小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第45話 月の呪い


━Side アゲハ━

ダメQをギルドに転送したオレたちは、ギルドからの連絡を待っていた。

キィィィ

アゲハ
『!!!来たか』

ダメQを通してオレの頭にテレパスが届く。

ミラ
≪アゲハ?≫

アゲハ
≪ミラか?≫

ミラ
≪うん。S級クエストの件だけどマスターの許可が出たわよ≫

アゲハ
≪本当か!?≫

ミラ
≪ええ、それにしてもビックリしたわ。いきなりギルドに変な生物が現れるんですもの。手紙を読んで正体は分かったけどそれまでは大騒ぎだったのよ≫

アゲハ
≪アハハ、そりゃそうだろうな。依頼受理の報告しておいてくれたか?≫

ミラ
≪ええ、もう依頼主のいる村に連絡がいっているはずよ≫

アゲハ
≪そっか、サンキュな≫

ミラ
≪うん。気を付けてね、アゲハ≫

アゲハ
≪ああ、行ってくる。帰ったら一緒に買い物にでもいこうぜ≫

ミラ
≪ふふ、待ってるわ≫

アゲハ
≪じゃあな≫

プツン

会話を終え、オレはテレパシーを切った。

アゲハ
『お前ら、お許しが出たぞ』

ルーシィ
「本当!!?」

ナツ
「よっしゃああああああ!!!燃えてきたぞ!!!」

アゲハ
『まずは依頼主のいる村へ行くぞ』

グレイ
「そうだな。事情を聞かないことには始まらねえ」

オレたちはまず、依頼主のいる村へ向かうことにした。

しばらく歩いて見えてきたのは“KEEP OUT”と書かれた門だった。辺りはすでに暗くなっている。ここまで来るのに意外と時間がかかってしまった。

グレイ
「立ち入り禁止……って一体どんな村だよ」

ルーシィ
「すみませ━━━ん!!!開けてください!!」

ナツ
「まいったな……壊すか」

アゲハ
『ダメに決まってんだろ!!』

スパーン、ときれいにナツの頭にツッコミを決める。ちなみにいい音は出るけどそれほど痛くないようにしている。この世界に来て向上したツッコミスキルだ。

「何者だ」

門の上から声が聞こえてくる。門番か……

ルーシィ
「魔導士ギルド妖精の尻尾の者です」

「妖精の尻尾……確かに先程依頼が受理されたと報告が入ったが……確認のため紋章を見せてくれ」

オレたちはそれぞれギルドの紋章を見せる。

「いいだろう。入りなさい……村長を呼んでこよう」

紋章を確認した門番たちは門を開けて中に入れてくれた。

村長が村人達を引き連れてオレたちを出迎えてくれた。

モカ
「よくぞ来てくださった。魔導士の方々……さっそくですがこれを見て頂きたい。皆の者、布をとりなさい」

村長の言葉に次々と布をとっていく村人達。布をとった村人達はからだの一部が悪魔のような体になっている。

ナツ
「スゲェモミアゲ!!!」

モカ
「いや……見てほしいのはこっちじゃ……」

空気を読まずどうでもいいことに驚くナツ。確かにスゲェモミアゲだけどそこまで重要じゃないだろ。

アゲハ
『この島にいるやつらは全員そんな姿になっているのか?』

モカ
「その通りです。人間はもとより犬や鳥も例外なくこのような呪いにかかっています」

グレイ
「言葉を返すようだが何を根拠に“呪い”だと?流行り病とは考えねぇのか?」

モカ
「何十人という医者に見てもらいましたがこのような病気はないとのことです。それにこうなったのは“月の魔力”関係してるのです」

ルーシィ
「月の魔力?」

モカ
「元々この島は古代からの月の光を蓄積し、 島全体が月のように輝く美しい島でした、しかし何年か前に突然月の光が紫色に変わり始めたのです」

ナツ
「紫!?そんな月見た事ねーぞ」

モカ
「外から来た者は皆そう言うのです……だが…現にこの島の月は紫になった………
そして月が現れてからワシ等の姿が変わり出した」

村長の言葉通り雲がどいて現れた月の色は…

ルーシィ
「本当だ…紫…」

グレイ
「コイツは気味悪ィな…」

アゲハ
『そうか?結構きれいだぞ』

「「「「「……………………」」」」」

みんなに呆れられたような目を向けられた。
え、オレ何かした?

