小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第36話 鉄の森追走劇


━Side レナ━


こんにちは、レナです。オニバス駅に到着した私たちはナツがいないのに気づいて焦っています。って誰に向かってしゃべってるんだろう?

エルザ
「何という事だっ!!!!話に夢中になるあまりナツを列車においてきたっ!!あいつは乗り物に弱いというのにっ!!私の過失だっ!!とりあえず私を殴ってくれないかっ!!!」

ルーシィ
「まあまあまあ」

自分に責任を感じたエルザは私達に殴るように諭した。

レナ
「誰も殴れないよ。後が怖いし……」

グレイ
「だな……」

私の言葉にグレイが同意した。やっぱりみんなエルザが怖いんだねー。私は怖くないけど。

エルザ
「そういう訳だ!!列車を止める!!」

駅員
「ど…どういう訳?」

エルザが駅員に列車を止めるよう言っている。でも事情を全然話してないから駅員さん困ってるよ。

ルーシィ
「やっぱり妖精の尻尾の人はみんなこーゆー感じなんだぁ……」

グレイ
「オイ!!オレはまともだぞ!!」

ルーシィ
「露出魔のどこが!?本当にまともなのはレナぐらいよ」

レナ
「あはは、誉め言葉として受け取っておくよ」

うん、自分でも妖精の尻尾の中ではまともな方だと思う。ミラさんもなんだかんだ言って変人だしね。エルザの方を見てみるとエルザがハッピーに緊急停止信号のレバーを下ろすよう命じていた。

ガコン

ジリリリリリリリリリリリ

駅の周辺にベルが鳴り響く。

エルザ
「ナツを追うぞ!!!すまない荷物を“ホテル チリ”まで頼む」

「誰……アンタ……」

エルザ……ナツを追うのはいいんだけど、知らない人に自分の荷物届けてくれって頼むのはどうかと思うよ。まあ口に出しても聞かないだろうけど。

ルーシィ
「もう……めちゃくちゃ…」

グレイ
「だな…」

ルーシィ
「服!!何で!!?」

レナ
「相変わらずの脱ぎ癖だね」

エルザ
「お前たち!!早く乗れ!!」

エルザが魔導四輪に乗ってきた。これでナツを追いかけるつもりだろう。私たちが乗ったのを確認すると、エルザは魔導四輪を走らせた。




しばらく魔導四輪を走らせていると、列車が見えてきた。

ガシャン

レナ
「ガシャン?」

前から聞こえた音が気になって窓から身を乗り出す。そこから見えたのは……

レナ
「ナツ!!?」

他のみんなもナツに気づいたようだ。

グレイ
「なんで列車から飛んでくるんだよォ!!!」

ルーシィ
「どーなってんのよ!!!」

レナ
「てゆーか、このままいけば………」

私はこの後の展開を予想して手を合わせた。

ゴチーン

ナツ&グレイ
「「ぎゃああああああああ!!!!」」

レナ
「やっぱりね……」

予想通りナツとグレイは激突した。痛いだろうなぁ。ごめんね、助けてあげられなくて。
さすがにあのスピードだと“紅ノ天使【クレナイ】”でも間に合わなかった。

エルザ
「ナツ!!!無事だったか!!?」

エルザが心配して問う。私たちも車から降りてナツの元へ向かった。

グレイ
「痛━━━━━っ!!!何しやがるっ!!ナツてめえっ!!!」

ナツ
「今のショックで記憶喪失になっちまった!!誰だオメェ、くせぇ」

グレイ
「何ィ!!?」

ハッピー
「ナツー、ごめんねー」

ナツ
「ハッピー!!エルザ!!ルーシィ!!レナ!!ひでぇぞ!!!オレをおいてくなよっ!!」

エルザ
「すまない」

ルーシィ
「ごめん」

レナ
「気づくの遅れちゃって……」

グレイ
「おい……随分都合のいい記憶喪失だな…」

と、軽くショートコントをかます一同。まあナツが戻ってきて何よりだね。

エルザ
「無事で何よりだ、よかった」

ナツ
「硬っ!!」

ナツはエルザに胸に抱き寄せられてるけど、鎧だから痛そうだ。

ナツ
「無事なモンかっ!!!列車の中で変な奴にから まれたんだ!!!」

エルザ
「?」

ナツ
「何つったかな?アイ…ゼン…バルト ?」

「「「「!!!!」」」」

鉄の森【アイゼンヴァルト】!!?それって……
ナツの言葉を聞いてエルザが真っ先に動いた?

