小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第13話 初のS級クエスト



ギルドを出発して3日、ようやくオレは依頼主のいる村にたどり着いた。

アゲハ
『遠すぎんだろ……』

最近覚えた“瞬間移動”【テレポーター】で移動しようかと思ったけれど、さすがに行ったことのない場所でここまで距離があるとさすがに無理だった。一度でも行ったことのある場所なら行けるんだけどな……
村の入り口には依頼主が出迎えてくれていた。依頼主は30歳ぐらいのイケメンに分類されるであろう容姿の男だった。疲れているのか顔色が優れない。

何があったんだ?

ビラン
「よくぞ来てくださいました。依頼主のビランです」

アゲハ
『妖精の尻尾の夜科アゲハだ』

互いに自己紹介を済ませ、ビランさんはオレを家に招待した。ビランさんの家に行く途中村の様子を見てみたがどことなく生気が感じられなかった

応接室のような場所に通され、依頼の詳細を聞く。

ビラン
「私はこの村の地主でして、村長も務めています。この村はたまに魔物が現れることがありますがどれもそこまで強いものではなかったので、なんとか私たちの力で撃退することができていました」

アゲハ
『依頼の内容は魔物の討伐だったな。何があったんだ?今まで自分達で追い払えていたんだろう?』

ビラン
「……一ヶ月ほど前から以前とは比べ物にならないほど強い魔物が現れたんです。村の男たちは皆で団結して追い払おうとしましたが全く歯が立たず村の人口の約半分がその魔物に殺されました。その中に……私の妻も……!!」

それでか……ビランさんの顔色が優れないのも、村の雰囲気が暗かったのも……

ビラン
「このままでは次に魔物が襲ってきた時点で我々は滅んでしまうでしょう。藁にもすがる思いで、私はギルドに魔物討伐を依頼しました。どうかお願いです。魔物を討伐し、私たちの村を守ってください!!」

アゲハ
『分かった、オレに任せておけ。それで、その魔物はどこにいるんだ?』

ビラン
「魔物はこの屋敷の裏の山にある洞窟の中に巣くっています。どうかお気をつけて」

アゲハ
『じゃあ、早速行ってくる』

オレはそう言って応接室を出る。

アゲハ
『ん?君は…』

扉を開けた先には10歳ぐらいの少女がいた。どことなくPSYRENのグリゴリ07号に似ている気がする。っていうかそっくりだ。
その少女がこちらをじっと見つめているので話しかけてみることにした。

アゲハ
『どうかしたか?』

オレが声をかけると、少女が話しかけてきた。

レナ
「おにいちゃん魔物をやっつけに行くの?」

アゲハ
『ああ、そうだよ』

レナ
「行っちゃダメだよ!おにいちゃんも殺されちゃうよ!!」

この子……オレの事を心配しているのか?

ビラン
「レナ!!」

ビランさんが応接室から出てきて少女に駆け寄る。
どうやらこの子の名前はレナと言うらしい。

ビラン
「すみません、夜科さん。娘のレナです。何か失礼はありませんでしたか?」

アゲハ
『いや、何も。いい子ですね、見ず知らずのオレのことまで心配してくれるなんて。えっと、レナでよかったかな?』

レナ
「うん。おにいちゃんの名前は?」

アゲハ
『オレは夜科アゲハ。妖精の尻尾の魔導士だ』

レナ
「魔導士?」

アゲハ
『ああ。魔物のことなら心配するな、オレがすぐにやっつけてやるからさ』

レナ
「でも本当に危ないんだよ!!お母さんだってその魔物に……」

なおも止めようとするレナの頭に手を置いて、話を遮る。

アゲハ
『大丈夫だ。オレは強いから、絶対魔物になんか殺されねえよ。だから安心して待ってろ、な?』

ぽんぽんと頭をなでレナを安心させるように話す。

レナ
「本当に?」

アゲハ
『ああ!だからオレを信じてくれ』

レナ
「うん……分かった」

アゲハ
『いい子だ。それじゃあビランさん、もう行きます』

ビラン
「本当にお気をつけて」

ビランとレナの二人に見送られ、オレは洞窟へと向かった。



〜洞窟内〜


アゲハ
『以外と明るいんだなこの中…』

洞窟内は肉眼でもそこそこ見えるくらいには明るく、すいすい進むことができた。

しっかし不気味なほど何も出てこねぇな。
聞いた話じゃ他にも弱いけれど魔物が何体かいるって言っていたのに、どういうことだ?

数十分ほど歩き、とうとう行き止まりになっている少し広いスペースの場所に行き着いた。

アゲハ
『おいおい、何もいねえじゃねえ………あれ…何だろ?』

周りをよく見ると1つの穴を見つけた。さらにその穴からは光が漏れている。

いったい何があるんだ?

