小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第29話 どんまいルーシィ


━Side ルーシィ━


ルーシィ
「いいトコ見つかったなぁ」

あたしは自分の家の湯船に使ってリラックスしていた。お風呂から上がってタオルで髪を拭く。

ルーシィ
「7万にしては間取りも広いし、収納スペース多いし。真っ白な壁、木の香り、ちょっとレトロな暖炉に竈までついてる!そして何より一番素敵なのは……」

あたしはタオルを体に巻いてドアに手をかける。そのドアを開くと……

ナツ
「よっ」

アゲハ
『邪魔してるぜ』

ルーシィ
「あたしの部屋━━━!!!」

あたしの部屋でくつろいでいるナツとアゲハにハッピーがいた。

ルーシィ
「なんであんた達がいるのよー!!!」

アゲハ
『よっと』

ナツ&ハッピー
「「まわっ」」

あたしは三人に回し蹴りを繰り出した。ナツとハッピーはあたしの回し蹴りによって壁に叩きつけられる。アゲハには避けられたけど……

ナツ
「だってミラから家決まったって聞いたから……」

起き上がったナツがここに来た理由を説明し出す。何よそのワケわかんない理由は!!

ルーシィ
「聞いたから何!?勝手に入っていい訳!!?」

あたしはナツに説教を始めた。

ルーシィ
「親しき仲にも礼儀ありって言葉知らないの!!?あんた達のした事は不法侵入!!犯罪よ!!モラルの欠如もいいトコだわ!!!」

ナツ
「オイ…そりゃあキズつくぞ…」

ルーシィ
「キズついてんのはあたしの方よ━━━!!!」

ナツの態度に思わず怒鳴る。

ハッピー
「いい部屋だね」

ルーシィ
「爪とぐなっ!!ネコ科動物!!」

ガリガリ、と壁で爪をとぐハッピー。

アゲハ
『他に面白いものねぇかな……』

そう言ってあたしの部屋をあさり出すアゲハ。

ルーシィ
「勝手に歩き回らないで!!」

好き勝手に行動する二人と一匹にあたしの心は崩壊寸前だった。そんな時、

ナツ
「ん?何だコレ」

ルーシィ
「!!!」

ナツが机の上にあるものを手に取った。そ…それは……!!!

