小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第9話 晴れろォ――――――――!!!!


アゲハ
『あれか……』

今、オレの目の前には不気味な洋館のような物が建っている。
門をくぐろうとすると門番のらしき奴等が出てきてオレを止めた。

「止まれ」

「ここから先は立ち入り禁止だ。出ていきな」

門番たちがオレを押し返そうとする。

ワリィがテメエらなんかに構ってる暇はねぇんだ。

アゲハ
『どけ…』


ブアッ!!


「うわぁあああああっ!!!」

「な、何だぁ!!?」

オレはバーストエネルギーを自身の周りに放出して、門番たちを吹き飛ばした。

アゲハ
『ケガしたくなかったら邪魔するな』

オレは門をこじ開け、アジトの中に入った。アジトの中は大広間のようになっていてけっこう広い。

アゲハ
『ほいほいっと、お邪魔しまーす』

そう言いながら広間の中央に向かえば、何人もの目がオレを見る。

「何だぁ?誰だよコイツ」

「門番は何してんだ」

アジトに入ってきたオレを見て中の奴等が次々と出てきた。見たところジュビアはいないみたいだ。

アゲハ
『お前らのボスは誰だ?話がある、出てきやがれ』

「ボスに話ぃ?こりゃ命知らずな奴が出てきたな。ボス━━━!!お呼びですよー」

下っ端っぽい奴が組織のボスを呼ぶとアジトの奥の方から一人の男が出てきた。
うっわ、筋肉ムッキムキだな。いかにもヤクザって感じ……

ウライ
「オレに何か用か?」

えっらそうに広間の奥にある豪華な椅子に座りながら問いかけてくるおっさん。

アゲハ
『お前がこの組織のボスか?』

ウライ
「いかにも、オレがレインフォールズのボス ウライだ」

律儀に答えてくれるおっさん。聞きもしないのに色々と教えてくれた。どうやらこの組織の名前はレインフォールズというらしい。……そのまんまだな。やってる事と全く同じじゃん。っといけねぇ、本題に入らないと………

アゲハ
『アンタがボスだってんなら話は早い。オレの用件はひとつだけだ……今すぐこの雨を止めろ』

「雨を止めろだぁ?」

「はあ?何言ってんだコイツ」

「止める訳ねぇだろバァーカ!!」

「「「「ぎゃはははははははは!!!」」」」

オレの要求に笑い出す下っ端たち。ムカつくなこいつら……ぶっ飛ばしてやろうか………

ウライ
「部下たちの言う通り、その要求は却下だ。この雨は我々の計画に必要不可欠だからな」

アゲハ
『計画?なんだそれは』

そういえば目的が何なのか知らなかったな。

ウライ
「ふん、お前に教える義理はない……痛い目を見ないうちにさっさと帰れ。今日のオレは機嫌がいい、少年よ、命拾いしたな」

しっしっ、と手を払う仕草でオレに出ていくように告げるウライ。けどそんなものに従う気はない。

アゲハ
『黙れ、さっさと雨を止めろって言ってんだろうがこのくそ野郎共。ぶっ潰すぞ』

オレの言葉にレインフォールズの奴等が額に青筋を浮かべる。単純なやつら。

「カッチーン、ボス!!コイツやっちゃいましょうよ1!」

「こいつは生かしちゃおけねえ!!」

ウライ
「あたぼうよ!!小僧、後悔するなよ。オレらを敵に回してただで済むと思うな……」

アゲハ
『御託はいい。こうなりゃ力づくで雨を止める方法聞いてやるよ』

ウライ
「やれぇ―――――っ!!!ぶっ殺せぇ!!!!」

大人数でオレを囲んで襲いかかってくるレインフォ…ああもうメンドくせぇ!!これからはこいつらはザコ供と呼ぶ!!これ決定事項!!

