小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第28話 父親



━Side ルーシィ━

ホロロギウム
「【なんでこんな事に…なってる訳━━━━!!!?】と申されましても」

ホロロギウムごとバルカンに連れさらわれた あたしはハコベ山の洞窟の中にいた。しかもこのエロ猿かなりテンション高目であたしの周りを激しく踊っているし……
あたしの目からは涙があふれでてきた。

ルーシィ
「ここってあの猿の住家かしら、てかナツと アゲハはどうしちゃったのよー…」

などと独り言を言っていると、

バルカン
「女」

ルーシィ
「!!」

エロ猿が顔を近づけて、あたしの顔をじーっと見つめる。き、気持ち悪い……!!

ポン……
!!!

ルーシィ
「ちょ…ちょっとォ!!ホロロギウム!!!消えないでよ!!!」

何の音かと思ったらホロロギウムが星霊界に帰った音だった。ちょちょちょ、待ってよ!!あたし今最悪の状況じゃない!!

ホロロギウム
「時間です、ごきげんよう」

ルーシィ
「延長よ!!延長!!!ねぇ!!!」

延長してくれるよう頼んだけどホロロギウムは応じてくれなかった。
目の前のエロ猿が鼻息を荒くする。ヤバいあたし死ぬかも……

とその時、

ナツ
「うおおおっ!!やっと追いついたーっ!!!」

ルーシィ
「ナツ!!!」

すごい勢いでナツが走って来た。けれど……

ナツ
「マカオはどこだぁぁ━━━━━っ!!!」

つるんっ……

ナツ
「あがっ!!ぐおお!!ふあっ!!ぶへっ!!!」

盛大に滑ってこけてしまった。ナ、ナツ…もっと普通に登場できないのかしら……

アゲハ
『ルーシィ!!無事か!?』

「アゲハ!!助かったぁ━━!!」

遅れてアゲハもやって来た。これならもう安心ね。


━Side Out━



━アゲハ Side━


ナツ
「オイ!!サル!!マカオはどこだ!?」

転んだままの状態でナツが聞く。せめて立ち上がってから聞こうぜ……

バルカン
「ウホ?」

アゲハ
『言葉わかるんだろお前、マカオっつう人間の男だ』

まぁ絶対答えないだろうけど一応聞いておく。

バルカン
「男?」

ナツ
「そーだ!!」

バルカンにマカオの事を伺うオレとナツ。この隙にルーシィがオレたちの背後に避難した。ちゃっかりしてんなぁ。

ナツ
「どこに隠した!!?」

バルカンがマカオを隠したと決めつけるナツ。

アゲハ
『いや、それは違うだろ。ま、ここはオレに任せな。
W・M・J【ワイヤード・マインド・ジャック】』

オレはワイヤー状の有線トランスをバルカンの脳に接続する。これによって相手の意識に潜行【ダイヴ】を行い、残った記憶などを見ることが出来る。
原作知識が少しあやふやなところもあるからな、原作でどうやってマカオを助けたのか忘れちまったんだよな。オレ結構記憶力いい方なんだけどさすがに細かすぎることまでは覚えていない。
おっ!!こいつがマカオと戦っている記憶を発見。あ、マカオがバルカンに取り込まれた。なるほど接収【テイクオーバー】か、思い出したぜ。これってバルカンをぶっとばせば解除されるんだよな……だったら……

アゲハ
『ナツ!!』

オレは潜行を中止してナツに呼び掛ける。
接続が切れたバルカンはオレのそばから飛び退いた。

ナツ
「アゲハ!!何か分かったのか!?」

アゲハ
『ああ、あいつをぶっとばせ』

オレはバルカンを指差して言った。

ナツ
「よしきた!!」

ナツは早速バルカンをぶっとばそうと構える。

ルーシィ
「ちょっと待って!!マカオさんの居場所聞き出すんじゃないの!?」

ルーシィが慌てて聞いてきた。

アゲハ
『あのエロ猿をぶっとばせばマカオは帰ってくる。それだけだ』

ルーシィ
「どういうこと?」

アゲハ
『見てれば分かる』

オレがそう言うと、ルーシィは納得はしてないようだったがおとなしくなった。

ナツ
「行くぞ!!」

ナツかバルカンに向かって走り出す。それを見たバルカンは洞窟内の氷柱を折ってそれをナツに投げ出した。

バルカン
「ウホホッ!!!」

ナツ
「火にはそんなもの効かーん!!!」

しかし氷柱はナツが発する熱によってすべて溶けた。

バルカン
「ウホォ━━━━!!!」

それを見たバルカンは今度は拳を使って攻撃してきた。

バルカン
「ウホホホホホホホ━━━━!!!!」

バルカンは何度も拳を振るうがナツはそれをすべて避けている。
にしてもほんと弱いなあのエロ猿。あんだけ弱いとオレがぶっとばしたら接収されたマカオにまでダメージが行くかもしれねぇからな。だからナツに任せたんだけど……

