小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第30話 リアルで見るとマジできモッ!!


━馬車の中━

ルーシィ
「言ってみればずいぶん簡単な仕事よねー」

ルーシィがシロツメの街へと向かう馬車の中で言った。馬車の中にいるのはオレとルーシィにハッピー、グロッキーな状態のナツだった。

馬車が狭かったからな、PSIが使えなかったんだ。ゴメン、ナツ。

アゲハ
『嫌がってたわりにはけっこう乗り気じゃん』

ルーシィ
「トーゼン!!なんてったってあたしの初仕事だからね。ビシッと決めるわよ!!」

拳をグッと握りながら言うルーシィ。

ルーシィ
「要は屋敷に潜入して本を一冊持ってくればいいだけでしょ?」

ハッピー
「スケベオヤジの屋敷にね」

ルーシィ
「そう、スケベオヤジ」

アゲハ
『やめといた方がいいと思うけどな、メイド作戦。多分ルーシィじゃ無理だ』

ルーシィ
「失礼ねっ!!!こー見えて色気にはちょっと自信あるのよ。うふん」

オレの忠告に反論し、お色気ポーズを決めるルーシィ。

ハッピー
「ネコにはちょっと判断できないです」

アゲハ
『つーかそういう問題じゃねぇし』

オレはハッピーの言葉に被せるようにボソッと言った。これは原作知ってるから言えることだけどな。あのスケベオヤジの美的感覚は狂ってる。ルーシィじゃなくても無理だ。

ルーシィ
「言っとくけどこの仕事……あんたらやる事ないんだから報酬の取り分7・1・1・1だからね」

ハッピー
「ルーシィ1でいいの?」

ルーシィ
「あたしが7よ!!!」

ハッピーのボケにルーシィがツッコむ。うーむ、やはり逸材……って何言ってんだオレは?漫才評論家か!!
そんなことを考えているとナツが苦しみながらもルーシィに向かって話し出す。

ナツ
「ちょ…ちょっと待て……オレたち…もやる事…ある…」

ルーシィ
「何よ」

ナツ
「捕まったら助けてやる」

ルーシィ
「そんなミスしません」

ハッピー
「魚釣りでもね、エサは無駄になること多いんだよ」

ルーシィ
「あたしはエサかいッ!!!」

アゲハ
『安心しろ、潜入する前に追い返されるから』

ルーシィ
「どういう意味よそれっ!!」

ルーシィの叫び声が馬車内にこだました。



━シロツメの街━


ルーシィ
「着いた!!!」

ナツ
「馬車には二度と乗らん…」

ハッピー
「いつも言ってるよ」

アゲハ
『ナツの“二度と”は何度くるんだろうな』

ナツ
「うっせ!!」

ま、そんなこんなでようやく着いたシロツメの街。馬車ってほんとのろいよなぁ。テレポートやトリックルームなら一瞬なのに。

ナツ
「とりあえずハラ減ったな、メシにしようぜメシ!!」

ハッピー
「ホテルは?荷物置いてこよーよ」

ナツに提案するハッピー。オレは手ぶらだけどな。ていうかいざとなったら必要なもの家に戻って取ってこれる。

ルーシィ
「あたしおナカ空いてないんだけどぉー。アンタ自分の“火”食べれば?」

自分が空腹でないからと抗議するルーシィ。

ナツ
「とんでもねぇ事言うなぁ、お前は自分の“プルー”とか他の星霊食うのか?」

ルーシィ
「食べる訳ないじゃないっ!!!」

ナツ
「それと同じだよ」

ルーシィ
「そ…そう?よーするに自分の火は食べられないって事なのね。めんどくさー……」

アゲハ
『仮に食えたとしても自分で出して自分で食ったら普通に+−ゼロだろ。』

ルーシィ
「た、確かに……そうだ!あたしちょっとこの街見てくる。食事は三人でどーぞ」

ああ、この後ルーシィ着替えるんだっけ?面白そうだから止めないでおこっと。

ナツ「?何だよ……みんなで食った方が楽しいのに」

ハッピー
「あい」



━レストラン━


ルーシィと別行動となりオレたちは近くのレストランで食事タイムになっていた。

ナツ
「脂っこいのはルーシィにとっておこっか」

ハッピー
「脂っこいの好きそうだもんね」

アゲハ
『いや、それはどうだろう?仮にも女子だぞ?』

ルーシィ
「あ…あたしがいつ脂好きになったのよ……それにアゲハ、仮にもって何よ仮にもって!!」

アゲハ
『あはは、それはまあ、のりっていう…………か……?』

ナツ
「お!来たのか、ルー………シィ?」

オレたちの目の前に現れたのはメイド服姿のルーシィだった。知ってはいたけどやっぱり驚くよな。しかもナルシスト発言。どっからその自信出てくんだ?普通自分のことかわいいなんて言わねえぞ?
オレたちはすぐさま集まってヒソヒソ話を始めた。

