけで行きますよマスター!!」

葵「え?え? えぇ!?」

 と、言われるままに二人に両腕をつかまれ、ずるずると温泉の男女と分けるあの、のれんの前まで来てしまった。

エ「では行ってきます!」

ル「またあとでな。マスター」

葵「あぁ。楽しんでくるといい」


SIDEエクス・ルミル


エ「る、ルミル。ほ、本当に大丈夫なの///?」

ル「だ、大丈夫だ! ま、マスターは必ず来るはず・・・多分///」

 二人はまるで湯あたりしたかのように顔が真っ赤になっている。

ちなみに例えで湯あたりと出したが、彼女たちはまだ脱衣所の中で、お湯にすらまだ使っていない。

エ「でも、でも! マスター以外の人が来たら!?」

ル「抜かりはない」

エ「え?」

ル「マスター以外の人に反応するよう人よけの結界を張っておいた」

 この時エクスは思った。ルミルほど用意周到な神姫、デバイスはこの世にいるのだろうか? まずなのは達が持っているレイジングハート達には無理。そして、アインやリインにもこのような状況でそこまで頭が回るとは思わない。つまりルミルを味方につけている自分はかなり強い位置にいるのではと思ってしまった。

ル「と、とりあえず行くぞ!」

エ「う、うん!」

 そして彼女たちは扉を開ける。戦場への。


SIDE out


 私が脱衣所から出ると、まるで貸切のように人がまるっきりいない。

葵「・・・時間帯のせいか?」

時刻は四時を少し回ったぐらい。中途半端といえば中途半端だ。だが、客が一人もいないというのもまた不思議だ。

葵「お。露天風呂か。そう言えば、あの時はあの時は室内で終わったからな」

 そういって私は体を洗い、露天風呂に向かった。

―ガラ・・・・

葵「え?」

エ「ど、どうも・・・・」

ル「・・・・」

―バタン!!!

 おかしい。おかしいぞ。入口は男女別々。中のお風呂も別々。これは当然ともいえるだろう。なら、ならなぜ外の露天風呂にエクスとルミルがいる!?

葵「幻覚なのか? いや、疲れがたまって・・・」

 そして意を決し、もう一度開ける。

 だが、やはりそこには、

エ「ま、マスター、閉めるなんてひどいじゃないですか!?」

ル「確かに」

葵「いやいや、普通考えないだろ。混浴なんて」

ル「とりあえず湯に使ったらどうだ?」

葵「そうさせてもらおう」

 お湯に入ると、両脇には当然エクスとルミルが寄り添ってくる。

葵「・・・///」

その後はただ黙って外の景色を見ていた。どれ位湯につかっただろう。エクスが急に、

エ「あ、あのマスター」

葵「?」

エ「マスターはなんで私たちのマスターになろうと決めたんですか?」

葵「どういう意味だ?」

ル「確かにそれは私も気になる。変な意味ではなく、純粋にそう聞きたい。私たちは神姫。デバイスに近いモノだぞ?」

葵「・・・あの時の私は少しでも話し相手がほしかったんだろ。暗い牢屋に私一人しかいなくなり、話し相手もなにもいなかった。だがそんなある日お前たちに出会った。それで生きる希望と、心に多少のゆとりが出た。それだけでどれだけ救われたか」

エ「・・・・」

ル「・・・・」

葵「あの後もお前たちは私の心の支えだった。いつもそばにいて、いつも私を支えてくれて、当然のようにいて、当然のように話す。もう私の体の一部のようなものだな」

エ「マスター・・・・」

ル「その言葉だけで私たちも今を生きてきてよかったと思います」

 すると、ルミルが私の顔に彼女の顔を近づけ、

―チュッ

エ「ルミル!?」

葵「!?」

ル「神姫なので契約はできませんが、私の気持ちです。私はマスターが大好きです。昔も、今も、そしてこれからも」

葵「る、るるるルミル!?」

エ「ずるい! 私も!」

―ちゅっ

葵「え、エクス?!」

エ「私もマスターが好きです。ただの好きじゃありません。一人の男性としてマスターを好いています!」

 この後もエクスとルミルが離れることなく、寝るまで一緒にいた。

 まぁ、帰宅すると、色々といた。魔王、死神姉妹、タヌキに、般若に、吸血鬼に、九尾、狂戦士に、ゴスロリハンマーに・・・・あぁ。思い出しただけで怖い・・・・。


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