ナツ
「遅ぇな。アゲハのスピードに比べたら止まってるようだ」

ナツはバルカンの懐に入り込む。

ナツ
「いくぞぉ…火竜の鉄拳!!!!」

ドゴォン

ナツの拳がバルカンにヒットし、バルカンは壁に叩きつけられた。

ナツ
「アゲハ!!バルカンを倒したぞ!!」

ナツがオレに向かって言った。

ルーシィ
「でもマカオさんは?アゲハはあいつを倒せば帰ってくるって言ってたけど」

バルカンを指差しながら言うルーシィ。

アゲハ
『ああ、あいつを見てみろ』

ナツ&ルーシィ
「「?」」

オレの言葉にバルカンを見る二人。
すると……

みみみ……

ナツ
「!?」

みみみみみみみみみみ…………

バルカンから光が溢れ出る。

ルーシィ
「な…何なの!?」

ボゥゥン

ナツ
「サルがマカオになった━━━っ!!!」

ルーシィ
「え!!?」

光がはれて、バルカンがいた場所に重症のマカオが現れた。

ハッピー
「バルカンに接収されてたんだ!!」

ルーシィ
「接収!!?」

ハッピー
「体を乗っとる魔法だよ!!」

ハッピーがマカオがバルカンに接収されていたことに気がつく。

ルーシィ
「それじゃあアゲハはこの事を知ってて…」

ルーシィが驚いたようにオレを見る。

アゲハ
『そういうことだ。それより早くマカオを治療するぞ。急がねぇとヤバい』

オレたちはマカオが倒れている場所へと向かう。

ナツとオレで地面に敷いた布の上にマカオを寝かせる。

ルーシィ
「ひどい傷……持ってきた応急セットじゃどうにもならない」

ルーシィがマカオの傷を見て言った。

ハッピー
「大丈夫。今回はアゲハがいるからね」

ルーシィ
「え!?」

アゲハ
『少しどいてろ』

オレはみんなをどかしてCUREを発動する。

ルーシィ
「傷が……!!これって治癒魔法!?」

みるみる塞がっていく脇腹の傷を見て驚くルーシィ。

ハッピー
「この力もアゲハのPSIだよ。CUREって言うんだ」

ハッピーがルーシィに説明する。

ルーシィ
「すごい……どんどん傷が塞がっていく」

その間にも治療は進んでいく。CUREの訓練しておいて正解だったな。今は脳と心臓以外なら元通り再生できるレベルまで到達した。うん、そのレベルまで行くのマジで大変だった。

マカオ
「う……」

治療半分ほど済んだところでマカオが意識を取り戻した。

ナツ
「マカオ!!」

マカオ
「くそ……な…情けねぇ… ハァハァ 19匹は……倒し…たん…だ。20匹目に…接収…されて…」

ルーシィ
「え?」

ルーシィはマカオの仕事の内容に驚愕していた。

アゲハ
『しゃべるな!!傷口が開く、おとなしくしてろ!!』

オレはマカオに黙るよう言うがマカオはしゃべることを止めない。

マカオ
「ムカツクぜ…ちくしょオ…これじゃ…ロメオに会わす顔が……ねぇ」

ナツ
「黙れっての!!アゲハの言う通りおとなしくしてろ!!」

ナツがそう言うとマカオはしゃべるのを止めた。よし、一気に治療を終わらせてやる。

━Side Out━



━Side 三人称━

夕方


ロメオ
「オレのせいだ……オレが父ちゃんにすごい仕事に行ってきて、なんて言ったから……」

レナ
「大丈夫だよ、アゲハ兄たちが絶対にマカオさんを連れて帰ってくるから」

ロメオはレナと一緒にナツたちの帰りを町の入り口で待っていた。レナはアゲハに言われた通りロメオが自分を責めないように宥めていた。

ロメオ
「でも……」

レナ
「そんな顔してたら幸せが逃げてっちゃうよ。信じて待ってようよ、ね?」

ロメオ
「レナ姉……うん、分かった」

ロメオはレナの言葉でいくぶんか落ち着いた。そして数十分後……

レナ
「あ、アゲハ兄たちだ!!」

レナとロメオがマグノリアの街に帰って来たアゲハたちを見つけた。もちろんマカオもいっしょに連れて。

ロメオはすぐさまマカオの元へと向かう。マカオはロメオを強く抱きしめた。

マカオ
「心配かけたな、スマネェ」

ロメオ
「いいんだ…オレは魔導士の息子だから……」

マカオ
「今度クソガキ共にからまれたら言ってやれ。“テメェの親父は怪物19匹倒せんのか!?”ってよ 」

その言葉にロメオは涙を流しながらも笑顔を見せた。

アゲハ
『レナ、サンキュな。ロメオのフォロー』

アゲハがマカオたちの様子を眺めているレナに言った。

レナ
「ううん、私ただロメオが落ち込まないように話をしていただけだし、そんなに大変じゃなかったよ」

アゲハ
『そっか……』

アゲハはマカオとロメオの再会の様子を見て、かつて自分が助けることができなかったレナの父親のことを思い出していた。

アゲハ
『父親……か…』

ルーシィ
「え?」

アゲハは誰にも聞こえないくらい小さい声で言ったのだが、隣に立っていたルーシィには聞こえてしまったらしい。

アゲハ
『いや、何でもねぇよ。それよりせっかくの親子水入らずの時間を邪魔しちゃ悪ぃしギルドに帰ろうぜ』

ルーシィ
「……そうね」

ナツたちを連れ、ギルドに帰ろうとするアゲハたちにロメオが気づいた。

ロメオ
「ナツ兄━━!!アゲハ兄━━!!レナ姉━━!!ハッピー!!ありがとぉ━━!それと…ルーシィ姉もありがとぉっ!!!」

お礼の言葉を叫ぶロメオに手を振り返し、アゲハたちはギルドへと戻っていった。

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