モカ
「とまぁ、これは月の魔力の呪いなのです」

気を取り直し、村長がそう言った次の瞬間月が完全に現れた。それと同時に村人たちにも変化が起きる。

「うっ」

「うぅ━━━━━!!!」

「おぉぉぉぉ!!!」

村長を含めた村人たちは皆うめき声をあげ始めた。
終いには住人は体全体が悪魔となっていた。この事態にオレ以外の全員が驚いた。

モカ
「驚かして申し訳ない……紫の月が出ている間、ワシ等はこのような醜い姿ヘと変わってしまう、これを呪いと言わず…何と言えばよいのでしょうか」

ナツたちは依頼の重要性を理解したようだった。オレは真実を知っているけど、リオンたちが蛇姫の鱗【ラミアスケイル】に入るためにも原作崩壊はできないからな。オレにできることは何もない。

モカ
「朝になれば皆、元の姿に戻ります。しかし…中には元に戻れず心まで失ってしまう者が出てきたのです」

ルーシィ
「そんな…」

モカ
「心を失い魔物と化してしまった者は…殺す事に決めたのです」

ナツ
「元に戻るかもしれねぇのにか!!?」

モカ
「放っておけば皆がその魔物に殺される…… 幽閉しても牢など壊してしまうのです」

話を区切り、村長は一枚の写真を取り出した。

モカ
「だからワシも息子を殺しました。心まで悪魔になってしまった息子を………」

その写真に写っていたのは昨日の船乗りのオッサンだった。

ナツ
「………!!!」

ルーシィ
「その人…ええ!!?でもあたしたち昨日……」

ルーシィがオッサンに会ったことを話そうとするがそれをグレイが止めた。

グレイ
「ようやくあのオッサンが消えた理由がわかった。そりゃあ……うかばれねぇわな」

アゲハ
『幽霊か……』

ホントは違うけどな。

「さぞ高名な魔導士方とお見受けします。どうかこの島を救ってください。このままでは全員…心が奪われ……悪魔に……」

ナツ
「そんな事にはならねぇ!!!」

モカ
「私たちの呪いを解く方法は一つ…月を破壊してください」

ルーシィ
「え!!?」

アゲハ
『無理に決まってんだろ……』



今日はもう遅いので村に泊まることになったオレたち。宿の中で寝る準備をしていた。

ハッピー
「見れば見るほど不気味な月だね」

ハッピーが窓から月を覗き込んで言った。

ルーシィ
「ハッピー、早く窓閉めなさいよ。村長さんの話聞いてなかったの?」

ハッピー
「何だっけ」

ルーシィ
「月の光を浴びすぎるとあたしたちまで悪魔になっちゃうのよ」

ナツ
「それにしてもまいったな」

グレイ
「さすがに月を壊せってのはな…」

アゲハ
『月に行けさえすれば壊せるのにな』

グレイ
「壊す気かよ!!」

アゲハ
『冗談だよ、本気で壊すわけないだろ』

第一、月を壊したりしたら地球の自転速度がおかしくなって天変地異のオンパレードが襲ってくるぞ。

ルーシィ
「何にせよ、月を壊すなんてどんな魔導士でもできないと思う」

ナツ
「でも月を壊せってのが依頼だぞ。できねえってんじゃ妖精の尻尾の名がすたる」

グレイ
「できねえモンはできねえんだよ!!第一どうやって月まで行く気だよ」

ナツ
「ハッピー」

ハッピー
「さすがに無理」

ナツ
「アゲハ」

アゲハ
『オレも無理だ。遠すぎる。それに行けたとしても空気ねえんだぞ?息続かねえだろ』

ナツ
「ハッ!!」

ナツが今気づいた、といったような表情を浮かべた。やっぱり空気の事考えてなかったか。

ルーシィ
「とにかく“月を壊せ”っていうのはきっと被害者の観点から出てくる発想じゃないかしら。きっとなにか呪いを解く方法があるはずよ」

グレイ
「だといいんだがな」

ホントは呪いじゃないけどな!

ナツ
「よし!!だったら明日は島を探検だ!!今日は寝るぞ!!!」

ハッピー
「あいさー」

早速布団に寝転ぶナツとハッピー。グレイとルーシィもそれに続く。オレはナツたちから避難するため、さっき作った手作りのハンモック(長い紐をもらってテレキネシスで編んだ)を設置してその上で寝ることにした。

ルーシィがナツとグレイ、すなわち獣と変態に挟まれて眠れなかったようだがオレの知ったことじゃないと無視してオレは襲ってくる睡魔に身を任せ眠りに落ちた。

さあ、明日からクエスト開始だ。

-46-
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