小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第11話 どぅえきてぇる


クエストを終え、マグノリアに帰ってきたオレはエルザがショウウィンドウをじっと見つめているのを見つけた。

アゲハ
『あれ?エルザ、何してんの?』

エルザ
「なっ、ア、アゲハ!?い、いや別にケーキの食べ過ぎで今月ちょっと太ったからケーキを食べるのを自重しようと思っていた時に美味しそうなケーキを見つけて決心が揺らいでいたわけでは断じてないぞ!!」

アゲハ
『エルザ、全部言っちゃってるよ。てかずいぶん長い言い訳だったな。太ったのか?』

エルザ
「〜〜〜〜〜〜///!!言うなぁああああ!!!!」

バキィ!!

アゲハ
『ぐはあああ!!!!』

顎にものすごい衝撃を感じたと思ったらオレの視界が反転した。何とか飛びかけていた意識を取り戻すことに成功。
あ、危なかった。とっさにライズを発動できたから良いものの今の拳には白いオーラが見えた。下手したら死んでたぞ。

なんとか受け身をとったオレは追撃が来る前にDO☆GE☆ZA☆を発動した。
まだ怒りは収まりきっていなかったみたいだけど、DO☆GE☆ZA☆のお陰でなんとか許してもらえたようだ。
ふ〜、よかったよかった。と思っていたら今度は説教タイムが始まった。まあ殴られてボコボコにされるよりは良いけど。

エルザ
「全く、お前はデリカシーが無さすぎる」

アゲハ
『す、すいません……』

今オレたちはマグノリアの商店街を歩いている。ちなみにエルザの説教は割りと大きな声で行われる。故に悪目立ちするのだ。
こらそこ!!笑うな!!うぅ…結構恥ずかしいんだぞ!

エルザ
「そんなことでは彼女にも嫌われるぞ」

アゲハ
『いや、彼女なんていないし。それにオレそういうのってよく分かんないんだよな』

エルザ
「まあ、まだお前は14歳だしな。色恋沙汰にはまだ早いかもしれんな」

アゲハ
『そういうエルザだって彼氏いたことないじゃんか〜』

エルザ
「うるさい、余計なお世話だ!!」

ガン!!

アゲハ
『いでっ!!そのすぐ手が出る癖なんとかなんないのか?そんなに叩かれるとオレいつかバカになっちゃうよ』

あ〜、くそ涙出てきたぞコンニャロ!

エルザ
「余計なことを言うお前が悪い」

アゲハ
『そりゃそうかもしんないけど……』

それでもやっぱりエルザはすぐに叩いてくると思う。

ぐぅううう〜〜…

エルザの手の早さがなんとかならないかと考えていると腹の虫がなった。

アゲハ
『あ〜腹減ったな〜。ってもう昼か、エルザいっしょにメシ食わねえ?さっきのお詫びでオレがおごってやるよ』

エルザ
「そうだな、ちょうど昼食時だしな。だが年下のお前におごらせるわけにはいかん、自分の分は自分で払う」

う〜ん、たまにエルザってオレの事後輩みたいに扱ってくるよな。いや実際後輩なんだけれども……

アゲハ
『まあ、エルザがそういうなら……』

こういうときのエルザは頑固なので素直に引き下がることにした。

アゲハ
『じゃあその辺の店に入ろうぜ』

オレとエルザは近くの飲食店を探す。

エルザ
「お、あそこなんか良いんじゃないか?」

エルザが指差したのは、オレから見てもおしゃれに見えるオープンカフェだった。

アゲハ
『良いんじゃないか?うまけりゃ何でも』

エルザ
「またお前は……とにかく席に座るぞ」

オレとエルザは空いてる席に座り、しばらくメニューを眺めて注文するものを決めると、店員を呼んだ。

店員
「ご注文はお決まりですか?」

エルザ
「パスタと紅茶を頼む」

アゲハ
『オレはハンバーグセット』

オレたちの注文を店員がメモに書き込んだ。

店員
「ご注文は以上でよろしいですね?今カップル限定のサービスメニューがあるんですがそちらもどうですか?」

エルザ
「カ、カップル///!?」

アゲハ
『あの、店員さん……オレら仕事仲間であってカップルじゃないんだけど……』

店員
「あ、失礼しました。すいません、あまりにもお二人がお似合いだったから、勘違いしちゃって」

店員さんの言葉にエルザは顔を赤くした。
やっぱりエルザも恋愛経験皆無なんだろうな。こんなことで顔赤くしてら。
にやにやしながら店員は注文を取り終え、厨房に戻っていった。その際に何かを落としていったので拾ってみた。

アゲハ
『ビン?』

渡そうとしたがすでに厨房に行っているため後で渡せばいいかと思い、テーブルの上に拾ったビンを置いた。

店員が去ってしばらくして、エルザも落ち着いてきたのか顔の赤みが引いていった。

エルザ
「全く、アゲハと私がカップルだなんてどう見間違えたらそういうことになるんだ」

アゲハ
『それはこの店に来る客が大体カップルだからだろうな』

エルザ
「え?」

オレの言葉にエルザが驚いて辺りを見渡す。周りにいたのはほとんどがカップルだった。

エルザ
「ななな、 何でこんなにカップルが多いんだ///!?」

アゲハ
『エルザ顔赤すぎ。なんでカップル見てるだけで顔赤くなるんだ?オレに色恋沙汰はまだ早いとか言ってオレより顔赤くしてんじゃ世話ねぇよな』

エルザ
「う、うるさい///!!」

ゴン!