アゲハ
『“電磁’n”【ショッカー】』

「「「ぎゃあああああああああああ!!!!」」」

オレは自分の周りに電撃を発生させ、ザコ供に食らわせた。

「なっ!?」

「一瞬で半分以上がやられた!?」

“電磁’n”の電撃で仲間が半分以上やられたザコ供は予想外の状況に動揺する。

アゲハ
『そういえばオレはまだ名乗ってなかったな。魔導士ギルド 妖精の尻尾の夜科アゲハ、テメェらを潰す男の名だ。覚えとけ!!』

「妖精の尻尾!?」

「魔導士ってことはボスと同じ!?」

ザコ供がオレが魔導士だということに驚く。ってかボスと同じ!?ということは……

ウライ
「貴様……魔導士だったのか…」

ウライがオレに話しかけてきた。

アゲハ
『お前こそ、そこの部下の口ぶりだと魔導士らしいな』

ウライ
「そうだ。どうやらお前もオレと同じ雷を操る魔導士らしいな」

ブッブー!半分不正解でーす。確かに雷も使えるけど、それは力のほんの一部だからな。ま、口には出さないけど。

ウライ
「お前ら、下がれ。コイツはオレが相手をする」

「うおおお!!ボスが戦うなら安心だぜ!」

「ボス!!やっちまってください!!」

アゲハ
『うるさい、電磁’n 』

「「「「ぎえぇえぇえええええ!!!」」」」

電磁’nを食らったザコ供が気絶して静かになった。あ〜スッキリしたぁ〜〜

ウライ
「なっ!?貴様ぁ……よくもオレの部下たちを」

アゲハ
『んな事はどうでもいいから、痛い目見ないうちにさっさと雨を止めろ』

ウライ
「黙れ!!オレの愛する部下たちを殺した貴様を許す訳にはいかん!!」

『「「「(いや、死んでねえし)」」」』

オレとザコ供は一緒になって心の中でツッコんだ。

ウライ
「いくぞ!!サンダーボルト!!」

ドゴゴゴゴゴゴゴ!!!

ウライは手から雷を放ち攻撃してくる。

アゲハ
『はあ、しょうがねぇな。文字通りぶっ潰してやる』

オレはライズを使って雷を避け、素早くウライの懐に潜り込む。

ウライ
「なっ!?消えっ……グハァ!!」

オレはウライの顎にアッパーを放った。そのついでにオレはPSIを使ってウライの頭上に“仕込み”をしておいた。アッパーをもろに食らったウライだがすぐに起き上がってきた。

アゲハ
『おお!頑丈だな。でも今のでわかったろ。お前じゃあオレには勝てねえ。おとなしく雨を止めろ。お前らのせいで村の人たちが迷惑してんだ』

ウライ
「断る!!ここまで来て計画の頓挫など、天国の部下たちに顔向けできんわぁ!!」

アゲハ
『いや、だから死んでねえって』

つーかあいつら仮に死んだとして天国行けんの?

ウライ
「部下たちよ今敵をとってやるからな!!」

ウライはオレがツッコんでも聞く耳を持たない。

アゲハ
『はぁ〜、メンドくせ………もう終わりにするか』

オレはウライの頭上に手をかざす。これで終わりだ……

アゲハ
『マテリアル・ハイ』

ウライ
「何をしている?」

アゲハ
『すぐに分かるさ。固定解除【フォールダウン】』


ズンッ!!


ウライ
「何を……
っ!!!ぐぉおおおおおっ!!?」

あらかじめ仕込んでおいたPSIで大気を圧縮した透明の物体をウライに落とした。重みに耐えきれず、ウライは地に伏せる。そんなウライにオレは近づき、言った。

アゲハ
『このままマテリアル・ハイに押し潰されて死ぬか、おとなしく雨を止めるか、どちらか選べ。十秒だけ待ってやる』

オレはウライに二つの選択肢を用意してやった。

ウライ
「ふ、ふん。ど、どうせ脅しだろう。殺すなんてそんな……」

アゲハ
『10、9、8、7……』

ウライ
「え?ま、まさか……冗談だろ?」

アゲハ
『6、5、4』

ウライ
「(コ、コイツ、目が本気だ!!)と、止める!!止めるから助けてくれぇ!!!」

アゲハ
『……いいだろう』

ウライに落としたマテリアル・ハイを解除し、オレは新たにマテリアル・ハイで即席の手錠を作り、逃げられないように拘束した。

アゲハ
『じゃ、まずお前たちの計画とやらについて教えろ』

実は結構気になってたんだよね。

ウライ
「……オレたちは雨乞いの儀式で雨を降らせていたんだ」

アゲハ
『雨乞いの儀式?』

聞いたことねえな。

ウライ
「雨乞いの儀式によって降る雨には少量だが魔力が含まれている。オレ達の目的はその雨水を濾し出し命の水を作ることだった」

アゲハ
『命の水……なんじゃそりゃ?』

ウライ
「命の水を飲めば、生命力が上がり、今の何倍もの力が手に入ると古文書には書いてあった。そして七年前から俺たちは命の水を作るためこの町で雨を降らせてきたんだ。ろくな兵力もなっかったし根城にするにはこの村はちょうどよかった。三年ほどで完成させる予定だったが命の水を作るのに必要な魔力はとてつもなく多く、七年経った今でも完成していない。完成まであと少し……だったんだがな」

