小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第19話 HOLIDAY Part2



━アカリファ━

アゲハ
『着いたぞ、みんな』

ギルドからトリックルームで空間移動したオレたちは無事アカリファのテーマパークの入り口に着いた。
突然現れたオレたちにテーマパークに来ている客が驚いていたが気にしない。

この新しくできたテーマパークはとある魔導士が作った施設で魔法を使うアトラクションが数多く存在する、とパンフレットに書いてあった。

へぇ、結構楽しめそうだな。

ナツ
「着いたぁ━━━!!!今日は思いっきり遊ぶぞぉ━━━!!!」

ハッピー
「遊ぶぞぉ━━━━!!!」

エルザ
「待て、お前たち。まずはミラが持っている無料券を係員に見せねばならん」

テーマパークを目の前にしたナツとハッピーはそのまま中に入ろうとするがまだ無料券を係員に見せていなかったのでエルザに止められた。
そしてグレイがエルザ止められたナツに絡んできた。

グレイ
「ガキが、はしゃぎ過ぎなんだよ」

ナツ
「んだとこの変態が!!やんのかコラァ!!」

グレイ
「上等だ!!やってやろうじゃねえか!!」

アゲハ
『やめいっ!!』

ゴゴン!!

ナツ&グレイ
「「いってぇ━━━━!!!」」

このままだと大事になりそうだったので早めに止めるべく二人の頭にげんこつを食らわした(ライズ使用)。

アゲハ
『こんな所でまでケンカすんな!!周りに迷惑だろうが!!』

ナツ&グレイ
「「ごめんなさい!!」」

少し威圧感を込めて睨んでやれば二人ともすぐにおとなしくなった。

レナ
「あはは、どっちが年下なんだかわかんないね」

ミラ
「ふふ、そうね」

エルザ
「ナツとグレイより年下のアゲハの方が大人だな」

女性陣三人が遠巻きにオレらの方を見ながら話をしている。
何話してるんだろ?
ま、とりあえずさっさと手続き済ませるか。

アゲハ
『懸賞で無料券当たったんだけど……』

係員
「そうですか、おめでとうございます。無料券をお見せください」

アゲハ
『ほれ』

オレはミラから預かった無料券を係員に見せる。

係員
「はい、確かに確認しました。これをどうぞ」

アゲハ
『何だこれ?』

係員
「この腕輪を見せることでアトラクションに挑戦することができます。フリーパスのようなものです」

アゲハ
『へぇー』

オレは係員から人数分の腕輪を受け取り、みんなのもとへ戻った。

アゲハ
『んじゃ、行こうぜ!』

ナツ&ハッピー
「「お━━━━!!!」」

オレはみんなに腕輪を手渡し着けるように言った。
腕輪を着け、オレたちはテーマパークの中へ入った。

中に入り、目に飛び込んできたのは遊園地のような大きな施設と至るところで行われているアトラクションの数々だった。

ナツ
「よっしゃ━━━!!!今日中にここのアトラクション全部に挑戦すんぞ!!(乗り物系のやつ以外)
行くぞ、ハッピー!!」

ハッピー
「あいさ━━━━!!!」

言うが早いかナツはハッピーと共に駆け出して先に行ってしまった。
まあナツなら放っといても大丈夫だろ。
アトラクションをめちゃくちゃにしたりしなければ………
やっぱり不安だ。もうどうしようもないけど。
とまあナツのことは置いといてオレは改めてテーマパーク内を見渡す。

アゲハ
『うひょー、デケェ━━!スッゲーな!!』

面白そうなアトラクションがたくさんあって、この世界に来てからはじめて娯楽としての魔法に触れたオレはいつになく興奮していた。

レナ
「ホントだ!!すっごーい!!」

レナも目をキラキラさせて喜んでいた。
聞けばレナは一度もこういうレジャー施設に来たことがないそうだ。

やっぱり嬉しいんだろうな、こういうところに来れて。

ミラたちもレナの笑顔を見て安堵の表情を浮かべていた。
レナの父親が殺されたことに少なからず心配してたんだろう。

ギルドのみんなにはアクノロギアの事は話していない。余計な混乱を招くからとマカロフのジイさんが口止めした。
なのでみんなにはアクノロギアの代わりに10年クエスト級の魔物に襲われたと説明した。
その際にレナの父親が殺され、オレがここに連れてきたという設定になっている。
みんなに嘘つくのはちょっと心苦しかったけど……

