小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第24話 妖精の尻尾


━Side ルーシィ━

ハッピーの羽の変身が解けてまっ逆さまに落ちるあたしだったけど、途中で誰かに受け止められた。
あたしを受け止めたのは、さっき見当たらなかったアゲハだった。

ルーシィ
「アゲハ、アンタ何でここに……
てかアンタ浮いてる!!?」

今のあたしの状態はハッピーをあたしが抱いて、そのあたしをアゲハが空中でお姫様だっこしているという状態だ。

アゲハ
『いや、浮いてるんじゃない、立ってんだ』

ルーシィ
「どっちでもいいわよ!!」

それよりどうやって空中に立っているのか教えてほしい。

アゲハ
『ああ、そうそう。これお前のだろ?
さっき船から投げ捨てられてたんで拾っといた』

ルーシィ
「あたしの鍵!!あ、ありがとう」

あたしはアゲハにお礼を言うがアゲハは既に他の事に気がいってるようだ。

アゲハ
『とにかく、あの船を陸に上げねぇとナツがヤバイな。早いとこ動かしとくか』

ルーシィ
「へっ!?」

動かすってこの船を……!?
アゲハは船に向かって手をかざす。
次の瞬間船が空に浮かび上がり、アゲハが手を振ると港の方へと飛んでいった。

ルーシィ
「えぇえええええええ!!?」

な…何が起こったの!!?
アゲハが手をかざしたら船が浮かんだ!!?

アゲハ
『よし、これでナツも元通り動けるはずだ。オレたちも行くぞ!!』

そう言うとアゲハはあたしとハッピーを抱き抱えたまま空中を飛んで港の方へと進んでいった。

本当にどうなってるの……!?


そうこうしているうちにあたしたちは港に着いた。

アゲハ
『じゃ、ナツんとこ行くぞ』

ハッピー
「あいさー」

そうね、今はナツを助けないと。

あたしたちはナツがいる船室へと向かう。

ルーシィ
「ナツ━━━!!!だいじょ…!!」

あたしたちが船室に入ると、ナツはもう起き上がっていた。
あたしはナツの表情に少し怯えてしまった。あまりにも怖い顔をしているから。

ナツ
「…………」

ボラ
「小僧ども…人の船に勝手に乗ってきちゃイカンだろぉ……あ?」

サラマンダーが頬を掻きながら言ってくる。

ナツは上着を脱ぎ、肩を出した格好になる。

ボラ
「オイ!! さっさとつまみ出せ」

「はっ!!」

サラマンダーの指示で男がナツに二人向かってくる。

ルーシィ
「いけない!!!ここはあたし━━「大丈夫」ハッピー!?」

あたしはナツを助けようと鍵を構えるがハッピーに止められた。

アゲハ
『言いそびれたけどナツも魔導士だから』

ルーシィ
「え━━━━━━━━っ!!?」

アゲハの言葉にあたしは驚いた。

ナツが魔導士?
あっ!!じゃあ昼間アゲハが言ってた魔導士の友達ってナツの事!?

そんなことを考えてる間に、男達はナツに近づいてくる。

ナツ
「おまえがフェアリーテイルの魔導士か」

ナツがサラマンダーに聞く。

ボラ
「それがどうした!?」

にやけながら答えるサラマンダー

ナツ
「よぉくツラ見せろ」

ナツがそういうと同時に2人の男がナツに殴りかかってきたが、

ゴンッ

ナツは二人を片手ではねのけ、

ナツ
「オレは妖精の尻尾のナツだ!!! おめぇなんか見た事ねぇ!!!!」

衝撃の言葉をいい放った。

ボラ
「なっ!!!!」

ルーシィ
「え?」

サラマンダーが焦り、驚愕の表情を浮かべる。
あたしも衝撃的過ぎて唖然としていた。

「妖精の尻尾!!? ナツが妖精の尻尾の魔導士!!?」

どうなってるの!?じゃあこの男たちは…偽物!?

ナツの告白に、男達はどよめきだす。

「な・・・!!! あの紋章!!!」

「本物だぜボラさん!!!」

ボラ
「バ・・バカ!!! その名で呼ぶな!!!」

偽物だということがバレて焦りだすサラマンダーもといボラ。

ハッピー
「ボラ……紅天【プロミネンス】のボラ」

アゲハ
『数年前に“巨人の鼻【タイタンノーズ】”っていう魔導士ギルドから追放された奴…だったか?』

ルーシィ
「聞いたことある…魔法で盗みを繰り返してて追放されたって」

ナツ
「おめェが悪党だろうが善人だろうが知ったことじゃねェが、妖精の尻尾を騙るのだけは許さねェ」

ナツが怒りの形相でボラを睨み付ける。

ボラ
「ええいっ!!!ゴチャゴチャうるせえガキだ!!!」

ナツがボラの放つ火に飲み込まれる。

ルーシィ
「ナツ!!」

アゲハ
『大丈夫だよ』

ハッピー
「安心してみてて」

ルーシィ
「!?」

ナツが火に飲み込まれたというのに全く焦っていないアゲハとハッピー。

何でそんな平気でいられるの!?

そう聞こうとした瞬間ナツがむくりと起き上がった。

ナツ
「まずい」

その場にいるアゲハとハッピー以外の全員が唖然とした表情になる。

ナツ
「なんだコレぁ。お前本当に火の魔導士か?
こんなまずい“火”は初めてだ」

ボラ
「………………!!!!!」

ルーシィ
「はァ!!!?」

ナツが火を“食べてる”!!?

