小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第51話 だってアレ、魔法じゃねーし


━Side 三人称━

シェリー
「ど…どうなってるんですの!!?」

“六方転晶系【ヘキサゴナル・トランスファー・システム】”によって村から離れた森に転移させられたリオン一味は戸惑っていた。

ユウカ
「信じられんがオレたちごと空間転移させたやつがいるらしい。辺りの木が溶けているところを見ると、どうやら毒毒ゼリーも一緒に転移させられたらしいな」

トビー
「おおーん。すげえなそいつ!!」

シェリー
「とにかく、早く奴等を駆逐せねば零帝様からの信頼がなくなってしまいます。もう一度村へ向かいませんと」

リオン一味が再び村へ向かおうとしたときだった。

アゲハ
『その必要はねえよ』

リオン一味
「「「!!!」」」

突然聞こえてきた声に振り返る。

アゲハ
『お前らはここで…』

ナツ
「オレたちがぶっ飛ばすからな!!」


━Side Out━


━Side アゲハ━

キュイン

ナツ、ルーシィ、ハッピーをつれてオレはリオン一味のいる近くの森にテレポートした。

辺りの森が一部溶けてる…こいつらと一緒に転移させた毒毒ゼリーの影響か…環境破壊だよこれ。まさか自分がやるとは思わなかったな…
お!あいつ等発見。これからまた村に向かうみたいだな。んじゃここで食い止めますか。

シェリー
「もう一度村へ向かいませんと…」

アゲハ
『その必要はねえよ』

突然聞こえたオレの声にリオン一味が驚いて振り返る。

アゲハ
『お前らはここで…』

ナツ
「オレたちがぶっ飛ばすからな!!」

オレとナツが前に出て、ルーシィとハッピーはオレたちの後ろで控えめに構えている。

トビー
「おおーん。あいつら妖精の尻尾の!」

ユウカ
「村へ戻る手間が省けたな」

シェリー
「しかし零帝様の命令は皆殺し。ユウカ、トビー、ここは頼みますわ。私たちは村へ…アンジェリカ」

アンジェリカ
「チュー」

シェリー
「行きますわよ」

シェリーがネズミに呼びかけ、ネズミの手にのって移動し始めた。

ナツ
「うおっ」

アゲハ
『やべ!一人逃がしちまっ……ん?あれ、ルーシィは?』

こつぜんと消えたルーシィを探していると飛び立ったネズミと同じ方向から声が聞こえてきた。

ルーシィ
「あれぇ!!?なんか勢いでしがみついちゃったぁ!!!」

見ればネズミにしがみついているルーシィが……

ナツ
「バカすぎる!!!」

ハッピー
「やっぱりバカだった!!」

アゲハ
『どういう理屈でしがみついてんだ…』

もう呆れるしかない。さらにルーシィがくすぐったのかネズミは急に笑いだし、尻尾を回すのを止めてしまった。そのままルーシィはネズミと一緒に落下。

アゲハ
『あいつ…生きてんのかな?潰されてなきゃいいけど』

ハッピー
「オイラ心配だからちょっと見てくる」

ナツ
「おう!!頼んだぞ!!!」

アゲハ
『こっちはオレたちが…』

アゲハ&ナツ
『「かたづけとく!!」』

ナツは激眉にブレスを、オレはバカ耳に手加減した蹴りを食らわせた。

ユウカ
「なんて凶暴な炎だ。まさか噂に聞く妖精の尻尾の火竜とは貴様の事か!?」

激眉はナツの炎を浴びてもピンピンしている。バカ耳の方も手加減しておいたからすぐに立ち上がった。

ユウカ
「だが俺達もかつては名のあるギルドにいた 魔導士、そう簡単にはいかんよ。魔導士ギルド、蛇姫の鱗【ラミアスケイル】と言えばわかるかな?そうさ…あの岩鉄のジュラがいた……」

ゴオォォォッ!!!