ルーシィ
「ダメェ━━━━━!!!!」

あたしは慌ててナツからそれを奪い返した。

ナツ
「なんか気になるな。何だ ソレ」

アゲハ
『何なんだその紙の束』

ルーシィ
「何でもいいでしょ!!てかもう帰ってよ━━━っ!!!」

ナツ
「やだよ、遊びに来たんだし」

アゲハ
『せっかく来たんだしな。飽きるまでここにいるぞ』

ルーシィ
「超勝手!!!」

あたしはもう泣き叫ぶことしかできなかった。


━Side Out━



━Side アゲハ━


着替えたルーシィがオレたちに紅茶を出してきた。

ルーシィ
「まだ引っ越してきたばかりで家具も揃ってないのよ。遊ぶモンなんか何もないんだから紅茶飲んだら帰ってよね」

テーブルに頬杖をつきながらしゃべるルーシィ。

ナツ
「残忍な奴だな」

ハッピー
「あい」

アゲハ
『“何もないけどゆっくりしていって”ぐらい言ってほしいよな』

ルーシィ
「紅茶のんで帰れって言っただけでここま手言われるって……」

俺たちの反論に肩を震わせて怒りをこらえるルーシィ。オレはのりで言ってみただけなんだけどな。

ナツ
「あ!そうだ。ルーシィの持ってる鍵の奴等全部見せてくれよ」

急にナツがルーシィの星霊を見たいと言い出した。

ルーシィ
「いやよ!!すごく魔力を消耗するじゃない。それに鍵の奴等じゃなくて星霊よ」

ルーシィはナツの要望を断った。まぁ、初期のルーシィの魔力じゃ厳しいよな。

ハッピー
「ルーシィは何人の星霊と契約してるの?」

ルーシィ
「6体。星霊は1体2対って数えるの」

そう言ってルーシィは自分の鍵を取りだし、テーブルに並べた。

ルーシィ
「こっちの銀色の鍵がお店で売ってる奴やつ。時計座のホロロギウム、南十字座のクルックス、琴座のリラ」

アゲハ
『名前からしてそんなに強くなさそうだな』

ルーシィ
「こっちのは戦闘用の星霊じゃないからね……であとの金色の鍵は黄道十二門っていう門【ゲート】をあける超レアな鍵。金牛宮のタウロス、宝瓶宮のアクエリアス、巨蟹宮のキャンサー」

金色の鍵を紹介していくルーシィ。あれ、そういえばルーシィの星霊ってオレたちホロロギウムしか見てなくね?あ、そうか。オレが星霊達の見せ場奪っちゃったんだな?納得納得………ってダメじゃん!!このままじゃナツとルーシィのチーム結成の流れになんねぇじゃん!!な、何とかしねぇと……!!

そんなことを考えているといつの間にかニコラを呼び出すところまで話が進んでいた。

ルーシィ
「我…星霊界との道をつなぐ者 汝……その呼びかけに応え門をくぐれ」

キィィィィィィィィン

空間に突如鍵穴が現れた。ナツとハッピーはそれを食い入るように見ている。

ルーシィ
「開け 子犬座の扉 ニコラ!!」

ルーシィか唱えると同時に煙が吹き出した。

ニコラ
「プーン!!!」

ナツ&ハッピー
「「ニコラ━━!!!」」

煙がはれて出てきたのはなんとも言えないちっこい生物だった。コレがプルーか……やっぱ生で見ると違うなー、ホントに何の生物なのかわかんねぇ。あ、今はまだニコラか……

ナツ&ハッピー
「「…………ど……どんまい!!」」

ナツとハッピーは失敗したと思ったのかルーシィを励ますように言った。

ルーシィ
「失敗じゃないわよ━━!!!」

ルーシィはコレで成功したのだと反論した。

ルーシィ
「ああん、かわいぃー」

ルーシィはおもむろにニコラを抱き始めた。

ナツ
「そ……そうか?」

アゲハ
『微妙だよな』

ナツは微妙な表情をしている。うん、仕方ない。オレだってRAVEで初めてプルーを見たときはなんだこの生物、って思ったし。

ルーシィ
「ニコラの門はあまり魔力を使わないし、愛玩星霊として人気なのよ」

ハッピー
「ナツー、アゲハー、人間のエゴが見えるよー」

ナツ&アゲハ
「『うむ』」

ハッピーの言葉に頷くオレたち。まごうことなき正論だ。

ルーシィ
「じゃ……契約にうつるわよ」

ニコラ
「ププーン」

ルーシィがメモを用意し、それに応じててをあげるニコラ。
ルーシィが出れる曜日を聞いていき、それをニコラが首を縦に振るか横に振るかだけ確認している。知ってはいたけどずいぶん簡単だよな。

