小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第56話 灰になってる!!?


━Side ルーシィ━

ルーシィ
「んー…」

朝、あたしたちは村の前で帰る準備をしている。あたしはグレイの額にキズが残っているのに気づいて言った。

ルーシィ
「キズ…残っちゃいそうね」

グレイ
「あ?別にかまわねーよ」

ルーシィ
「顔よ?」

グレイ
「キズなんてどこに増えようが構わねえんだ。目に見える方はな」

ルーシィ
「お、うまい事言うじゃん」

あたしがグレイの言い回しに感心していると、ナツが意味わからん、っていう顔をして割り込んできた。

ナツ
「はぁ?見えないキズって何?」

グレイ
「うるせーよ!カッコいい事言ってんだからほっとけよ!」

ナツ
「今のが?」

心底理解できないといった感じのナツ。ま、ナツには難しいかもね。あたしがナツに呆れてると村長さんたちが近づいてきた。

モカ
「ほが…みなさん。依頼完了の報酬です。お受け取りください」

グレイ
「700万ジュエル!!!」

ナツ
「おおお!!!」

ルーシィ
「黄道十二門!!」

やったぁ!!家賃もしばらくは安泰だし、欲しかった黄道十二門も手に入ったし、今日はサイコー!!

エルザ
「とりあえず今は私が受け取っておこう。後でお前たちで分けるといい」

ルーシィ
「うん、分かった」

村長さんからエルザが報酬を受け取った。鍵だけはあたしに渡してくれたけどね。

ナツ
「よっしゃあ!!これでしばらくは好きなだけ食えるぞ!!」

ハッピー
「最近はお金なくてキツかったからね。毎日腹ペコだったよ…」

グレイ
「お前らは計画性が無さすぎるんだよ。なぁアゲハ?っておい、アゲハがいねえぞ!?」

え!?そういえば今朝からずっと見かけていない……どこ行っちゃったんだろう。

エルザ
「ああ、アゲハならここにいるぞ」

ルーシィ
「え!?」

エルザが指差した先は彼女がいつも持ってきている大量の荷物。そちらに目を向けるとその荷物の上に真っ白な灰になっているような状態のアゲハが乗っていた。

ルーシィ
「アゲハぁ!!?は、灰になってる!!?」

アゲハから生気が全く感じられない。昨日はあんなに元気だったのに……

アゲハ
『よ、よう……お前ら』

エルザの荷物の上からアゲハが手をあげて挨拶してくる。プルプル震えてすごい辛そうだ。

グレイ
「お、おう…ってそれよりお前何でそんな死にそうなんだよ!!昨日はあんなに元気だったじゃねえか!!」

うんうん、と他のみんなも首を振ってグレイに同意する。

アゲハ
『じ、実は昨日デリオラに一撃入れたときに“ゼロギア”っていう新技使ったんだけどよ…そのリバウンドでな……』

グレイ
「あの煌めいたオーラを纏ったあれか!?」

グレイが思い当たる節があるのか聞き返す。あたしもナツとグレイにデリオラが復活した時の事を詳しく聞いたからなんとか話は分かる。すごい力だったって……

アゲハ
『ああ、あの技まだ完成してないから使った翌日に激しい疲労と頭痛が襲ってくるんだけど…昨日調子に乗ってその事忘れて使っちった(笑)』

ルーシィ
「使っちった(笑)じゃないでしょ!!心配させないでよね!どうかしたのかと思ったじゃない」

アゲハ
『ハハ、悪ィ悪ィ』

エルザの荷物の上に乗ってるアゲハを最初に見たときは本当に死んでるかと思うくらい元気なかったからビックリしちゃったわよ。
それにしてもエルザの荷物の上に乗ってたのは運んでもらうためだったのね。

