小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第32話 「行くのよアゲハ!!」『やだ』


ゴボボボ

地面の中を潜って移動するオレ。さーて、エバルーの奴はどこにいるかな。

エバルー
「言え!!!言わんと腕をへし折るぞ!!!」

エバルーの声が聞こえた。

アゲハ
『ん?あっちか!!』

オレは声のした方向に進んでいく。

エバルー
「調子にのるでないぞ小娘がぁあ!!その本は我輩の物だ!!我輩がケム・ザレオンに書かせたんじゃからな!!本の秘密だって我輩のものなのじゃあっ!!!」

ルーシィ
「あぐっ」

ルーシィがエバルーに腕を捕まれ、呻き声をあげたその時、

ザパッ

アゲハ
『よっ』

ルーシィ
「ア、アゲハァ!!?」

オレはルーシィの足元から浮かび上がった。

ルーシィ
「ア、アンタも潜れたわけ?」

アゲハ
『まぁな、それより羽の生えたネコがこっちに来るぜ』

ルーシィ
「え?」

ボキッ

エバルー
「おおぅ!!?」

ルーシィ
「ハッピー!!!」

見ればハッピーがエバルーの腕にキックを食らわせていた。その隙にルーシィは腕の拘束から逃れる。

アゲハ
『やるじゃんハッピー!!かっこよかったぞ』

ハッピーはにっ、と笑って着地しようとするが……
ちゃぽん
下水道へと落ちてしまった。ルーシィは言葉がでないようだ。

エバルー
「おのれ……なんだこの猫は!!」

ハッピー
「バッビィべぶる」

ルーシィ
「“ハッピーです”だってさ。てかアンタあがってきなさいよ」

ハッピー
「びぶ…びぼびいべぶる(水…気持ちいいです)」

アゲハ
『下水だぞ』

さすがに汚ぇだろ。ひくぞハッピー。

ルーシィ
「ふっふっふ、形勢逆転ね。行くのよアゲハ!!エバルーをぶっ飛ばして!!」

ルーシィがオレにエバルーをぶっとばすよう言ってくる。けど……

アゲハ
『やだ』

断ってやった。

ルーシィ
「えぇええええええ!!?何でぇええ!!?」

オレの発言に驚き、理由を問うルーシィ。

アゲハ
『一回くらい戦ってみたらどうだ?ルーシィが戦ってるトコ一回も見たことねぇし、このままオレに頼ってるようじゃ経験も何も積めねぇぞ?』

ルーシィ
「アゲハ……そうよね。頼りっぱなしじゃダメなんだ。あたしだって妖精の尻尾の魔導士なんだから!!」

アゲハ
『そういうことだ。じゃあオレは黙ってみてるからな』

ルーシィ
「うん、大丈夫。あたしだって戦えるんだから」

エバルー
「お前たち!!偉ーい我輩を差し置いて何を話しておる!!」

ルーシィ
「アンタをぶっとばす算段よ!!観念しなさい!!この本をあたしにくれるなら許してやってもいいけど」

そう言ってルーシィは門の鍵を構える。

エバルー
「ほぉう……星霊魔法か、ボヨヨヨ。しかし我輩の魔法“土潜【ダイバー】”をどう破ると言うのだ!!」

エバルーは再び地面に潜った。どうでもいいけど本当にあの魔法、劣化版“潜航師【ゾーンダイバー】”だな。潜ったら必ず穴ができるし。オレのはなんの痕跡も残さず潜れるからな。