「バカモノぉっ!!!!」

バチィッ、とナツにビンタを食らわしたエルザ。 ナツは数十メートル先まで飛んで行ってしまった。ルーシィが目を飛び出させて驚いてる。

エルザ
「鉄の森は私たちの追っている者だ!!!」

ナツ
「そんな話初めて聞いたぞ……」

エルザ
「なぜ私の話をちゃんと聞いていないっ!!」

ナツ
「?」

レナ
「エルザが殴って気絶させたせいだよ……」

エルザ
「あ…………と、とにかく!!さっきの列車に乗っているのだな、今すぐに追うぞ!!どんな特徴をしていた?」

ナツ
「あんまり特徴なかったなぁ、なんかドクロっぽい笛持ってた。三つ目があるドクロだ」

グレイ
「何だそりゃ、趣味悪ィ奴だな」

ルーシィ
「三つ目のドクロの笛……」

ルーシィが何かに気づいたように呟く。

レナ
「どうしたのルーシィ?」

ルーシィ
「ううん…まさかね………あんなの作り話よ……でも……もしもその笛が呪歌だとしたら…子守歌…眠り…死……!!!
その笛がララバイだ!!呪歌【ララバイ】……“死”の魔法!!!!」

エルザ
「何!?」

グレイ
「呪歌?」

ルーシィ
「あたしも本で読んだことしかないんだけど……禁止されてる魔法の一つに呪殺ってあるでしょ?」

エルザ
「ああ…その名の通り対象者を呪い“死”を与える黒魔法だ」

ルーシィ
「ララバイはもっと恐ろしいの。その正体は、その笛の音を聴いた者全てを呪殺する……“集団呪殺魔法”!!!」

レナ
「集団呪殺魔法!!?」

エルザ
「冗談じゃない!!そんなものがエリゴールの手に渡ったら……すぐに追いかけるぞ!!早く乗れ!!」

私たちはすぐに魔導四輪でエリゴールたちを追いかけた。

途中通過したクヌギ駅で鉄の森が列車を乗っ取ったことを聞いた。

ルーシィ
「あいつ等…列車を乗っ取ったの!!?」

ハッピー
「みたいだね」

ルーシィ
「馬車や船とかならわかるけど、列車って…」

レナ
「だよね、レールの上しか走れないし、あんまりメリットがないよね」

グレイ
「ただしスピードはある。何かをしでかす為に奴等は急がざるを得ないという事か?」

ルーシィ
「何故脱ぐ」

本当にこんなときでも脱ぎ癖発動するんだね。呆れるよ。

ルーシィ
「もう軍隊も動いてるし、捕まるのは時間の問題なんじゃない?」

エルザ
「………………だといいがな。」

そう言ってエルザは魔道四輪を動かし、次の駅に向かった。私も不安が拭えない。何なんだろう?

レナ
「……って、えぇっ!!?」

気づけばエルザが街の中なのにも関わらず全速力で魔導四輪をとばしていた。ちょちょちょおっ!!?危ないっ!!危ないよぉ!!

グレイ
「エルザ!!とばしすぎだぞっ!!SEプラグが膨張してんじゃねーか」

レナ
「街中をこのスピードで走ってることにはツッコまないんだねっ!!?」

エルザ
「あの笛が吹かれれば大勢の人が死ぬ……音色を聴いただけで人の命が消えてしまうんだぞ」

グレイ
「わかってっけど奴等の目的もはっきりしてねえし……一戦交える可能性もある。そんなにスピード出したらいざって時にお前の魔力が枯渇しちまうぞ」

エルザ
「構わん。いよいよとなれば棒切れでも持って戦うさ。それにお前たちがいるしな」

グレイ
「む…」

レナ
「あ!!駅が見えてきた!!」

エルザ
「何だあれは…」

私が指差したオシバナ駅では煙が上がっていた。何が起こってるんだろう……?


