小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第54話 溶けた氷 祓われた闇


━Side アゲハ━


グレイ
「氷雪砲【アイス・キャノン】!!!!」

リオン
「ぐぉおあぁぁあああああぁぁあああ!!!」


ドゴォオオオオンッ!!!!



アゲハ
『!!この音…決着がついたか……』

階段を登り、グレイのいる所まであと少しというところ、オレはアイス・キャノンによる爆音を聞き、決着がついたことを悟った。


バッ


階段を登り切り、部屋へと飛び入る。

グレイ
「ウルの教えだろ」

リオン
「グ………グレ…イ……ごあっ」


ドサッ


目に入った光景はちょうどリオンが倒れたところだった。戦いが終わり、息をついたグレイの脇腹から血が溢れる。

アゲハ
『グレイッ!!』

すぐさまグレイの元へ向かって駆け出し、CUREによる治療を始める。

グレイ
「アゲハ…?お前…何でここに?エルザたちと一緒にいたんじゃ……」

アゲハ
『エルザに八つ当たりにちょうどいいから譲れって言われてよ。やる事ないからこっち来た。それにしてもお前……無茶しすぎだぞ。治療するこっちの身にもなれ』

グレイ
「う゛…それは悪ィと思ってる…けど仕方ねえだろ……」

アゲハ
『はぁ……ま、無茶すんなって言ってもお前らにゃ無理な話か。治療が終わったらナツと合流して…』


オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

そこまで言ったところで突如凄まじい雄叫びが聞こえてきた。

アゲハ
『っ…!!なんだよこの声…!!』

スッゲェうるせェんだけど!!近所迷惑だぞこの野郎!!

グレイ
「こ……この声…忘れようがねえ……」

いまだ響く雄叫び。その声は否応なしにグレイの記憶を呼び覚ます。

グレイ
「デリオラ…!!(くそっ!!!復活しやがったのか!?………やるしかねぇな…アイスドシェ…)」



ガァンッ



グレイ
「ってェッ!!!」

アゲハ
『……………………』

グレイ
「何しやがるアゲハ!!!」

ガッ、とオレに掴みかかるグレイ。まぁオレが行きなり殴ったんだから当たり前か……

アゲハ
『お前がくっだらねえ事考えてるような気がしてな…』

グレイ
「んだと…!!!」

アゲハ
『絶対氷結【アイスドシェル】……やるつもりだったろ』

グレイ
「!!!」

アゲハ
『図星か』

オレに自分の考えてることを言い当てられ、俯くグレイ。そんなグレイにオレは言葉を連ねていく。

アゲハ
『バカだろ、お前』

グレイ
「なっ!?」

アゲハ
『自分の師匠と同じ道を辿るつもりか?ふざけんな!!今のお前は昔とは違うんだぞ!!』

グレイ
「何が違うってんだよ!!つーかそんなこと今は関係ねえだろ!!テリオラを止めるにはアイスドシェルを使うしかねえんだ!!!」

オレは自分の胸ぐらを掴んでいるグレイの腕を掴み返し、怒鳴った。自分の命を軽く見るグレイを見て、無性に腹が立ったんだ……

アゲハ
『関係大有りだ!!お前を犠牲にして助かって…オレたちが喜ぶと思ってんのか!!今のお前には、お前を失って悲しむ仲間がいるんだぞ!!オレもっ!!エルザもルーシィもハッピーも!!!ナツだって…お前には死んでほしくなんかねえんだよ!!!』

グレイ
「アゲハ……」

アゲハ
『お前がアイスドシェルを使うってんなら…オレが意地でも止めてやる…!!!』

グレイ
「………お前はデリオラの恐ろしさを知らねえんだ。あれはオレたちが倒せるようなものじゃねえ…」

グレイは未だデリオラを封じるにはアイスドシェルを使うしかないと思っている。この分からず屋が……

アゲハ
『はぁ…グレイ……』

オレの声に反応して顔を上げるグレイ。

アゲハ
『デリオラんトコ行くぞ。あの悪魔の最期を見せてやる』

グレイ
「は?」

アゲハ
『とにかく行くぞ!!』

オレはグレイの手を取り、瞬間移動者【テレポーター】を発動した。



キュイン



テレポートしたオレたちの目の前には復活したデリオラの姿。

グレイ
(ウル……)