オレが思考に耽っている間にも戦闘は続く。ルーシィは“日の出【デイ・ブレイク】”の内容について語りながらエバルーの攻撃を避けていく。

ルーシィはうまく攻撃を避け続けていたが、ついに足首をエバルーに捕まれた。

ルーシィ
「自分の欲望のためにそこまでするってどうなのよ!!!独房に監禁されてた3年間!!彼はどんな想いでいたかわかる!!?」

ルーシィはエバルーの手を捕まれていない方の足で踏んづける。

ハッピー
「3年も……!!?」

ハッピーは驚愕した。何せハッピーの人生の半分の間監禁されてたんだもんな。

エバルー
「我輩の偉大さに気づいたのだ!!」

ルーシィ
「違う!!!自分のプライドとの戦いだった!!!書かなければ家族の身が危ない!!だけどアンタみたいな大バカを主人公にした本なんて……作家としての誇りが許さない!!!」

ルーシィは感情を露にしてエバルーに怒鳴り付ける。オレも少しずつ怒りが沸いてきた。

エバルー
「貴様…なぜそれほど詳しく知っておる?」

エバルーはルーシィの足から手を離し、地上に出て言った。

ルーシィ
「全部この本に書いてあったわ」

エバルー
「はあ?それなら我輩も読んだ。ケム・ザレオンなど登場せんぞ」

ルーシィ
「もちろん普通に読めばファンもがっかりの駄作よ。でもアンタだって知ってるでしょ?ケム・ザレオンは元々は魔導士」

エバルー
「な……!!まさか!!!」

ルーシィ
「彼は最後の力をふりしぼって…この本に魔法をかけた」

ルーシィはデイ・ブレイクをエバルーに見せつけながら言い放った。

エバルー
「魔法を解けば我輩への恨みを綴った文章が現れる仕組みだったのか!!?け…けしからん!!!」

ルーシィ
「発想が貧困ね…確かにこの本が完成するまでの経緯は書かれていたわ。だけどケム・ザレオンが残したかった言葉はそんな事じゃない。本当の秘密は別にあるんだから」

エバルー
「な……っ!!!なんだと!!?」

今思ったんだが、ルーシィって魔法を解かずに読んだだけで文字の入れ替えの魔法に気づいたってことだよな?冷静に考えるとマジですごい。そんなに頭よかったのか?

ルーシィ
「だからこの本はアンタには渡さない!!てゆーかアンタには持つ資格なし!!!開け!!巨蟹宮の扉…キャンサー」

アゲハ
『おおっ!!ついに来たか横道十二門!!!』

結構楽しみにしてたんだよね。これ見るの。

ハッピー
「蟹キタ━━━━━━━━━━━━!!!!絶対語尾に“カニ”つけるよ!!間違いないよね!!カニだもんね!!オイラ知ってるよ“お約束”って言うんだ!!」

目を輝かせるハッピー。でもな、来るのはストレートじゃなくてフックなんだよ、ハッピー。

キャンサー
「ルーシィ…今日はどんな髪型にするエビ?」

ルーシィ
「空気読んでくれるかしら!!?」

ハッピー
「エビ━━━━━━━━━━━!!!?」

ハッピーが驚愕の声をあげる。まぁ仕方ないよな。オレもあらかじめ知らなかったらツッコんでた。

ルーシィ
「戦闘よ!!!あのヒゲオヤジやっつけちゃって!!!」

キャンサー
「OKエビ」

アゲハ
『まさにストレートかと思ったらフックを食らった感じだな、ハッピー』

ハッピー
「その通りだね。うん!!もう帰らせていいよ」

ルーシィ
「あんたが帰れば」

アゲハ
『あれ?エバルーの奴、どうしたんだ?』

視線を向けると、何やらエバルーは体を震わせている。そしておもむろに鍵を取り出した。

エバルー
「ぬぅおぉおぉっ!!!!開け!!処女宮の扉!!!」

ルーシィ
「え!!?」

ハッピー
「ルーシィと同じ魔法」

アゲハ
『く…来る!!』

またあの醜いバルゴを見なきゃいけねぇのか!!くそっ、美人な方を知っているからか余計心が痛む!!