っと、辛気くせー考えはやめだ。

オレはレナに近づいてどのアトラクションで遊ぶかで盛り上がる。
今日はせっかくの休みなんだ。楽しまねーと損損。

ミラ
「なんだかんだ言ってもやっぱりアゲハも子供ね」

エルザ
「そうだな。それにレナも本当に楽しそうな笑顔を見せている。
よほど嬉しいんだろうな」

グレイ
「やっぱりレナもまだ10歳の子供だしな。
色々あって辛いだろーけど、楽しそうでよかった」

ミラ、エルザ、グレイの三人がオレとレナを見てなにか話している。
あ、それより急がねぇと時間なくなっちまう。

アゲハ
『お━━い!!ミラ、エルザ、グレイ!!お前らも早く来いよ!!』

オレは後ろを歩いている三人に声をかけた。

ミラ
「うん、今行く!!」

エルザ
「今日は存分に楽しむとするか!!」

グレイ
「こんな機会滅多にないしな」

アゲハ
『それじゃあ最初にあれやろーぜ!!』

そんなこんなでオレたちは色々なアトラクションで遊んだ。

ジェットコースターやお化け屋敷などのオレがいた世界にあったような物もあれば、この世界ならではの魔法を使ったアトラクションもあって予想以上に楽しめた。

アゲハ
『今のコーヒーカップはやり過ぎちまったな……』

そう言って振り返ったオレの視界に入ったのは勢いよく回しすぎて壊してしまったコーヒーカップのアトラクションだった。

エルザ
「全く、勢いよく回しすぎだぞ、アゲハ」

グレイ
「(そうは言ってるがエルザ、お前も一緒になって回していただろう。口に出すのは恐ろしいから言わないが)」

レナ
「アゲハ兄!!今度はメリーゴーランド乗りたい!!」

アゲハ
『そうか、んじゃ行くか!!』

オレたちは思う存分このテーマパークを楽しんでいた。
しかしこんなに濃い面子で行動していれば必ず何かトラブルが起こるのが常と言うものだ。
アトラクションを破壊してしまったり、絡んでくるガラの悪い奴等を過剰にボコボコにしたせいで周りの客に被害が及んだりして(すぐにオレがCUREで治したが)オレたちは係員から厳重注意をされてしまった。

割りとすぐに係員の注意から解放されたからよかったけど。

再びアトラクションを回ろうと道を歩いていると、ふとナツのことを思い出した。

オレらが問題起こしたんだ。オレら以上の問題児のアイツが何も起こさないわけがない。

アゲハ
『なあ、ナツの奴見つけといた方がよくねぇか?あいつ放っておくとなんかヤバイことやらかしそうだし…』

急に不安になったオレはみんなにナツを探すことを提案した。

ミラ
「そうね、ナツならとんでもないことやっちゃいそうね」

エルザ
「何か起こる前に見つけておいた方がいいな」

グレイ
「ったくあの野郎、いつも面倒事を起こしやがるからな。二手に別れてナツたちを探そう。見つけても見つけられなくても一時間後の12時にここに集合だ」

というわけで二手に別れてナツを探すことになった。
レナの提案でオレとミラの組とグレイ、エルザ、レナの組に別れ、ナツとハッピーを探す。ちなみに組み合わせの理由はこれが一番実力的にバランスがいいから、だそうだ。

捜索開始から10分、まだナツは見つからない。

ミラ
「(レナ、この組み合わせは実力的にバランスがいいからっていってたけど本当は私とアゲハを二人きりにしてくれたのかも)」

アゲハ
『おいミラ、大丈夫か?』

オレが話しかけても何か考え事をしているのか耳に入っていないようだったので少し心配になり、ミラに訊ねた。

ミラ
「へっ!?」

アゲハ
『いや、オレが話しかけても上の空みたいだったから……』

そういうとミラは慌てて首を横に振った。

ミラ
「何でもない!ちょっと考え事してただけだから」

アゲハ
『そうか、そんならいいけど。それよりナツがどんなアトラクションのところに行きそうか分かるか?』

闇雲に探すよりある程度範囲を絞った方がいいと思ったオレはミラにナツの行きそうな所を聞いてみる。

ミラ
「ナツが行きそうな所………まず乗り物系のアトラクションは絶対乗らないだろうから、その他のアトラクションでナツの興味を引きそうな所にいってみましょうか」

アゲハ
『そうだな。それじゃあ行くか』

オレたちはまず、一番近いアトラクションに向かって歩き出す。

アゲハ
『あのさ……』

ミラ
「何?」

さすがにただ黙々とナツを探すのは気まずかったので前からミラに聞いておきたかった事を聞くことにした。

アゲハ
『レナの奴、オレがクエストに行ってる間も楽しそうにしてるか?』

ミラ
「いつも楽しそうだよ。よく笑ってるしギルドのみんなもレナと仲良くしてるし。
でも急にどうしたの?」

アゲハ
『いや、オレもレナから毎日楽しいって聞いてはいるんだけどさ、オレがギルドに連れてきた手前本当は不満とかあっても言えないんじゃないかと思って……』

ミラ
「そんなことないわよ。アゲハ、心配しすぎ」

楽しかったはずの時間が崩れていくのが分かる。でも自分の中にある不安を吐き出さずにはいられなかった。

アゲハ
『アイツ……父親を亡くして辛いはずなのに家でも一切辛そうな顔を見せないんだ。
オレがビランさんの死に責任を感じると思ってるか無理してるのかもしれない。
もしそんな重荷を背を背負わせているんだとしたら……オレ、本当にアイツを妖精の尻尾につれてきてよかったのかな…?』