ユウカ
「なっ!?」

トビー
「おおう!?」

いい加減どうでもいい話に飽きたナツは自らの魔法で二人に炎を浴びせた。

ナツ
「き…貴様…人の話を最後まで聞かんか!!!」

ナツ
「知らん。どこのギルドだとか誰の仲間だとか関係ねえんだよ。お前等は依頼人を狙う、つまり仕事の邪魔……つまり妖精の尻尾の敵戦う理由なんざそれで充分だろ」

アゲハ
『それにその“岩鉄のジュラさん”はオレの知り合いだ。悪事をしているお前らをジュラさんが助けてくれると思ってんのか?そんな訳ねぇだろ。来いよ激眉、オレが相手してやらァ』

指をくいくい、と曲げて激眉を挑発する。

ユウカ
「トビー。お前は火竜の相手をしろ。オレはコイツをかたづける」

トビー
「おおーん」

アゲハ
『そういうことだ。ナツ、あのバカ耳の方は頼んだぞ』

ナツ
「おい待てアゲハ!!そっちの方が強そうだ、変われ!」

アゲハ
『いやだ。それにあいつがさっきお前の炎を食らってもピンピンしていたのを見ると、お前とあいつは相性が悪い。オレに任せとけって』

ナツ
「ぐぬぬぬぬぬぬ…」

アゲハ
『それに手加減してわざとあいつを残しておいたんだぞ?我慢してくれ、な?』

ナツ
「………分かったよ。けど終わったら好きに行動させてもらうからな」

アゲハ
『ああ』

会話が終わり、ナツはバカ耳と少し離れた場所へ移動していった。

ユウカ
「貴様は絶対に許さん!!オレの気にしていることを言いやがって!!」

アゲハ
『御託はいいから早く来いよ、“ゲ・キ・マ・ユ”』

ユウカ
「殺す!!波動!!!」

激眉が手をかざし、魔法を放ってきた。ひょい、とそれを避け、エネルギー弾(魔力ver.)を放った。

ユウカ
「波動!!」

激眉が再び魔法を発動し、エネルギー弾をかき消した。

ユウカ
「我が手により作り出す振動はすべての魔法を中和する。すなわち魔法を通さぬ魔法」

思い出した。こいつは大抵の魔法なら全て無効化する魔導士。ナツは結構無茶なやり方で勝ってたよなぁ。ま、オレにかかれば瞬殺だけど。

ユウカ
「蛇姫の鱗にいた頃は対魔導士の仕事専門だった。その意味わかるよな。全ての魔導士はオレの前では無力だからさ!!!」

今度は両手で波動を放ってくる激眉。ライズを使ってまた避ける。

ユウカ
「くそ、ちょこまかと!!」

アゲハ
『ハハハッ、どうした?全然当たんねぇぞ』

そろそろおちょくるのも飽きてきたしなぁ…そろそろ終わらせるか。

ユウカ
「これならどうだ!!!!」

力をためた激眉が放った最大級の波動。あー、避けるのめんどくさくなってきた。“瞬間移動者【テレポーター】”使っちゃえ。

キュイン

ユウカ
「なっ!!?消え…」

アゲハ
『後ろだ』

バキィッ!!!

ユウカ
「がっ!!」

ものすごーく手加減した拳を激眉にぶつける。しかし予想以上に激眉は吹っ飛んだ。

アゲハ
『あり?』

コイツまさか…肉弾戦はめちゃくちゃ弱い?

