小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第38話 魔風壁を突破せよ


━Sideアゲハ━

アゲハ
『うっとおしい……』

さっきから禁人種【タヴー】を大量に殲滅しながら深淵の洞窟の内部を進んでいるのだが、いっこうに数が減らねぇ━━━━━━━!!!!
何なんだこいつら!!数が多すぎるにもほどがあんぞ!!もう200体は倒したんじゃねえか!?

アゲハ
『それにしても誰がこんなに大量の禁人種を……?しかもちゃんとイルミナを核に作られている……PSI波動も感じるし…どういう事だ?』

今まで一度もオレ以外にPSIが使える奴なんていなかった。ていうか使えるわけがない。漫画が違うんだから。それなのに禁人種がいるって……どうなってんだ?

アゲハ
『ま、この洞窟を進んでいけば分かることか………』

オレは暴王の月 円盤ver.で禁人種たちを倒しながら先へと進む。

しばらく進んでいると、ひときわ大きな空間がある場所へたどり着いた。大量の禁人種もいる。そんな中、オレはあるはずのないものを見つけた。

アゲハ
『あれ……?あそこにあるのって……扉?』

オレの視線の先にはこの洞窟に入ってからは一度も見かけなかった人工物であるゆうに10メートルは越えるほどの高さを持つ大きな扉があった。

アゲハ
『何でこんなところに……!?まさか、あの扉の中にこいつらを作り出している元凶が……!!?っしゃ!!そうと決まれば調べるのみ!!』

ヒュッ

アゲハ
『!!!』

ドゴォオン!!!

オレが扉へと向かおうと走っていた先には小さなクレーターができていた。どうやら禁人種が攻撃してきたらしい。攻撃を避け、体制を建て直したオレが視線をあげるた先には、大量の禁人種共が立ちふさがっている。

アゲハ
『あの扉には近づけさせねぇってか?いい度胸してやがるぜ、ここは押しとおらせてもらう!!壊されても文句言うんじゃねぇぞ!!』

さあ、戦闘開始だ!!


━Side Out━



━Side レナ━


ルーシィ
「エリゴールの狙いは……定例会なの!!?」

レナ
「ふみゅ?んー……」

グレイ
「お、起きたか」

ルーシィの大声で目が覚めた私は目を擦って意識を覚醒させる。

レナ
「なに…?どうなってんの?」

まだ半分ボーッとしながら近くにいるグレイに聞いてみた。

グレイ
「エリゴールの狙いは定例会をしているじーさんたちにララバイを聴かせることだったんだ」

レナ
「ええっ!!?」

グレイの言葉を聞いて私の意識は完全に覚醒した。

レナ
「ど、どういうこと!!?」

私が寝ている間に色々事態が変化していたらしい。エリゴールの本当の狙いは定例会をしているマカロフのじーちゃんたちにララバイを聴かせることで、私たちはエリゴールの仕掛けた魔風壁によって外に出られないらしい。

レナ
「そんな………」

そんな大変なことになっていたなんて……呑気に寝ている場合じゃなかった。

ナツ
「おおおおおおお!!!」

レナ
「ナツ!!?」

見れば、ナツは魔風壁に突っ込んでいた。しかしすぐに弾き返されてしまう。

ナツ
「ぎゃああああっ」

グレイ
「な?」

ルーシィ
「あわわ」

ナツが簡単に弾き飛ばされた………本当にここから出られないんだ……

エルザ
「カゲ…頼む…力を貸してくれ…」

エルザがカゲに呼び掛ける。魔風壁を解除できる唯一の突破口だったらしいけど、魔風壁を解除されることを恐れた鉄の森のメンバーにナイフを突き立てられたらしい。

レナ
「アゲハ兄……」

アゲハ兄がいれば……こんな状況、すぐに解決するのに……
ってダメダメ!!いつの間にかアゲハ兄を頼る癖がついてる。アゲハ兄がいなくても自分で何とかしなくちゃいけないんだ。

