小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第16話 世界で一番大切な……



━Side ミラ━


アゲハが倒れてからすでに一ヶ月が経った。
アゲハが倒れた日、ポーリュシカさんのお陰でアゲハは一命をとりとめた。
でも脳にダメージを負っているらしく、目を覚ますには時間がかかるとの事だった。

ミラ
「あなたが倒れてから一ヶ月。まだ目を覚まさないのね……」

アゲハが倒れてから私は仕事をしているとき以外は大抵ここで過ごすようになっていた。
私にはアゲハを治療することはできない。
出来ることはただ眠り続けるアゲハのそばにいることだけ……

アゲハ……あなたの存在が私のなかでどんどん大きくなっていく。
アゲハが笑いかけてくれると嬉しい。
アゲハと話をしていると楽しい。

アゲハと一緒にいるだけで幸せな気分になる。
そんな気分になるのは最初は家族みたいに想っているからだと思った。
でもあの日、アゲハが傷だらけでS級クエストから帰ってきた日に気づいた。

ミラ
「アゲハ…………私は……」

アゲハが傷ついているのを見て胸が張り裂けそうになった。
切なくなった。
そして………とても怖かった。
アゲハが死んでしまったらもう私は生きていられないかもしれない、そう思うほどだった。
リサーナを失ったときと同じようで違う気持ち。
ポーリュシカさんの治療が終わり、アゲハを看病しているときに私は理解した。

私は……アゲハを……

ミラ
「こんなときに伝えるのはズルいと思うけど……でも、もう我慢できないから……」

アゲハが眠っていると分かっていてもやはり緊張してしまう。

ミラ
「アゲハ…私はあなたの事が……好きです」

言っちゃった………
私にとっては初めての告白。
けれどもアゲハは変わらず眠っていて、私は少し、切なくなった。

ナツ
「おーい、ミラ━━!」

レナ
「ミラさん、こんにちは」

しばらくアゲハを見つめていると、ナツとレナが医務室に入ってきた。

ミラ
「ナツ、レナ、どうしたの?」

ナツ
「レナと一緒にアゲハの様子、見に来たんだ。まだ目ぇ覚まさねぇのか?」

ナツがアゲハの顔を覗き込んで言った。

ミラ
「うん、ポーリュシカさんはもう脳のダメージもあらかた回復してそろそろ目を覚ましてもいい頃だって言ってるんだけど、深い眠りだから何かきっかけが必要かもしれないって言ってた」

レナ
「きっかけ……ですか」

ナツ
「もう目を覚ましてもいい頃なんだろ?
んー、そうだ!!」

ナツが何かを思い付いたように手を叩いた。

レナ
「何か思い付いたんですか?」

ナツ
「おう!!早速ギルドのみんなを集めるぞ!!手伝え、レナ!!」

レナ
「うぇええ!?いきなり!?」

レナを連れて医務室をあとにしようとするナツ。

ミラ
「ナツ一体何をしようとしてるの?」

私がナツに訊ねるとナツはいたずらっぽく笑って言った。

ナツ
「それはあとでのお楽しみってことで」

そしてナツは部屋を飛び出していった。

何をするつもりなんだろう?


数十分後、医務室にはギルド内でもアゲハと仲のいいメンバーが集まっていた。


そしてナツがみんなの前に立ち、言い放った。

ナツ
「みんな、これからアゲハに向かって大声で呼び掛けるんだ!!」

グレイ
「はァ!?」

エルザ
「何を言っているのだ?」

ナツ
「ポーリュシカのバアさんの話じゃアゲハはもう目を覚ましていい頃らしい。でも深い眠りについてるから起こすためには何かきっかけが必要……なんだよな、ミラ?」

ミラ
「え、ええ。そう言ってたけど……」

ナツ
「ならよぉオレたちできっかけを与えればいいじゃねぇか!!
全力で呼び掛ければアゲハはきっと目を覚ましてくれる!!」

確かにナツの言う通りかもしれない。
きっかけが必要なら私たちが与えればいいんだ!!

ミラ
「みんな、やってみよう!!やらないよりはやった方がいいと思う!!」

グレイ
「ナツの発案ってのが気に入らねぇがオレも協力するぜ」

エルザ
「私もだ。この寝坊助には色々と話したいことがあるからな」

レナ
「私もアゲハおにいちゃんには守ってもらわなきゃいけない約束があるし、起きてもらわないと!!」

ハッピー
「オイラも協力するよ!!」

エルフマン
「オレもだ!!」

みんなが次々と名乗りをあげていく。


ナツ
「それじゃあ始めるぞぉ━━━!!!
アゲハ━━━━━━━!!!」

ナツが先陣を切ってアゲハの名を呼び掛ける。
他のみんなもナツに続いていく。

グレイ
「さっさと起きやがれ━━━!!!」

ハッピー
「起きて━━━━!!アゲハ━━!!!」

エルザ
「起きろ!!この寝坊助アゲハ!!!」

カナ
「さっさと起きなさいよ!!」

レビィ
「アゲハ━━!!!起きなさ━━━い!!」

エルフマン
「ここで起きないなら漢じゃない!!」

レナ
「アゲハおにいちゃん、約束、ちゃんと守ってよね。
だから、早く起きろ━━━━!!!」

みんなが次々とアゲハに大声で呼び掛けていく。
心なしかアゲハが少し反応を示した気がした。
私も…………!!!


ミラ「起きて、アゲハ」


お願い……!!起きて……アゲハ!!!!


ガバッ


ミラ
「あっ…………!!」


アゲハ
『あれ、オレ……一体…』


ミラ
「アゲハ!!!!」



やっと、やっと起きた……世界で一番大切な……私の大好きな人。

私は思わずアゲハに抱きついた。





━Side Out━

-17-
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