グレイは溶けた水を手に掬い、思いを巡らせる。

ナツ
「グレイ!!アゲハ!!いたのか!!!」

ナツがオレたちに気づき、駆け寄ってくる。

グレイ
「ナツ」

アゲハ
『仮面のおっさんは倒したみたいだな、ナツ』

ナツ
「おう、当たり前だ!!ってそれよりこうなったらもうやるしかねぇぞ!!!アイツをぶっ倒す!!!」

リオン
「ククク……」

オレたちの前に現れたのは傷だらけになりながらもデリオラに向かおうとするリオンだった。

リオン
「お前…ら…には…無理だ……アレは……オレが……ウルを超える為に……オレが……ハハハ…」

グレイ
「リオン……」

ナツ
「オメーの方が無理だよ!!!ひっこんでろ!!」

そんなナツの言葉を無視し、リオンは這いつくばりながらもデリオラの前まで到達した。


オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


リオン
「やっと…会えたな……デリオラ………あの…ウルが……唯一…勝てなかった怪物……今…オレがこの手で…倒す…………オレは…今…アンタを……超え…る…」


ビシッ


アゲハ
『お前には無理だっつってんだろ。そこで大人しくしてろ』

オレはリオンの首筋に手刀を打ち込み、リオンを地に伏せさせる。

アゲハ
『アレの相手は…オレがする!!!』

グレイ
「なっ!!なに考えてんだアゲハ!!!無理だっ下がれ!!」

前に出たオレにグレイが慌てて制止をかけた。

アゲハ
『オレが下がったらお前はアイスドシェルを使うだろ…ンなことさせるか!!』


オレは魔力とPSIを体内で合成し、それを全身の細胞に巡らせる。これにより細胞が活性化、爆発的な力を得る。さらにライズを全開にし、一気に力を解放!!!













カッ!!!!












ゴォオオォオオオオオオオオ!!!!






力を解放した瞬間オレを中心に突風が吹き抜ける。

グレイ
「ぐっ!!」

ナツ
「うおおっ!!!」

突然の突風に飛ばされそうになるナツたちだがなんとか踏みとどまる。この技はテニプリの天衣無縫の極みをモデルにした新技だ。オレの体を煌めくオーラが覆う。


オレからのプレッシャーを感じたのかデリオラがオレに気づき、拳を振り上げる。


ガァアアアァアアアアアアア!!!!


グレイ
「アゲハッ!!!!」

アゲハ
『遅ェよ…』


ドンッ



グレイ
「なっ!!」

ナツ
「はやっ!!!」

次の瞬間にはデリオラの胸にオレの拳がめり込んでいた。

アゲハ
『うおおお りゃあ!!!』


パキィィンッ!!!


めり込んだ拳をそのまま振り抜いた直後、デリオラの体に亀裂が入る。その亀裂はすぐにデリオラの身体中に広がっていく。


ピキピキ

バキィ

ボゴォ

ドドドドドド


リオン
「え!?」

グレイ
「な……」

ナツ
「な…何だ!?アゲハ!!お前がやったのか!?」

デリオラの体が次々と崩れていく中、ナツが聞いてきた。

アゲハ
『いや、オレじゃない。さっきのはただきっかけを与えただけだ』

ナツ
「きっかけ?」

グレイ
「ってことは……」

リオン
「そんな……まさか………」

リオンは信じられないといったようにデリオラが崩れていく様を見ている。

リオン
「デリオラは…すでに死んで……」

リオンがそう呟いた瞬間、デリオラの体が完全に崩壊した。

ふう、なんとか崩壊のきっかけを与えることができたか……テレポートした時デリオラを見て焦ったぜ……原作と違ってまだ半日分はデリオラの寿命が残ってたからな。完全に殺すために新技使って衝撃与えたんだけどうまくいってよかった。

リオン
「10年間…ウルの氷の中で命を徐々に奪われ……オレたちはその最後の瞬間を見ているというのか……」



ガンッ



リオン
「かなわん…オレにはウルを…越えられない」

リオンは拳を地面に打ち付け、涙を流した。

ナツ
「す…すげーなお前の師匠!!!」

ナツが目の前の光景に感動し、グレイに言った。そのグレイはというとウルが最後にグレイに伝えた言葉を思い出していた。







お前の闇は私が封じよう








グレイ
「ありがとうございます…師匠……」


氷は溶けた。ウルは水となり、グレイとリオンの涙と交わって海へと流れていく。そして同時にグレイの心のなかに巣くう闇も祓われたのだった。

-55-
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