エバルー
「バルゴ!!!」

ルーシィ
「うそぉ!!!?」

バルゴ
「お呼びでしょうか?ご主人様」

アゲハ
『グハァっ!!!』

アゲハの精神に1000ダメージ!!アゲハは吐血した。なんてふざけたこと考えてる場合じゃねぇか

エバルー
「バルゴ!!!その本を奪えっ!!」

ルーシィ
「こいつ…星霊だったの!!?」

キャンサー
「エビ」

ルーシィたちが驚いていると、さらに驚くべきものを発見した。それは敵であるエバルーも同じで………

ルーシィ
「あっ!!!」

ハッピー
「あ!!!!」

エバルー
「あ!!!?」

驚き顔3連発。その視線の先には……

アゲハ
『やっぱ来たな』

ルーシィ
「ナツ!!!!」

ナツ
「お!!?」

バルゴの服ををつかんだナツがいた。

エバルー
「なぜ貴様がバルゴと!!!」

ルーシィ
「あんた……どうやって……!!?」

ナツ
「どう…ってコイツが動き出したから後つけてきたらいきなり…訳わかんね━━!!!」

そう言うナツの手はしっかりとバルゴの服をつかんでいる。

ルーシィ
「“つけて”って言うか……“つかんで”でしょ!!!まさか…人間が星霊界を通過してきたって言うの!!?ありえないって!!!」

アゲハ
『ナツ!!そこ退いてろ!!!』

もう我慢できねぇ!!

ルーシィ
「アゲハ!!?」

ナツ
「分かった!!!」

オレはナツが離れたのを確認し、バルゴに向かって走り出す。

エバルー
「バルゴ!!!早く邪魔者をいっそ…」

アゲハ
『んんっ!!』

エバルーがバルゴに命令を出そうとしたがもう遅い!!オレはバルゴの顔面の前で体制を整える。

アゲハ
『ヴィクトリースタンプ!!!』

バルゴ
「ぼふおっ!!!」

ドッ ガッ ゴッ ズザザザザ━━━

バルゴの顔面にライズで強化したドロップキックを食らわせた。バルゴは数十メートル吹っ飛ばされた。

アゲハ
『許せバルゴ……これ以上お前の姿を見ることに耐えられなかったんだ。次会うときはルーシィがオーナーになったときだな。それまではさらばだ!!また会おう!!』

オレはバルゴに別れの挨拶をした。

エバルー
「な…な…な……………!!!!」

ルーシィ
「ス…スゴ………」

アゲハ
『ルーシィ!!!今のうちだ!!あいつをぶっとばせぇ!!!』

オレはルーシィに呆然としているエバルーを指差し、呼び掛ける。

ルーシィ
「はっ!!そうだった!!」

オレの呼び掛けで我に帰ったルーシィは鞭をエバルーに絡ませ地面に潜れなくする。

ルーシィ
「もう地面には逃げられないわよ!!アンタなんか…」

ルーシィは鞭を引っ張ってエバルーを投げ上げる。そこにキャンサーがハサミを構えた。

ルーシィ
「ワキ役で十分なのよっ!!!!」

ギャン!!!

ルーシィとキャンサーが交差する。

エバルー
「ボギョオ」

叫び声をあげて倒れたエバルーの頭と顔には一切毛が残っていなかった。

キャンサー
「お客様……こんな感じでいかがでしょうか? エビ」

ナツ
「ははっ」

アゲハ
『派手にやったな、ルーシィ』

ルーシィ
「アンタのドロップキックほどじゃないわよ。ありがとね、あたしのためにエバルーをやっつけるの我慢してくれて。ホントはアンタが自分でぶっとばしたかったんでしょ?」

アゲハ
『はて、なーんの事だかさっぱりだな』

ルーシィ
「………ふふっ、素直じゃないわね」

アゲハ
『うっせ。…………今回はお前のお手柄だよ、ルーシィ』

ナツ
「さっすが妖精の尻尾の魔導士だ」

ハッピー
「あい」

ルーシィはオレとの会話を終えると、息を吐き出し、デイ・ブレイクをその胸に抱き締めた。

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