アゲハ
『いってぇ〜〜〜〜!!!』

くっそ、今度は頭にげんこつ食らった。はぁ、たんこぶ……また増えたな。

店員
「お待たせしました。パスタに紅茶、そしてハンバーグセットです」

オレがげんこつの痛みに呻いていると店員が料理を持ってきた。
迂闊にもこの時オレはげんこつの痛みで店員の落とした物を渡すのを忘れていた。

この時忘れずに店員にビンを渡しておけばあんな事にはならなかったものを……(後日談)

アゲハ
『お、来た来た!!ほらエルザ、いつまでも固まってんなよ。もう料理来たぞ』

エルザ
「そ、そうだな。うん、今は食事だ食事」

しばらく食事をしていると、横に座っているカップルをエルザが見ているのに気づいた。見ればカップルの彼女の方が彼氏に料理を食べさせていた。

アゲハ
『ああいうのって良いもんなのかな。ちょっと気になるかも……』

エルザ
「さ、さあな。……………た、試しにやってみるか///?」

アゲハ
『は、はあ///!?』

何言ってるんだ!?え、ちょっ、マジで!?

エルザ
「ホ、ホラ、私はこういう経験がないし、どういうものか知っておきたくてな。アゲハも気になるとか言っていただろう。と…とにかくやるぞ!!口を開けろアゲハ///」

アゲハ
『ちょ、待てって///!!確かに気になるとは言ったけどこんないきなり……!!』

エルザ
「つべこべ言うな!私だって恥ずかしいんだ///」

アゲハ
『ならやんなきゃいいだろ!!』

エルザ
「今さらやめられるか!!ほ、ほら、あーん///」

アゲハ
『〜〜〜〜〜〜///!!!』

ヤ、ヤベエ、どうしよう、何か勢いに押されて断れねぇ。今日のエルザは何なんだ?いつもと様子が違う。明らかにおかしい、ってそんなこと考えてる間にあと数センチ━━━━━!!

ハッピー
「どぅえきてぇる」

アゲハ
『なっ!?ハ、ハッピー!!?』

声のした方に首を向けると、口を押さえて笑っているハッピーがいた。

ハッピー
「アゲハとエルザって付き合ってたんだね。オイラ知らなかったよ」

アゲハ
『違う!!!ちょ、話を聞けハッピー!!』

ハッピー
「うんうん、分かってるよ。誰にも言わないから!!じゃあね」


ガシッ


アゲハ
『いいから話を聞けハッピー…』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

ハッピー
「あい…」

オレはハッピーをエルザの元から連れだして無理矢理黙らせ事情を説明した。

ハッピー
「何だ、そういうことだったの」

アゲハ
『ああ、てか何でお前がこんな所にいるんだ?』

ハッピー
「オイラ今日は暇だったから街をぶらぶらしてたんだ。そしたらエルザがアゲハにご飯を食べさせようとしているところを見つけて…」

アゲハ
『オレらの所に来たって訳か。はぁ〜、にしても何でこんなタイミングで来んだよ。面倒くせぇ』

ハッピー
「それにしてもエルザどうしたんだろう。普段のエルザなら絶対にそんなことしないのに。変なものでも食べたのかな?」

アゲハ
『変な…もの…………あっ!!そういえばエルザの奴あの店員が落としたビンを調味料だと勘違いしてパスタにかけていた気がする!!』

ハッピー
「ビンって?」

アゲハ
『その話は後だ!!』

オレはエルザの所へ戻った。

エルザ
「アゲハ、遅いよ!急にいなくなったから寂しかったんだよ!」

アゲハ
『なっ!!?』

やっぱり普通じゃない。口調もいつもと違ってる。
オレは返事もそこそこに一直線にテーブルに向かい、店員の落としたビンを調べる。ビンのラベルには“すぐに効く 魔法の媚薬”と書いてあった。

あんの店員んんんんん!!
くそ、エルザの様子がおかしかったのはこのせいか!!

すぐに店員にもとに戻す方法を聞こうとするが、エルザに腕を捕まれてしまった。

エルザ
「アゲハ、またどこかに行くの?私のことそんなに嫌い?」

アゲハ
『うぐっ///!!』

エルザが涙目で訴えてくる。ダメだこんな目で見つめられたら離れられん。
かくなる上は…

アゲハ
『ハッピー!!このビンの持ち主の店員探して事情を説明してこい!!赤いリボンに茶髪の女の人だ、頼む!!』

ハッピー
「あいさー!!」



その後何とか店員を見つけたハッピーが事情を説明し、媚薬の解毒薬をエルザに飲ませることに成功した。

アゲハ
『ふう、これでひと安心だ。大丈夫か、エルザ?』

エルザ
「〜〜〜〜〜〜〜////」

オレがエルザに訊ねるとエルザは方を振るわせ顔を真っ赤にしながら……




ドゴォオオオオン!!!!




アゲハ
『ぐぁああぁあああぁああああ!!!!』

見事なアッパーカットをオレに決め、走って帰っていってしまった。

あとで聞いた話によると、媚薬が効いていたときの記憶がちゃんと残っていたらしく恥ずかしくなってオレにアッパーカットを決めたらしい。

その後一週間くらい、エルザはオレとまともに顔を会わせなかった。


余談だが、オレはエルザのアッパーカットを食らったあと五時間ほど気絶していたらしい。
恐るべし、エルザのアッパーカット………

そしてオレは名も知らない今回の騒動の原因である店員の女性を恨めしく思いながらその日眠りについたのだった。

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