アゲハ
『まぁそんな訳で今日一日まともに動けねえんだ。もちろんPSIも使えないから船で帰ってくれな』

ナツ
「何ィ━━━━━━!!!?」

船で帰らないといけないと分かり、ショックを受けるナツ。帰りはトリックルームで帰れるから楽だ、なんて言ってたからね。期待してた分余計にショックみたい。

ボボ
「船で帰るのならハルジオンまで送りますよ」

エルザ
「いや…船は用意できてる」

ボボさんが送ってくれると名乗り出たけどエルザは船があると言って断った。村の人たちはその事に驚いている。




ヒョオオオオオオオ……



グレイ
「海賊船!!?」

ハッピー
「強奪したの!?さすが……」

アゲハ
『確かに海賊船なら罪にはならないけど狙おうとは思わないよな、ふつー』

砂浜に来て船を見てみればそれは海賊船だった。

ルーシィ
「イヤよ!!こんなの乗りたくない!!!」

アゲハ
『ホント悪ィ…送ってやれなくて』

エルザの荷物の上からアゲハが謝罪してくる。なんか誠意が感じられない体勢ね……仕方ないけど。

ルーシィ
「仕方ないわよ、PSI使えないんじゃ…」

ナツ
「泳ぐならつきあうぞ」

ルーシィ
「無理!!!」

泳ぐくらいならまだ海賊船に乗った方がマシよ。あたしたちは海賊船に乗り込んで、島を後にする。

ボボ
「みなさん!!ありがとうございます!!!」

ボボさんを筆頭に村の人たちがお礼を言ってくれた。

ルーシィ
「元気でね━━━━っ!!!」

あたしも手を振って返事をした。

アゲハ
『じゃあな!!元気でやれよ!!!』

アゲハが無理をしながらもしっかりとした声で叫んだ。
疲れてるのに無理しちゃって……

その後、村人たちの声が聞こえなくなるまであたしたちは島の方を見ていた。



━Side Out━



━Side アゲハ━


ナツ
「帰ってきたぞ━━!!!」

ハッピー
「来たぞー!!!」

ガルナ島を出発して丸1日経ち、オレたちはマグノリアへ帰ってきた。

ルーシィ
「アゲハ、もう歩いて大丈夫なの?」

アゲハ
『ん、まぁ万全とは言えねえけど日常生活できる程度には回復したかな』

今オレはナツたちと並んで普通に歩いている。ゼロギアのリバウンドは約3日で完全に回復する、完全回復まであと2日だ。今のオレは戦える状態じゃない。
もっと特訓してリバウンドなしで使えるようにならないとな……

グレイ
「それにしても強力だけど不便だな、そのゼロギアって力」
アゲハ
『ああ、最終的にはほとんどリスクなしに使えるようになると思うんだけど中々うまくいかねーんだよなぁ』

ルーシィ
「別にその力使わなくても十分強いんだから使わなきゃいいじゃない」

アゲハ
『そうも言ってられねえよ。オレより強い奴なんていくらでもいるんだから』

グレイ
「いやいや…アゲハより強い奴なんてそうそういねぇだろ」

ルーシィ
「そうよ。それよりアゲハ、本当に依頼の報酬いらないの?」

アゲハ
『ん?ああ、オレは十分金持ってるしな。元々オレの受けようと思ってた依頼じゃねえしお前らにやるよ』

今回の報酬の700万ジュエルはナツ&ハッピー、グレイ、ルーシィで3等分して分けた。オレはS級クエストでめちゃくちゃ稼いでるからオレの分はあげた。

ハッピー
「アゲハ、お金持ちだもんね。あ、そうだルーシィ、今回もらった鍵ってどんなの?」

ルーシィ
「人馬宮のサジタリウスよ!!」

グレイ
「人馬だと!!?」

グレイの脳内には顔が馬、胴体は人間の生物が浮かんでいる。

アゲハ
『バカだなグレイ。普通下半身が馬だろ』

そんなオレの脳内に浮かび上がったのは、ONE PIECEの船大工フランキーが変型した姿、フランキーケンタウロスだった。

ルーシィ
「惜しいけど逆!!っていうか何その変態!!?」

オレの脳内に浮かび上がったフランキーにツッコむルーシィ。相変わらず切れのいいツッコミだ。

ルーシィ
「普通こういうのでしょ…」

ルーシィが思い浮かべたのはなんとも普通のケンタウロスだった。うん、普通だ……

そんな中、ナツは顔がナカジマ、体がタコの生物を思い浮かべている。

ルーシィ
「馬でも人でもないよ、それ」

アゲハ
『よく人馬でそれを想像できるな』

ナツの想像力が怖くなってきた。

アゲハ
『そういやその鍵、黄道十二門だっけ?』

ルーシィ
「そうよ、世界に12個しかないめちゃくちゃレアな鍵なの」

ナツ
「あのカニやメイドが?」

ナツがバカにしたようにくすっと笑う。

ルーシィ
「あたしがもっと修行したら星霊の方が絶対アンタより強いんだから!!」

ナツ
「どうだか」

ルーシィ
「キィ━━━━━!!!悔しい!!」

アゲハ
『ま、頑張れルーシィ(笑)』

ポンポンとルーシィの頭を叩く。

そんなオレたちを見てヒソヒソと話す街の人たち。

?何だっけ……これって何かの話の予兆だった気が……

エルザ
「何だ……?ギルドの様子がおかしい……」

ナツ
「ん?」

ルーシィ
「な……なに?え?」

グレイ
「これは……」

オレたちみんなが驚愕の表情になる。何故なら……

ナツ
「オレたちのギルドが!!!!」

妖精の尻尾の酒場が……巨大な鉄柱で破壊されていたからだ。

ナツ
「誰が…!!!!」

ナツは涙を浮かべて怒りを露にする。グレイも同様、ルーシィは辛そうな表情だ。

エルザ
「何があったというのだ…」

これは…ファントム編に突入したのか?ってちょっと待て!!オレまだ回復してないんだけどぉ!!?

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