━オシバナ駅前━


駅前は騒がしくなっていた。アナウンスでは列車の脱線事故って言ってるけど、十中八九鉄の森に占拠されたね。 ふとエルザを見ると……

エルザ
「駅内(なか)の様子は?」

駅員
「ん?何だね君は「ゴッ!」うほっ!!」

エルザ
「駅内(なか)の様子は?」

駅員
「ひっ!!」

駅の中の様子を聞き、即答できなかった駅員には頭突きをかますエルザ。さすがにやり過ぎだよエルザ……

ルーシィ
「即答出来る人しかいらないって事なのね」

グレイ
「だんだんわかってきたろ?」

レナ
「そういう人なんだよ」

私たちはエルザの所業に震えていた。

ルーシィ
「てかこれってあたしの役!!?」

ルーシィが背負っているのは人混みで酔ったナツだった。

訴えかけてくるルーシィをシカトして中へ突入する。

エルザ
「軍の小隊が突入したが、まだ戻ってきてないらしい。おそらくまだ鉄の森と戦闘中なのだろう」

しばらく走っていると倒れている兵達が見えた。みんな重症だ。

ルーシィ「ひいいっ!!!」

ハッピー「全滅!!!」

エルザ
「相手は一つのギルド。すなわち全員魔導士。軍の小隊ではやはり話にならんか……」

グレイ
「急げ!!!ホームはこっちだ!!!」

グレイの言う通り、ホームに向かうと鉄の森の魔導士たちが集結していた。

エリゴール
「やはり来たな。妖精の尻尾」

偉そうに上の方で座っている人が言った。多分あの人がエリゴール……

ルーシィ
「な…なに……この数…」

ルーシィが青い顔をして言った。ギルド一つなんだからこれくらいはいるでしょ。

エルザ
「貴様がエリゴールだな」

エルザがエリゴールにそう言った。後ろではルーシィがナツを起こそうとしている。3コンボってうまいこと言うねハッピー。

カゲ
「ハエがぁ━━お前等のせいで……」

ナツ
「ん?この…声……」

エルザ
「貴様らの目的は何だ?返答次第ではただでは済まさんぞ」

エリゴール
「遊びてぇんだよ。仕事も無ェしヒマなモンでよォ」

エリゴールの言葉に笑いだす鉄の森の魔導士たち。ちょっとムカつき。

エリゴール
「まだわかんねぇのか?駅には何がある?」

エリゴールはそう言って空中に飛んだ。

ルーシィ
「飛んだ!!」

ハッピー
「風の魔法だっ!!」

レナ
「でも見たとこ大したこと無いね」

アゲハ兄の方が圧倒的に強い。多分瞬殺だ。そんなエリゴールはスピーカーの側まで飛んでいき、それをコツンと叩いた。

エルザ
「ララバイを放送するつもりか!!!?」

ルーシィ
「ええ!!?」

グレイ
「何だと!!?」

そんなことしたら……何てことを考えるんだ!!

エリゴール
「ふははははっ!!!この駅の周辺には何百…何千人ものヤジ馬共が集まっている。いや…音量を上げれば町中に響くかな……死のメロディが」

エルザ
「大量無差別殺人だと!?」

エリゴール
「これは静粛なのだ。権利を奪われた者の存在を知らずに権利を掲げ、生活を保全している愚か者どもへのな。この不公平な世界を知らずに生きるのは罪だ。よって死神が罰を与えにきた。“死”という名の罰をな!!!」

ルーシィ
「そんな事したって権利は戻ってこないのよっ!!!てゆーか元々自分たちが悪いってのに……あきれた人たちね」

レナ
「ルーシィの言う通りだよ!!筋が通ってない!!」

エリゴール
「ここまで来たら欲しいのは“権利”じゃない“権力”だ。権力があれば全ての過去を流し、未来を支配する事だってできる」

プッツーン。私キレちゃったなぁー……

ルーシィ「あんたバッカじゃないの!?」

カゲ
「残念だなハエ共!闇の時代を見る事なくあの世行きとは!」

カゲとかいう人がそう言って影を操りルーシィに攻撃してきた。

ナツ
「この声…やっぱりオマエかぁああぁぁあっ!!!」

いいタイミングで復活したナツが防いだ。ちょっとかっこいいかも、と思ったのはきっと気のせいだろう。

カゲ
「てめ…」

ルーシィ
「復活!!」

ナツ
「今度は地上戦だな。って……なんかいっぱいいる」

ルーシィ
「敵よ敵!ぜーんぶ敵!」

ナツ
「へっ、面白そうじゃねぇか!」

私たちも鉄の森の魔導士たちも臨戦態勢に入る。
久しぶりに怒った。この人たちは許さないっ!!

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