アゲハ
『まさかこの中に?』

穴を覗くが光のせいで底が見えない。テレキネシスで少しずつ降りるか。

オレは手頃な大きさの岩を浮かべ、それに乗って穴の中へ入った。

アゲハ
『想像以上に深いな…っと、もう着くか』

地面が見えてきたのでオレは岩から飛び降りた。

アゲハ
『広いな…何なんだここ?それにこの光を発しているのは、水晶……か?』

オレが降り立った場所は東京ドーム並みの広さと高さがある場所だった。そして穴から漏れていた光はそこら中にある水晶から発せられていた事に気づく。

オレがこの空間を観察していると辺りから無数の足音が聞こえてきた。

アゲハ
『なーるほど…ここがお前らの巣って訳だな?魔物ども…』

オレの周りには百体ほどの魔物がいた。

大半の奴はそこまでの強さじゃねえ、問題はあいつか。

オレは魔物たちの中でも一際大きな魔物を睨み付けた。全長10メートルはある。
ライオンと蛇を合体させてそのまま大きくしたような姿だ。化け物ってこういう奴のことを言うんだろうな。恐らくコイツがビランさんの言っていた魔物だろう。

アゲハ
『くくく、お前ら化け物相手なら遠慮せずに戦える。来いよ、オレの本気を見せてやる』

人間相手じゃ殺しちまうような技もコイツら相手なら遠慮なく使える。

さあ、リンチタイムの始まりだぜ!!

アゲハ
『暴王の月 円盤Ver。行くぞ、魔物ども!!』

オレが駆け出すと共に魔物もオレに襲いかかってきた。あの大きな魔物は動かず、か。
まずは手下どもにやらせようってか?
なめんじゃねえよ!!

ズバァ!! ザン!! ズババババババ!!!

次々と円盤Verで魔物たちを切り裂いていく。

アゲハ
『スゲ━切れ味…やっぱ人間には使えねぇな』

人間は殺したくないからやっぱり暴王【メルゼズ】系のPSIは人間相手には使えない。さて、他の技も試してみるかな。

20体ほど倒したところでPSIを切り替える。

アゲハ
『お次は、“氷碧眼”【ディープフリーズ】だ』

オレは氷でできた二丁拳銃を作り出す。
そして足には氷のスケート靴を装着した。

アゲハ
『まだグリゴリ03号がイルミナをつける前ぐらいの力しか出せないが、それでもお前らには十分だ』

次々と魔物に弾丸を打ち込み、氷結させる。魔物がたまに反撃してくるがスケート靴により移動速度が上がっているので魔物たちの攻撃は全く当たらない。

アゲハ
『なーんか飽きてきたなぁ。よし、ばんばんいろんなPSI使ってやろう』

オレは魔物たちをみてにぃ、と口端を上げた。

アゲハ
『オルガウス 気哭砲!!
光輪【チャクラム】!!
裂空覇王爪【べリアルクロー】!!
名前知らないけどアビスのバースト!!
そして止めの爆塵者【イクスプロジア】ァアア!!!!』

最後に爆発が起きたときには、魔物たちのボス(?)以外はすべて倒れていた。

アゲハ
『あとはお前だけだぜ。ボスさんよぉ』

オレはビランさんの村を半壊させた魔物を睨み付け言い放つ。

グルォオオオオオオオ!!!!

ボス魔物(以下こう呼ぶ)は雄叫びをあげるとオレに飛びかかってきた。

アゲハ
『!!速い!!』

今までの魔物たちとのスピードの差に少し驚くが避けられない早さじゃない。
ライズを発動し、オレは攻撃を避ける。そしてそのままボス魔物の懐に入り込み、こぶしを握り締める。

アゲハ
『オラァッ!!!』

ドンッ!!!!

入った!!これで少しはダメージを食らっただろ…


グ…ルォオオオオオオオオ!!!!


ブォン!!!