ミラ
「そんなことない、アゲハは正しかったと思う」

アゲハ
『たけどっ…!!アイツにとっては村の人たちと一緒にいた方がよかったのかもしれない。その方が自分の気持ちに正直になれたかもしれない!!
オレは自分の判断が正しかったのか、分からない……!!』

ミラ
「アゲハ………」

オレたちの間に暫しの沈黙が訪れる。
それはミラが発したこと場によって破られた。

ミラ
「“アゲハ兄みたいになりたい”」

アゲハ
『え…?』

ミラ
「この前レナが私に言った言葉よ」

━1ヶ月前━


レナ
「ミラさん、私ねアゲハ兄みたいになりたいんだ」

アゲハの家にレナが引っ越して一週間が経った日、ギルドのカウンターに座ったレナが私にそう言ってきた。

ミラ
「アゲハみたいに?」

レナ
「うん。アゲハ兄は私を救ってくれたんだ」

ミラ
「それって村を襲ったっていう魔物を追い返したこと?」

レナ
「それもあるけど、一番は自分を責めていた私にかけてくれたアゲハ兄の言葉。
あの言葉が何よりも私を救ってくれた」

私はただ黙ってレナの話を聞いていた。

レナ
「だから私はアゲハ兄に感謝してるんだ。私もアゲハ兄みたいに人を救えるようになりたい。
アゲハ兄みたいに強くなりたいんだ。
だから、今はそんな憧れのアゲハ兄と一緒にいられてとても幸せなの。
お父さんが死んじゃったことは悲しいけど、お父さんも言ってたように強く生きなきゃいけないんだ」

ミラ
「レナは強いね。辛い現実にも負けずに、前を見てる」

私もエルフマンも未だにリサーナの死に囚われている。
だから辛いことがあっても前を見据えているレナが輝かしく思えた。

レナ
「ううん、全部アゲハ兄のおかげだよ。アゲハ兄の言葉がなかったら、アゲハ兄がこのギルドに誘ってくれなかったら、私は弱いまま、今も村で泣いてるだけだったと思う。
あの時アゲハ兄が私を妖精の尻尾に誘ってくれたおかげで私は毎日幸せに過ごせてるの。
ギルドのみんなもやさしいしね。」

ミラ
「アゲハには言ってないの?この事」

レナ
「恥ずかしくて言えないよ」

ミラ
「ふふ、それもそうね」


━回想 End━



アゲハ
『アイツ、そんなこと思ってたのか』

ミラ
「ね?だから何も心配することないのよ」

アゲハ
『そっか……』

レナは今、オレたちと一緒にいて幸せだって思ってくれてるのか。
よかった。あの時のオレの行動は間違ってなかったんだな。

ミラからレナが話したことを聞いて本当に安心した。

アゲハ
『じゃあとっととナツを探そう。せっかくみんなで来たんだ、今度はみんなで回ろう』

そう言って少し歩くスピードを早めた。

ミラ
「そうね。……あの、アゲハ。今度時間ができたら、またここに来ない?今度は、ふ…二人で……」

ミラがまたここに来ようと誘ってきた。

アゲハ
『いいけど、何で二人でなんだ?』

そこが疑問だ。なぜなのかミラに聞いてみる。

ミラ
「それは……」

ナツ
「うおおおおおおおおお!!!!」

アゲハ
『ナツ!?あっちか!
おい、どうしたんだミラ、そんなうなだれて』

ミラ
「何でもないわ、早く行きましょう」

少し怒ったような口調でミラが言った。
本当にどうしたんだ?
まあ、とりあえずナツが先か。
オレとミラが声のした方に向かうと、ナツといかにも不良ですって感じの面したやつらが喧嘩をしていた。

アゲハ
『ナツ!!』

ミラ
「ナツ、ハッピー!!やっと見つけた!」

ナツ
「おお、アゲハにミラじゃねえか!!どうしたんだ?」

そう言いながらにナツは最後の一人をぶっとばした。

アゲハ
『みんなで回った方が面白いだろうと思ってお前らを探してたんだ』

ナツが何かやらかさないか心配できたとは言えないので適当な理由を言っておく。

ナツ
「そうか、オレらもあらかた遊び尽くしたし、みんなと合流するか、ハッピー」

ハッピー
「そうだね。二人だけよりもみんなで回った方が楽しいと思う」

ミラ
「じゃあ早速待ち合わせ場所に向かいましょう。戻ったら時間もちょうどいいしお昼ご飯でも食べない?」

アゲハ
『いいな。オレ、腹減ってきてたし』

ナツ
「うまいもん何があるかな?」

ハッピー
「オイラ魚食べたいな」

みんなで談笑しながらグレイたちと待ち合わせをした場所へ向かう。

12時ぴったりに待ち合わせ場所についた。

アゲハ
『グレイ!!』

グレイを見つけたオレは声をかける。するとグレイは焦ったように俺たちに近づいてきた。

グレイ
「アゲハ!!」

アゲハ
『どうしたんだそんなに慌てて』

グレイ
「大変なんだ!!レナがいなくなった!!」

アゲハ
『何だって!!?』



レナがいなくなった!?どういうことだ?
オレは何か大変なことが起こるような気がした。

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