ユウカ
「はぁっはぁっ、なんて威力だ。魔導士の一撃じゃないぞ」

え、いやいや滅茶苦茶手加減したんですけど。

アゲハ
『ま、いいや。そろそろ決着つけるぞ』

ユウカ
「何を言っている。さっきは油断しただけだ。もうお前の攻撃を食らうことはない」

波動に絶対の自信を持っているのか余裕を見せる激眉。

アゲハ
『それはどうかな?』

ニヤリと笑ってオレは“あの”構えをとる。

アゲハ
『か…め…は…め……』

両手を合わせ、バーストエネルギーを凝縮する。相手を殺さないように、かつ気絶するぐらいのダメージを与えられるほどの威力に調節。そして今度は魔力を込めず、PSIのみで……

アゲハ
『波ァ!!!』

貯まったエネルギーを一気に激眉へ向け、放出した。

ユウカ
「ふん、こんなものオレの波動で………何っ!!?き、消えな…」

激眉が波動でかめはめ波を消そうとしたが魔力が全く込められていないので消すことができず、もろに食らった。

ユウカ
「ぐがぁあああああ!!!」

十数メートル吹き飛んで地面に激突した激眉。まだ意識はあるようだ。オレは激眉の方へ歩き出す。近づいてくるオレに激眉が問いかけてきた。

ユウカ
「な…何故……波動でかき消せない…」

アゲハ
『何故?当たり前だろ。だってアレ…魔法じゃねーし』

ユウカ
「バカ…な…」

ドサァ…

そこまで言って激眉は気絶した。

アゲハ
『……………生きてる…よな?』

ツンツン、とつついてみればピクリと動く激眉。うん、生きてはいるみたいだ。

アゲハ
『よし、ナツはもう遺跡にでも向かったみたいだな』

見ればバカ耳が痺れて倒れている。じゃあオレはルーシィの様子でも見に行くか………ってちょっと待てよ?正式に依頼を受けたってことはエルザが来ない=ルーシィがネズミに潰される……………

アゲハ
『やっべぇええええええええ!!!』

ルーシィ生身じゃ一般人とそこまで身体能力変わんねぇしあの巨体に潰されたらマジで危ない。

アゲハ
『テ、“瞬間移動者【テレポーター】”!!!』


キュイン


オレは急いでルーシィのいる浜辺へとテレポートした。


スタッ


浜辺に着いたオレはちょうどルーシィがシェリーにラリアットを決めたのを見つけた。

アゲハ
『なんとか間に合ったか』

ほっと一息着いたところだった。

アンジェリカ
「チュ━━━━━!!!」

オレの背後からネズミが大ジャンプしてルーシィに向かっていった。魔力の使い過ぎで足が動かせないルーシィは頭を抱えて叫んでいる。

アゲハ
『やらせるか!!仔羊肉【ヴォー】ショット!!!』

ドゴォオオン

アンジェリカ
「チュウウウウウウウ!!!!」

ルーシィ
「え!?ア、アゲハ!!?」

ぐるぐる眉毛のコックの技を使ってみた。おー、よく吹っ飛ぶなぁ。あ、今海に沈んだ。生きてるかな、あいつ?

アゲハ
『ふぅ、危なかったな大丈夫か?ルー…シィ……』

ルーシィの安否を確認しようと振り返り、話しかけたときだった。いつの間にかルーシィの後ろに現れた人物に気がついたのは。

ルーシィ
「うん、助けてくれてありがとう……ってどうしたのアゲハ?そんな汗だくで」

ルーシィが訝しげに聞いてくるがそれどころではない。

アゲハ
『な…なぜこんなところにいらっしゃるのでしょうか…?』

自分に向けられたものではないとわかったルーシィが後ろを振り向く。

ルーシィ
「ひぃいいいいいい!!!」

そう、そこにいたのは思わず悲鳴をあげてしまうほど、禍々しいオーラを纏った……エルザだった。

エルザ
「なぜ私が怒っているか、分からないとは言わせんぞ…アゲハ」

………………どうしよう…全く理由が思い当たらない。オレ、今日が命日になるかもなぁ……

アゲハ
『すいません、分かんないです』

ブチッ

血管の切れたエルザが恐ろしい形相で拳を振りかぶり……

エルザ
「このたわけがぁっ!!!」

バキィイイッ!!

オレの顔面を思いっきりぶん殴った。数十メートル吹き飛ばされ、オレは目の前に花畑ときれいな川が見えた気がした。

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