アゲハ
『なっ!?ぐぁああっ!!!』

少しはひるむかと思ったけど予想以上に早く反撃され、振るわれた尻尾をもろに食らい、数十メートル吹っ飛ばされた。

アゲハ
『はっ!!今までのやつらとは違うようだな、さすがS級ってとこか!』

立ち上がり、再びボス魔物との肉弾戦に臨む。しばらく戦っていると、ボス魔物が距離をとった。

アゲハ
『何をする気だ?』

オレはボス魔物の行動を警戒する。オレと距離をとったボス魔物は息を吸い込むと何か紫色の気体のようなものを吐き出した。

アゲハ
『何だ?あの気体……』

オレが気体の正体を探っていると、倒れている魔物たちを気体が覆った瞬間叫び声をあげ、息絶えた。

アゲハ
『なっ!?ま、まさか……毒ガス!!?』

どうやらボス魔物が吐き出した気体は毒ガスのようだ。

アゲハ
『く、ガスが部屋全体に充満する前に倒さねぇと!!暴王の流星【メルゼズ・ランス】』

暴王の流星は一直線にボス魔物に向かっていく、かと思いきや突然起動を曲げてしまった。

アゲハ
『流星が直進しない!?あいつに向かって魔力ホーミングするはずなのに。そうか、PSYREN原作の湯坂のPSIで作られたガスみたいにこのガスは魔力でできているのか』

待てよ……?このガスが魔力でできているんだったら………むしろ好都合だぜ!!

オレは 自身を中心に複数の段の巨大な輪を展開させ、 その輪の軌跡に小型の「暴王の月(メルゼズ・ ドア)」を高速で走らせる。

アゲハ
『暴王の渦【メルゼズ・ボルテクス】』

高速で円軌道を描く暴王の月によって周囲のガスを吸収する。

アゲハ
『行くぞ!!』

オレは暴王の渦を纏ったまま、ボス魔物に接近する。

そしてボス魔物の目の前に立ち、ガスを十分に吸収したところで、オレは暴王の渦の攻撃プログラムを発動した。今だ!!

アゲハ
『くらえ!!リング解放、攻撃モード“裂弾”【スプラッシュ】!!!』

オレはリングに繋がれた小型の暴王の月をリングから解放し、周囲に解き放った。解き放たれた暴王の月は目の前のボス魔物にも当たり致命傷を与えた。



グガァアアアアアアアアア!!!!



最後の力を振り絞ってオレに攻撃してくるボス魔物。

アゲハ
『暴王の流星【メルゼズ・ランス】』

黒いバーストの流星がボス魔物を貫く。しかし未だボス魔物はオレに攻撃しようとする。

アゲハ
『ホーミングは……二段階』



ビィイイイイン―――



暴王の流星はボス魔物の頭部と胴体を真っ二つに引き裂いた。

そのままボス魔物は倒れ、まもなく息絶えた。

アゲハ
『クエスト完了だな』

オレは討伐の証明のためボス魔物の首を切り取り、村へと持ち帰った。重っ!!

洞窟を出たオレはまず依頼主のビランさんの家に立ち寄った。

アゲハ
『ビランさん、クエスト完了したぜ』

オレがインターホンに向かって言うと、ビランさんが慌てて出てきた。

ビラン
「夜科さん!!討伐してきたんですね!!」

アゲハ
『ああ、確認を頼む。こいつで間違いないか?』

オレはビランにボス魔物の首を見せる。ビランは少しびびったがしっかりと確認した。

ビラン
「はい、間違いありません。こいつです」

アゲハ
『そうか、じゃあもう燃やしちまうな。ここ(庭)に置いていたら邪魔だろうし』

ビラン
「お願いします」

ビランさんの許可も得たので、パイロキネシスでボス魔物の首を燃やした。

しばらくして、レナが家から出てきた。レナはそのままオレに飛びついてきた。

レナ
「おにいちゃん!!」

アゲハ
『レナ、約束通り魔物はやっつけてきたぜ』

レナを受け止めつつそう言ってやればレナが顔を輝かせた。

レナ
「本当!!?すごいねおにいちゃん!!」

アゲハ
『言ったろ?オレは強いって』

レナ
「うん!私大きくなったらお兄ちゃんみたいな魔導士になりたい!!」

アゲハ
『ハハ、嬉しいこと言ってくれるじゃねえか。そうか、魔導士になりたいか。じゃあそのためにはたくさん努力しないとな』

初めて会った時、レナの頭をなでた際に気づいたのだがレナには結構高い潜在魔力があるみたいだ。訓練すれば強力な魔法も使えるだろう。

レナ
「うん、私頑張る!!」

レナは笑顔と共に返事をした。

ビラン
「夜科さん、本当にありがとうございました。これが今回の報酬です」

オレとレナの会話が一区切りしたのを見計らってビランが報酬を渡してきた。

アゲハ
『どうも……、っ!!!?』

オレが報酬を受け取ろうとした時、オレは底知れない悪寒を感じた。

次の瞬間―




ズドォオオオオオン





地響きが鳴り響いた。

オレたちは地響きのした方を振り向くと、絶句した。

アゲハ
『な……んで、こんな………所に……』

そこにいたのは










オオオオオオオオオオオオオオオ!!!!











黙示録にある黒き龍





アクノロギアだった……

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