ナツ
「地味だな」

ハッピー
「あい」

アゲハ
『オレもそう思う』

オレたちが契約について地味だといっているうちに契約が終わったようだ。

ルーシィ
「はいっ!!契約完了!!!」

ニコラ
「ププーン!!!」

ハッピー
「ずいぶん簡単なんだね」

ルーシィ
「確かに見た感じはそうだけど大切なことなのよ。星霊魔導士は契約…すなわち約束ごとを重要視するの。だからあたしは絶対約束だけは破らない…ってね」

ナツ
「ヘェー」

ルーシィ
「そうだ!!名前決めてあげないとな」

ハッピー
「ニコラじゃないの」

アゲハ
『それは総称だろ。お前ら犬飼ってたとしてそいつの事犬って呼ぶのか?』

ナツ
「ああ、なるほど。そういうことか。確かにハッピーの事をネコって呼ぶのも変だしな」

ハッピー
「そうだね」

オレたちが話している間にもルーシィはあごに手を当て、考えている。不意にルーシィは手をぽんと叩いてなにか思い付いたような顔をした。

ルーシィ
「おいで!プルー」

ニコラ改めプルー
「プーン!!」

ルーシィがプルーに呼びかけるとプルーはルーシィに飛び付いた。

ナツ
「プルぅ?」

ルーシィ
「なんか語感がかわいいでしょ。ね プルー」

プルー
「プーン」

ハッピー
「プルーは子犬座なのにワンワン鳴かないんだ。変なのー」

ルーシィ
「あんたもにゃーにゃー鳴かないじゃない」

アゲハ
『ハッピーはただのネコじゃねぇからな。しゃべるし、飛ぶし……』

そんなことを話しているとプルーが何やら踊り出した。

ナツ
「プルー!!お前面白いこと言うなぁっ!!!」

ルーシィ
「なんか伝わってるし」

え、マジで?オレなにもしなくていい系なのか?この展開……

ナツ
「うーん、確かに面白い提案だけど、ぶっちゃけルーシィの実力がどれぐらいなのか知らねぇんだよな……」

ルーシィ
「?何の話してるの?」

あ、やっぱりダメか。そうだよな、原作では確か星霊に助けられたからチームを組もうって言い出したんだし……仕方ねぇ、ここはオレがいっちょ頑張りますか。

アゲハ
『いいんじゃねぇか?ルーシィ結構いいやつだし、いざというときは頼りになるかもよ?それに他の星霊も見てみたいだろ?』

ナツ
「………そうだな!!よし、決めた!!プルーとアゲハの提案に賛成だ!!!」

ハッピー&ルーシィ
「「!!」」

二人は何事かとこちらを見ている。

ナツ
「オレたちでチームを組もう!!!」

ハッピー
「なるほど━━━っ!!!」

ルーシィ
「チーム?」

ハッピー
「あい!!ギルドのメンバーはみんな仲間だけど、特に仲のいい人同士が集まってチームを結成するんだよ。一人じゃ難しい依頼もチームでやれば楽になるしね」

ルーシィ
「いいわね!!それっ!!!面白そう!!!」

ナツ
「おおおし!!!決定だ━━━っ!!!」

ルーシィ
「契約成立ね!」

ハッピー
「あいさ━━━っ!!!」

アゲハ
『このメンバーなら色々と面白そうだ』

うんうん、これで原作通りに事が進むはずだ。よかったよかった。いつの間にかオレもチームの中に入ってたようだが、原作の流れがつかみやすいし、好都合かな。S級クエスト行くときだけ別行動にさせてもらえばいいし……

ナツ
「さっそく仕事に行くぞ!!ホラ!!!もう決めてあるんだ━━!!!」

ルーシィ
「もう、せっかちなんだからぁー」

ルーシィはナツが自分を認めてくれたと思ったのか笑顔を見せながらくねくねして答える。そして依頼書を手に取り内容を見る。

ルーシィ
「シロツメの街かぁ……って、うっそ!!エバルー公爵って人の屋敷から一冊の本を取ってくるだけで………20万J!!?」

ナツ
「な!!オイシー仕事だろ?」

ナツがそう言うがルーシィは依頼書のある項目が目に入った。そう、エバルーについての注意書きの項目に……
ルーシィがなんとも言えない表情でナツを見る。

ナツ
「ルーシィ金髪だもんな」

ハッピー
「だね!!メイドの格好して忍び込んでもらおーよ」

アゲハ
『そんなに簡単にいくかぁ?』

ルーシィ
「あんたたち最初から……ハメられた━━━━━━━━っ!!!!」

ナツ
「星霊魔導士は契約を大切にしているのかぁ。えらいなぁ」

ルーシィ
「ひでえ━━━━━っ!!!!」

泣き叫ぶルーシィ。あまりにかわいそうだったので肩を叩いて慰めてやった。

アゲハ
『どんまいルーシィ』

ルーシィ
「アゲハにも止められないのね、ナツたちは」

アゲハ
『そういうこった。ま、なんとかなるさ』

こうしてオレたちはシロツメの街へと向かうこととなった。

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