アゲハ
『そりゃ残念だったな。お前の計画はここで終わりだ』

それにしても命の水……ね。そんな物があったなんてな。あれ?そういえばジュビアについてはどうなんだろう?

アゲハ
『おい、ところで五年前にお前らが連れてきたっていう女は何者なんだ?』

ウライ
「ああ、あの女か。五年前に外に出れば必ず雨が降るという女の噂を聞き、計画を円滑に進めるため家賃ゼロの家を貸すという条件でここに連れてきたんだ。雨乞いの儀式だけではそこまで雨を降らすことはできなかったからな」

あっれー、思ったよりも軽ーい理由だったな。家賃ゼロの賃貸につられただけかよ。
じゃあジュビアは何も知らねえんだな。

アゲハ
『よし、んじゃそろそろ雨を止めてもらおうか』

コイツらの計画とやらも分かったことだし、そろそろ雨を止めねえと。

ウライ
「………出来ない」

アゲハ
『はあ!!?テメェ殺されたいのか?アァン!?』

オレがパキパキと指を鳴らすとウライは焦ったように弁解する。

ウライ
「待て待て待て!!止めないんじゃなく止められないんだ!!」

アゲハ
『……どういうことだ?』

ウライ
「長い間雨乞いの儀式をしてきたせいでこの村の上空の雨雲自体が魔力を帯びるようになったんだ。そのせいで雨雲は自然には決して消えることがなく、雲にも流されないものとなった」

つまりはその雲を消さない限りずっと雨は降り続けるってことか。

アゲハ
『自然には消えないってことは人為的に消す方法はあるんだな?』

ウライ
「あることにはあるが……不可能に近い」

アゲハ
『何でもいい、言え!!』

ウライ
「……雨雲に直接穴を開けて無理矢理消す。この方法しかない」

アゲハ
『雲に穴を開ければいいんだな、分かった』

雨の止め方を聞いたオレは館を後にしようとするが言い忘れたことを思い出しウライに向き直る。

アゲハ
『言い忘れてた。お前ら、雨が止んだら村人たちにちゃんと謝れよ。それとその雨女とやらに事情を話して元々住んでいたところに戻るよう言ってくれ。それだけだ、じゃあな』

そしてオレは雨を止めるため館を飛び出した。

アゲハ
「どこか都合のいい場所は……あった!!」

雲に穴を開けるのにちょうどいい高さの場所を探していたオレは近くの小高い丘を見つけ頂上まで上った。

アゲハ
『よし、ここなら家が一軒あるだけだし、被害もないだろ。さ〜て、始めるぜ……パイロクイーン・サラマンドラ!!!』

マテリアル・ハイと共に最近使えるようになったPSI、パイロキネシスで作った紅蓮の悪魔を発動する。

アゲハ
『あの雲を蹴散らせ!!』

サラマンドラから炎のビームを発射させる。炎は一直線に雨雲へと向かっていく。



アゲハ
『晴れろォ――――――――――っ!!!!』



紅蓮の炎が雲を突き抜け、雲は弾けとんだ。見上げた空は見事にきれいな青空でいっぱいになっていた。

アゲハ
『ハハッ、良い天気だ』

弾けとんだ雲の上から太陽の光が降り注いだ。オレは空を見上げ先程約束を交わしたあの少年の事を思い浮かべ、言った。

アゲハ
『約束、守ったぜ』

あいつ…笑顔になれたかな……

アゲハ
『さて、戻るとするか』

???
「あ、あの!!」

アゲハ
『ん?』

依頼完了の報告をしに町へ戻ろうとすると誰かに声をかけられた。
振り返ってみるとそこに立っていたのは幽鬼の支配者【ファントムロード】、エレメント4の一人……ジュビアだった。

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