ナツ
「くそぉおおっ!!こんなもんつきやぶってやるぁっ!!!」

バチィィィ

ルーシィ
「ナツ!!」

グレイ
「バカヤロウ…力じゃどうにもなんねえんだよ」

レナ
「ナツで無理ってことは押し通るのは無理っぽいね」

ルーシィ
「急がなきゃマズイよっ!!アンタの魔法で凍らせたりできないの?」

グレイ
「できたらとっくにやってるよ」

グレイが歯がゆそうに言った。

ルーシィがグレイに問いかけてるあいだもナツはまた魔風壁に向かっていく。
ナツみたいに無謀に突っ込んでいってもダメだ……どうにかしてこの魔風壁を越えられる方法を見つけなくちゃ……でもどうやって……?
ダメだ、思いつかない!!きっと飛んで越えられるような高さでもないだろうし、なによりもう魔力が残り少ない。どうしよう……

ナツ
「ぬぁあああっ!!!」

ルーシィ
「ちょ、ちょっと!!やめなさいよっ!!!
バラバラになっちゃうわよっ!!!」

私が導脱出すればいいか悩んでいる間もナツは魔風壁に突っ込んでいく。これ以上は危険だ。

ナツ
「かっ」

ルーシィ
「やめなさいって!!!」

ルーシィがナツを後ろから止める。

ルーシィ
「何よ?」

ナツ
「そうだっ!!星霊!!!」

ルーシィ
「え?」

レナ
「何をする気?」

ナツ
「エバルーの屋敷で星霊界を通って場所を移動できたんだ。それ使ってこの壁の外に出れねぇかと思ってよ!!」

レナ
「そんな方法があるの!?」

これで外に出れるかもしれない。しかしその希望はルーシィの説明によって打ち砕かれた。

ルーシィ
「無理よ。門【ゲート】は星霊魔導士がいる場所でしか開けない。つまり星霊界を通ってここを出たいとしたら、最低でも星霊魔導士が駅の外に一人いないと不可能なのよ」

ナツ
「ややこしいな!いいから早くやれよ!!」

ルーシィ
「できないって言ってるでしょ!!もうひとつ言えば人間が星霊界に入ること事態が重大な契約違反!!あの時はエバルーの鍵だったから良かったけどね」

レナ
「ダメ……なのか…」

これで本当に打つ手なしだ。しかしハッピーは何か思案している。どうしたんだろう?

ハッピー
「エバルーの……鍵……
あ━━━━━━━━━っ!!!」

ルーシィの言ったエバルーの鍵という単語に反応したハッピー。

ハッピー
「ルーシィ!!思い出したよっ!!」

ルーシィ
「な…何が?」

ハッピー
「来るとき言ってた事だよぉ!!!…これ!!」

ルーシィ
「それは…バルゴの鍵!!?ダメじゃないっ!!!勝手に持ってきちゃ━━━!!」

ハッピー
「違うよ、バルゴ本人がルーシィへって」

ルーシィ
「ええ!!?」

エルザ
「何の話だ?」

グレイ
「こんなときにくだんねえ話してんじゃねえよ」

ナツ
「バルゴ……ああっ!!!メイドゴリラか!!!」

エルザとグレイは何の話かわからず首をかしげる。もちろん私も意味がわからない。ナツは知ってるみたいだけど………ってちょっと待って!!バルゴってたしかアゲハ兄が言ってた………

