小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第44話 ダメQ初活用


━Side ルーシィ━


グレイ
「くっ……」

ルーシィ
「あ、グレイ!気づいた?」

グレイ
「ルーシィ?って何だよこの縄!!ナツ!!……は船酔いでダウンか」

あたし達は今、ガルナ島へ向かう船の上にいる。ナツはグレイが起きても大丈夫なようにあらかじめ縄で縛っておいた。
何でアゲハは縛らないのか聞いたところ、意味がないからと言う答えが帰ってきた。例え縛ったとしてもテレポートされてすぐに抜け出されるらしい。
それにしても……

ルーシィ
「グレイ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

グレイ
「ああ?何だよ。つか早くこの縄ほどけ!!」

ルーシィ
「まあまあ……それより質問なんだけど「おい無視か!?」アゲハって一緒にクエスト行ったときに見た限りではすごい身体能力高いはずなのに何でナツにあっさり気絶させられちゃったの?」

グレイ
「ああ、その事か。アゲハはよ、素の身体能力はオレと同じくらいなんだ。ただアゲハはPSIを使って身体能力を底上げしてる。それをアゲハはライズって呼んでるんだ」

ルーシィ
「あの異常な脚力はそういうカラクリがあったのね」

あたしはエバルーの屋敷でアゲハがバルゴをドロップキックであり得ないほど遠くまでぶっ飛ばしたことを思い出した。

ルーシィ
「あんなに強いのに寝顔は結構かわいいわね」

あたしはアゲハの寝顔を覗き込んで言った。

グレイ
「お前ら運がいいな」

ルーシィ
「どういうこと?」

グレイ
「アゲハが起きたらテレポートですぐにギルドにお前らを連れ戻せるんだ。忘れたのか?」

ルーシィ
「そ、そうでした」

そうだ。アゲハが起きたらすぐに連れ戻される。頼りのナツは船酔いでダウンしてるし、グレイはあたし達を連れ戻しに来たんだから問題外。ハッピーとあたしだけじゃアゲハを押さえるなんてとても無理。
でも悪魔の島なんかに行くよりは今から戻って謝った方がいいかも……

ルーシィ
「今さらなんだけどさ……ちょっと怖くなってきた」

グレイ
「てめ……人を巻き込んどいて何言ってやがる。つーかオッサン!!何で急に船を出したんだ。いい迷惑だ」

グレイが船乗りのオジさんに向かって文句を言った。

ボボ
「オレの名はボボ……かつてはあの島の人間だった……」

ルーシィ
「え?」

ボボ
「逃げ出したんだ。あの忌まわしき呪いの島を」

ハッピー
「ねえ…その呪いって?」

ハッピーの質問にオジさんは少しうつむいてからあたし達に向き直った。

ボボ
「禍は君たちの身にもふりかかる。あの島へ行くとはそういう事だ。本当に君たちにこの呪いが解けるのかね?」

そう言ってオジさんは自分の左腕をあたし達に見せた。

ボボ
「悪魔の呪いを」

オジさんの左腕は文字通り悪魔のような腕だった。あたし達は目を見開いて驚いた。

グレイ
「オッサン…その腕……」

ルーシィ
「呪いって…まさか……」

あたし達かオジさんの左腕を凝視していると、オジさんは島が見えてきたと言ったのでガルナ島へと目を向ける。

ルーシィ
「ねえ……オジさん
!!!あ……あれ?いない?」

呪いについてもっと詳しく聞こうとオジさんの方を向いたけどそこには誰もいなかった。

グレイ
「落ちた?」

すぐさまハッピーが海に潜り探したけどいなかったようだ。どうなってるの!?

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ナツ
「な……何の音?」

ナツの言う通り辺りに轟音が響く。その正体はすぐに判った。

ルーシィ
「きゃあああ!!!大波!!!」

あたし達の後方には10メートルはあろうかという大波が迫っていた。

グレイ
「のまれるぞ!!!」

ルーシィ
「ハッピー!!!船を持ち上げて飛ぶのよ!!!」

ハッピー
「無理だよォ!!!」

グレイ
「つーかコレほどけ!!!死ぬ!!!」

そうこうしているうちに波はすぐそこまで押し寄せてきて………

ルーシィ
「きゃあああああ!!!!」

グレイ
「くそっ!!!てめえらのせいで!!」

ああ、もう…ダメ……

ドパン!!!

あたしが大波に飲まれるのを覚悟したとき、海水が一気に弾けとんだ。

ルーシィ
「……え?」

アゲハ
『ったく……起きた途端にコレかよ……』

ルーシィ
「アゲハ!!!」

グレイ
「助かった」

どうやらアゲハがさっき波を弾き飛ばしてくれたらしい。アゲハはそのままグレイの縄を切った。
ヤバ……連れ戻される…!?