ハッピー
「どーしよぉー!!冗談で言ったのに本気にしてるよー!!メイド作戦」

ナツ
「今さら冗談とは言えねえしな。こ…これでいくか」

アゲハ
『マジかよ。本気でやるのか?』

ルーシィ
「聞こえてますがっ!!?」

中々にショックを受けた様子のルーシィだった。どんまい。


昼食を食べ終わったオレ達は今、依頼人であるカービィ・メロンの家の目の前にいる。
たしかこの家ってカービィが金持ちの友達に借りたもんなんだっけ?にしてもでけーな。

オレが屋敷について色々と考えているうちにナツが扉を叩いた。

「どちら様で?」

扉の中から声が返事が聞こえた。

ナツ
「魔導士ギルド妖精の「しっ!!静かに!!」?」

ナツの声は扉の奥にいる声の主によって遮られた。

「すみません…裏口から入っていただけますか?」

オレたちはとりあえず指示通り裏口に向かった。



カービィ
「先程はとんだ失礼を……私が依頼主のカービィ・メロンです。こっちは私の妻」

裏口から招き入れられたオレたちは応接室のような場所に通された。そこで自己紹介するカービィ。それに対してオレたちの反応はというと、

ナツ
「美味そうな名前だな!」

アゲハ
『名前がナマハムだったらもっと面白いのにな』

こんな感じだった。はい、もちろんオレのは悪ふざけです。

ルーシィ
「ちょっと!失礼よ!!」

カービィ
「あはは!よく言われるんですよ」

そう言って笑うカービィ。この人たしかケム・ザレオンっつー小説家の息子なんだよな。

カービィ
「まさか噂に名高い妖精の尻尾の魔導士さんがこの仕事を引き受けてくれるなんて……」

ナツ
「そっか?こんなうめェ仕事よく今まで残ってたなぁって思うけどな」

報酬と仕事の内容釣り合ってないからな。オレも原作に関わってるからついてきただけだし。普段なら絶対受けない。ミラがやけに心配するし。

カービィ
「しかもこんなお若いのに…さぞ有名な魔導士さんなんでしょうな」

ハッピー
「ナツは火竜【サラマンダー】って呼ばれてるんだ」

カービィ
「おお!!その字なら耳にしたことが」

ナツは行動が派手だからなー、オレも人の事は言えないけど……

ハッピー
「アゲハもすごい有名だよ。通り名はメr…ムグ!!」

オレは慌ててハッピーの口を塞いだ。危ねぇ危ねぇ…

アゲハ
『あはは、大した者じゃねぇから。オレの事はただの若造だと思って!』

不審に思ったメロン夫妻+ルーシィがオレたちを怪訝そうに見る。

ハッピー
「何すんだよぉ(ぼそ」

ハッピーがオレにボソボソと言ってくる。

アゲハ
『オレの通り名なんていったらこの人たちビビんだろーが!!(ぼそ』

ハッピー
「あ、そっか。ごめん」

アゲハ
『そういうこった。わかったな』

ハッピー
「うん」

オレの通り名については色々とめんどくさい事情がある。
オレが雑誌の取材に応じないのをいいことに週刊ソーサラーやら色々な魔導専門紙がオレの噂を聞いてあることないこと書いてるからオレの異名を聞いた奴はオレを見ると大抵ビビって腰を抜かす。
そんなことになったらこっちがめんどくさい。