ハッピー
「エバルーが逮捕されたから契約が解除になったんだって。それで今度はルーシィと契約したいって、オイラん家訪ねてきたんだ」

ルーシィ
「アレが……来たのね。でもバルゴの事は嬉しい申し出だけど今はそれどころじゃないでしょ!?脱出方法を考えないと!!」

レナ
「待って!!さっきのナツが言ってたメイドゴリラで思い出したんだけど、バルゴって前にアゲハ兄にぶっとばされた星霊の事!?」

ルーシィ
「うん、エバルーの屋敷に行ったときに会ったんだけど……それがどうかしたの?」

レナ
「アゲハ兄に聞いたんだけど、バルゴって穴掘れるんだよね?だったら魔風壁の下を通って外に出られるんじゃない!?」

エルザ
「何!!?」

グレイ
「本当か!!?」

ルーシィ
「そっか!!すごいじゃないレナ!!」

ハッピー
「ひどいよレナぁー、おいらが先に思い付いたのに」

レナ
「え?あ、ごめん。つい……」

私に自分の見せ場を奪われてハッピーは落ち込んでいた。私は何とかハッピーを慰める。その間にルーシィはハッピーからバルゴの鍵を受けとり、バルゴを呼び出す準備をする。

ルーシィ
「 我…星霊界との道をつなぐ者、汝…その呼びかけに応え門をくぐれ。開け!!処女宮の扉!!バルゴ!!」

ルーシィがハッピーから鍵を受け取りゲートを開く。煙と共に中から綺麗な女の人が現れた。え!?どこがメイドゴリラ……!?

バルゴ
「お呼びでしょうか?御主人様」

ルーシィ
「え!?」

ナツ
「やせたな」

ルーシィ
「やせたっていうか別人!!!あ…あんたその格好……」

ルーシィが信じられないといった様子でバルゴを指差す。

バルゴ
「私は御主人様の忠実なる星霊。御主人様の望む姿にて仕事をさせていただきます。」

なるほど、アゲハ兄が見たバルゴは所有者のエバルーの美的感覚がおかしかったからメイドゴリラのような容姿になったってことだね。アゲハ兄に見せたらビックリするだろうなぁ……

グレイ
「へぇー、かわいらしいじゃねえの」

エルザ
「ルーシィか…やはりさすがだ」

エルザとグレイがそれぞれ感嘆の言葉を口にする。

ルーシィ
「時間がないの!契約後回しでいい!?」

バルゴ
「かしこまりました。御主人様」

ルーシィ
「てか御主人様はやめてよ」

ルーシィに呼び方を変えろと言われたバルゴの目にルーシィの腰の鞭が目に入ったようだ。

バルゴ
「…では女王様と」

ルーシィ
「却下!」

バルゴ
「では姫と」

ルーシィ
「そんなトコかしらね」

レナ
「そんなトコなの!!?」

私なんだかルーシィのキャラがわからなくなってきたよ……

レナ
「そういえば急ぐんじゃなかったの!?」

ルーシィ
「そうだった!バルゴ、お願い!!」

バルゴ
「では、行きます!!」

バルゴはまるでプールに飛び込むように地面に潜った。鈍い音を出しながらバルゴは穴を掘り進んでいく。

グレイ
「おお!潜った!!」

レナ
「どうなってるんだろう、アレ?」

不思議なものがあるもんだなぁ……

エルザ
「いいぞっ!!ルーシィ!」ガシャ

ルーシィ
「痛っ!」

ルーシィはエルザの胸に抱き寄せられ、鎧に頬をぶつけて涙目だった。うん、やっぱり痛いよね、それ。

グレイ
「おし!!あの穴を通っていくぞ!!って…なにしてんだナツ!!」

ナツを見ると、カゲを背負っているのが見えた。

ナツ
「オレと戦った後に死なれちゃ後味悪ィんだよ」

レナ
「ふふ、それでこそナツだね」

私たちはカゲも一緒に連れて魔風壁の外へ脱出した。

ナツ
「出れたぞ━━!!!」

ナツの大声が響く。元気だね。

レナ
「ナツ、エリゴールのトコ行くつもりなんでしょ?」

ハッピーの羽で早速エリゴールの元へ向かおうとするナツを呼び止める。みんなは魔風壁の影響で待っている砂埃のせいでナツたちに気づいていない。

レナ
「あ、心配しなくても止めたりしないから大丈夫。だけど絶対に負けちゃダメだよ!!」

ナツ
「おう、絶対にエリゴールをぶっ飛ばしてやる!!それじゃあ行ってくるな!!」

レナ
「いってらっしゃい」

ナツは私に見送られてエリゴールの元へと向かっていった。

悔しいけど、残り少ない魔力じゃ、付いていっても足手まといになるだけ……

レナ
「じーちゃんの事は頼んだよ、ナツ」

私はナツの飛び去っていった方角を見つめて、小さく呟いた。

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