アゲハ
『とりあえず島まで移動するぞ。ここじゃ落ち着いて話もできない』

そう言うとアゲハはテレキネシスで船を持ち上げ、ガルナ島へと移動する。

うう……あたしどうなっちゃうんだろう?


━Side Out━


━アゲハ Side━


ズン……

テレキネシスで持ち上げた船を砂浜におろし、オレ達は船から降りた。

アゲハ
『さて、これからどうするかな……』

グレイ
「どうするも何も連れて帰るに決まってんだろ!!」

ナツ
「させるかぁ━━━━━━っ!!!!」

船酔いから復活したナツが早速戦闘を仕掛けてくる。

アゲハ
『はぁ、そんなに焦んなよナツ』

バッ

アゲハ
『よっ!!』

ズドンッ

オレはナツを一本背負いして地面に打ち付ける。ま、砂浜だから痛くはないでしょ。

ナツ
「く、くそっ!!!オレは絶対ぇ帰らねぇぞ!!S級クエストを受けるんだぁ!!!」

アゲハ
『人の話をよく聞け。誰も連れ戻すなんて言ってねえだろうが』

ルーシィ
「え?」

ナツ
「は?」

グレイ
「何言ってんだアゲハ!!」

アゲハ
『ここまで来たらいっそのことオレも依頼受けようかと思ってよ。ほら、S級魔導師が付き添えば確か問題ないんだろ?』

グレイ
「それはそうだが……」

アゲハ
『それにナツたちが破門になってもそれはそれでつまらねぇだろ?』

グレイ
「……そうだな。オレも付き合うぜ」

グレイも同意してくれたようだ。ルーシィとハッピーはほっとしたような表情を浮かべ、ナツは喜びのあまり叫んでいる。うるせぇ。

アゲハ
『さて、村に行く前にまずはこの事をミラかジイさんに報告しないとな。後、正式に依頼を受理しないと鬼のエルザがやって来るから要注意だ。誰か紙とペン持ってないか?』

ルーシィ
「あ、あたし持ってるわよ」

アゲハ
『貸してくれ。手紙を書く』

オレの要求にルーシィは返事をして鞄の中から紙とペンを持ってきた。

ルーシィ
「はい」

アゲハ
『サンキュ』

ルーシィから紙を受け取り、マテリアル・ハイで作った机の上で手紙を書く。
手紙の内容はオレが付き添うことを条件にナツたちのS級クエストを許可してもらいたいという事。許可が出た場合、村へ依頼受理の報告をしておいてほしいという事。
許可が出るでないに関わらず、結論が出たらダメQを通してオレにテレパスを送ってほしい事。ダメQに触れながらオレに強く呼び掛ければテレパスが繋がるようプログラムしておいた事。
できればエルザには内緒にしてもらいたい事、などといったところだ。

アゲハ
『よし、あとはコレをギルドに送るだけだ』

オレは早速新しく覚えたPSIを発動する。プログラム“ダメQ”発動!!

オレはPSIの自立プログラムである疑似生命体“ダメQ”を作り出した。

ルーシィ
「何?この意味わかんない生命体」

アゲハ
『オレが作り出した疑似生命体だ。結構人間味があるし、言うこともよく聞くんだけど、ちょっとドジなんだよな。まあ、こいつの事はダメQとでも呼んでくれ』

ルーシィ
「はぁ……」

ルーシィが戸惑いながらも返事を返す。

アゲハ
『さて、ダメQ。お前に仕事がある』

オレはダメQに向き直って言った。ダメQは敬礼のポーズをして、オレの命令を待つ。
本当に人間味のある奴だな……

アゲハ
『今からお前をギルドに送るからこの手紙をミラっていう銀髪の女の人に渡してくれ。そしてその返事をお前を通してオレが聞く。いいな?』

コクコク、と首を縦に降るダメQ。

アゲハ
『よし!それじゃあ行け!!』

キュン

オレは瞬間移動者【テレポーター】を発動して、ダメQをギルドに送り込んだ。

アゲハ
『さて、返事が来るまでしばらくかかるし、ここで待つとしますか』

グレイ
「そうだな」

ルーシィ
「勝手に行くのはマズいもんね」

アゲハ
『黄道十二門の鍵につられて勝手にここへ来たのはどこの誰だったかな?』

ハッピー
「ルーシィです!」

ルーシィ
「何よ!!あんたとナツが誘ってきたからでしょ!!」

ナツ
「まあ、気にすんなって!!S級クエスト、受けられるかもしれねぇんだぜ!!」

ナツはそわそわと落ち着かないでいる。

アゲハ
『ま、焦ってもしょうがないし、気長に待とうぜ』

それからオレたちはダメQからの返信があるまで水平線上の日の出を見つめていた。

-45-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




フェアリーテイル ゼレフ覚醒 (初回生産版:「極の巻」同梱)
新品 \4997
中古 \3935
(参考価格:\5800)