カービィ
「……で、こちらは?」

オレがそんなことを考えていると、カービィがルーシィについて聞いてきた。

ルーシィ
「あたしも妖精の尻尾の魔導士です!!!」

カービィはルーシィの姿を上から下までジーッと眺め、

カービィ
「その服装は趣味か何かで?いえいえ…いいんですがね」

ルーシィ
「ちょっと帰りたくなってきた(泣)」

そりゃ、聞かれるだろうな。つーか着替える意味がないわけだし。

そして仕事の話になった。
仕事の内容は、エバルー公爵の持つこの世に一冊しかない本。“日の出【デイ・ブレイク】”その本の破棄又は焼失。

ナツ
「盗ってくるんじゃねぇのか?」

カービィ
「実質上他人の所有物を無断で破棄する訳ですから盗るのと変わりませんがね………」

ルーシィ
「驚いたぁ……あたしてっきり奪われた本かなんかを取り返してくれって感じの話かと………」

ナツ
「焼失かぁ…だったら屋敷ごと燃やしちまうか!!」

アゲハ
『オレのサラマンドラとナツのブレスなら一瞬だしな』

ハッピー
「楽チンだね」

ルーシィ
「ダーメ!! 確実に牢獄行きよ!!」

もう今更な気もするけどな。今までの妖精の尻尾の所業を考えれば………。

ルーシィ
「一体何なんですか?その本は……」

普通不思議に思うよな、でもこの人にも色々事情ってもんがあるんだよ、ルーシィ。口には出さねぇけどな。

ナツ
「どーでもいいじゃねーか。20万だぞ、20万!!」

ナツは全然気にした様子もなく言った。

カービィ
「いいえ…成功報酬は200万Jお支払いし ます」

ルーシィ
「にっ!!!?」

ハッピー
「ひゃ!!!!」

ナツ
「くぅ!!!?なんじゃそりゃあああああっ!!!」

金額に驚き叫ぶナツ。うるせぇ。

カービィ
「おやおや……値上がったのを知らずにおい ででしたか」

ナツ
「200万!?ちょっと待て!!!四等分すると……………………うおおおっ計算できんっ!!」

アゲハ『なんでそんな簡単な計算が出来ねぇんだよ。俺が197万で、残りはお前達の分だ、簡単だろ?』

ハッピー
「頭いいねアゲハ!!」

ルーシィ
「ちょっと!!私達1万しか残らないじゃないっ!!」

アゲハ
『チッ』

ルーシィ
「今舌打ちが聞こえましたが!?」

アゲハ
『冗談だよ』

本当に今のは冗談だ。S級クエストに行きまくってる今のオレはぶっちゃけて言うと金持ちだ。レナの分の生活費もレナ自身が稼いでいる、って言うかレナが稼いでいる分だけでも十分二人で生活できるほどだ。

カービィ
「まあまあ皆さん、落ち着いて」

突然値上がりした報酬額に驚愕するナツ達だが、 ルーシィは恐る恐るカービィに問う。

ルーシィ
「な…な…何で急にそんな…200万 に……」

カービィ
「それだけどうしてもあの本を破棄したいのです。私はあの本の存在が許せない」

……理由は知ってる。けど、あんたの父さんが残したものはあんたが思ってるようなものじゃねえよ、カービィさん。

ナツ
「おおおおおっ!!! 行くぞみんなぁ!!燃えてきたぁ!!!」

ルーシィ
「ちょ…ちょっとォ!!!」

急に正気を取り戻したナツに手を引っ張られ、 オレたちは外へ向かって駆け出した。


━エバルー公爵邸━


ナツ
「うまくやれよ、ルーシィ」

ハッピー
「がんばれ━━━━!」

エバルーの屋敷の前に来たオレたち、ルーシィが玄関から中へ呼び掛けるのをオレたちは近くの木の影から見ていた。

すると、ルーシィの足元の地面からメイドゴリラが飛び出してきた。つーかルーシィ、いくら驚いたからって女子が“うほっ”ってリアクションするのはどうかと思うぞ。

そんなことを考えていると、新たに穴が空いた。

エバルー
「ボヨヨーン。我輩を呼んだかね?」

原作読んでても思ったけど、ブッサイクだな。スケベオヤジの典型的な容姿だ。
ルーシィはそんなエバルーにじろじろと見られている。あ、鳥肌たってる、相当無理してんなアレ。オレなら絶対無理だ。

エバルー
「いらん!!帰れブス」

ルーシィ
「ブ……!」

ああ、やっぱり……
ルーシィはメイドゴリラにつまみ上げられる。っていうかあれバルゴだよな?ルーシィが呼び出すのとはもう別人だな。

エバルー
「我輩のようなえらーい男には」

新たに四つの穴からなにかが飛び出してきた。

エバルー
「美しい娘しか似合わんのだよ」

「やーだご主人様ったらぁ」

「お上手なんだからぁ」

「うふーん」

「ブスは帰んな!しっしっ!」

ぐはぁっ!!!!ま、まさかこんなに恐ろしい攻撃方法がこの世に存在したなんて。吐き気がする。マンガで見たときでも気色悪かったが……リアルで見るとマジでキモッ!!
無理無理、あんなのと一緒の空間にいるなんて耐えられん!!ギルドにいる女性が美人ばっかりなせいかブサイクに対する免疫がずいぶんと落ちていたようだ。

メイド作戦 失敗!!!!

ルーシィはブサイクにブスと言われ、落ち込んで泣いていた。

ナツ
「使えねえな」

容赦なくナツが追い討ちをかける。でもあれはしょうがない…

ルーシィ
「違うのよ!!エバルーって奴美的感覚がちょっと特殊なの!!あんたも見たでしょ!あのメイドゴリラ!!」

ハッピー
「言い訳だ」

アゲハ
『ホントにオレの言った通りになったな。潜入する前に追い返された』

ルーシィ
「キィ━━!!!くやし━━━━━!!!」

ナツ
「こうなったら“作戦T”に変更だ!」

ハッピー
「突撃【TOTUGEKI】━━!!」

ルーシィ
「あのオヤジ許さん!!」

アゲハ
『あんなもの見せやがって、当分メシ食えねーぞ!!ぶっ殺す!!』

オレたちは作戦をTに移行した。さあ、突撃だ!!

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