ナツ
「ふ━━ごちそう様でした」

ボラ
「な…なな……何だコイツは━━━━━━っ!!?」

「火を食っただと?」

アゲハ
『ナツには火は効かねぇよ』

アゲハが口を挟んだ。

ルーシィ
「こんな魔法見たことない!!」

一体どうなってるの!?

ナツ
「食ったら力が湧いてきた!!!
いっくぞぉおおおおおっ!!!!」

ナツが大きく息を吸い込む。

「こいつ…まさか…
ボラさん!!オレぁこいつ見たことあるぞ!!!」

ボラ
「はぁ!!?」

「桜色の髪に鱗みてェなマフラー…間違いねェ!!!こいつが本物の……」

奴隷商の部下がそこまで言ったところでナツは口から火を吐き出した。
その姿はまさに…

ルーシィ
「火竜【サラマンダー】…」

燃え盛る火の中ナツはボラに近づき、

ナツ
「よーく覚えておけよ。これが妖精の尻尾の魔導士だ!!!」

ゴッ!!

火を纏わせた拳をボラに食らわせた。

ルーシィ
「火を食べたり火で殴ったり…本当にこれ…魔法なの!!?」

ハッピー
「竜の肺は焔を吹き竜の鱗は焔を溶かし竜の爪は焔を纏う。これは自らの体を竜の体質へと変換させる太古の魔法【エンシェントスペル】」

ルーシィ
「なにそれ!?」

そんなもの聞いたことがない。

アゲハ
『元々は竜迎撃用の魔法だからな』

ルーシィ
「……………………あらま」

あまりの事に頭がついていかない。

ハッピー
「滅竜魔法!!!イグニールがナツに教えたんだ」

え、ちょっと待って。イグニールってたしか竜だったわよね、それって…

ルーシィ
「竜が竜退治の魔法教えるってのも変な話ね」

アゲハ
『だよなぁ』

アゲハがあたしに同意する。反対にハッピーは、ぐわばっといわんばかりに目を見開いていた。

ルーシィ
「疑問に思ってなかったのね、ハッピー」

「うおおおお!!お前らだけでもぶっ殺してやる!!!」

ナツが倒し損ねた残党たち十数人がこっちに向かってきた。

するとアゲハは ハァ、と息をはいてあたしたちの目の前に立とうとする。
それをみたあたしは慌てて止めようとする。

ルーシィ
「ちょっと!!アンタは魔導士じゃないんでしょ!!危ないわよ!!」

昼間アゲハは自分は魔導士じゃないと言っていた。
しかしアゲハは構わずあたしたちの目の前に立つ。

アゲハ
『確かに魔導士じゃないとは言ったけど、戦えないと言った覚えはねえぞ。それに……』

アゲハはそこで言い切り、右腕の袖をまくり、二の腕の辺りをあたしに見せた。
そこには……

アゲハ
『オレも妖精の尻尾の人間だ』

ルーシィ
「えぇえええええええ!!?」

ど、どういうこと!!?

ハッピー
「まぁ、おとなしく見ててよ」

アゲハはゆっくりと残党たちに向かって歩を進める。

アゲハ
『パイロクイーン・サラマンドラ』

アゲハが何かを呟くと突然アゲハの前に炎の化け物が現れた。

ルーシィ
「な、な、な、何アレェ━━━━━!!!」

あたしはたまらず化け物を指差して叫ぶ。

ハッピー
「あれはアゲハがPSIの力で作った炎の悪魔。パイロクイーン・サラマンドラ」

ルーシィ
「PSI!?何よそれ?」

ハッピーの説明に知らない単語が出てきた。

ハッピー
「オイラには詳しく説明できないんだけど…アゲハは自分の脳を100%活性化させることで魔力を使わず魔法のような力を使えるんだ。
アゲハはこの力をPSIって呼んでる」

ハッピーの説明だけじゃよくわからないけど一応あの化け物が魔法じゃなくPSIっていう力で作られていることはわかった。
でもまだ疑問が残る。

ルーシィ
「でもアゲハはどうして妖精の尻尾に所属できているの?魔導士ギルドなんだから魔法が使えないと……」

ハッピー
「アゲハはね、魔法も使えるんだ。親が魔導士だったんだって」

ルーシィ
「えぇええええ!?」

あたしが驚いている間にもアゲハは次々と敵を凪ぎ払っていく。

ハッピー
「だけどメインで使っているのはPSIの方だから、アゲハは自分のことをサイキッカーって呼んでる」

ルーシィ
「サイキッカー…だからあのとき魔導士じゃないって言ったのね。すっかり騙されたわ」

あたしがハッピー会話しているうちにアゲハが敵を倒し終わり、あたしたちのもとへ戻ってきた。
何故かナツを連れてひどく焦った様子で駆け寄ってくる。

アゲハ
『お前ら!!早く逃げるぞ!!』

ルーシィ
「え?何で?」

ハッピー
「周り、見てみなよ」

ルーシィ
「周り?」

ハッピーの言う通りに周りを見てみると、港が半壊していた。

ルーシィ
「何よこれェ━━━━━!!!」

ナツ
「なっはっはっは!!やり過ぎちまった」

ハッピー
「あい」

後ろを振り返ると軍隊まで追ってきている。

アゲハ
『ぼさっとしてんな、早く逃げるぞ!!』

アゲハがあたしの手を取って言う。

ルーシィ
「何であたしまで━━━!!?」

あたしの疑問にアゲハが答える。

アゲハ
『だってオレたちのギルドに入りてんだろ?』

ナツ
「来いよ」

ナツも満面の笑みであたしに言う。

ルーシィ
「うん!!!!」





あたしは妖精の尻尾に入るため、アゲハたちと一緒に走り出した。

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