小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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ナツ
「オレたちのギルドを…」

エルザ
「何があったというのだ……」

変わり果てたギルドの姿に苦渋の表情を浮かべるオレたち。そこへ聞きなれた声が聞こえてきた。

ミラ
「ファントム」


「!!」


アゲハ
『ミラ……』

ミラ
「悔しいけど………やられちゃったの……」

振り返った先にいたミラも辛そうな表情を浮かべながら…この事件の犯人の名前を言った。




第57話 幽鬼の支配者【ファントムロード】




妖精の尻尾 地下1階

「お!エルザとアゲハが帰ってきたぞ」

「ナツとグレイも一緒だ」

無事だったギルドの地下に降りてきたオレたち。地下に集まったみんながオレたちに気づいて声をかけてくる。


タタタタ……


バッ


レナ
「アゲハ兄!!おかえり!!」

レナがオレを見つけるなり抱きついてきた。

アゲハ
『うおっ!レナか…ただいま。無事だったか?』

レナ
「うん……でもギルドが…」

沈んだ表情になるレナ。オレはそんなレナの頭を撫でてやった。

エルザ
「アゲハ!」

エルザがオレを呼んできた。オレはエルザの方に顔を向け、頷く。

アゲハ
『先にジイさんに報告しにいかねえとな…』

レナ
「私も一緒に行く!」










マカロフ
「よっ、おかえり」

みんながファントムへの怒りで騒ぐ中、ジイさんは酒を飲みながら呑気におかえりと言ってきた。

アゲハ
『おう』

エルザ
「ただいま戻りました」

ナツ
「じっちゃん!!!酒なんか飲んでる場合じゃねえだろ!!!」

呑気なジイさんの態度を見てナツがづかづかと言い寄る。

マカロフ
「おーそうじゃった。ナツ!!ハッピー!!ルーシィ!!お前たち、途中で正式な依頼に切り替わったとはいえ勝手にS級クエストになんか行きおってからにー!!!」

ルーシィ
「え!?」

グレイ
「はァ!!?」

てっきりファントムについての話をするのかと思いきや見当違いの返答に思わず声をあげるグレイとルーシィ。ていうかグレイとオレはお咎め無しなんだな。ラッキー♪

マカロフ
「罰じゃ!!今から罰を与える!!覚悟せい!!!」

ナツ
「それどころじゃねーだろ!!!」

ナツが反論するが構わず罰を執行するジイさん。つーよりあれは罰って言うのか?

マカロフ
「めっ」

ルーシィ
「きゃっ」

ナツ、ハッピーと順にチョップを食らわしたジイさんは最後にルーシィのケツをはたいた。

ミラ
「マスター!!ダメでしょ!!」

アゲハ
『ったく、エロジジイが…』

レナ
「じーちゃん!!私そんな事する人嫌いだよ!!もう口聞かないから!!」

マカロフ
「ぬぉおおお!?レナ、ちょっと待ってくれい!!もうさっきみたいな事はやらんから嫌いにならないでくれぇー(泣)」

ジイさんもレナの事をもう一人の孫みたいに思ってるから嫌われたくないらしい。すぐにもうやらないと言い出した。すげえなレナ……

そんな事を考えてる内にレナのお許しが出て心底ほっとした様子で一息ついたジイさんにエルザとナツが詰め寄った。

エルザ
「マスター!!今がどんな事態かわかっているんですか!!!」

ナツ
「ギルドが壊されたんだぞ!!!」

マカロフ
「まあまあ落ち着きなさいよ。騒ぐほどの事でもなかろうに」

ルーシィ
「!!」

グレイ
「何!!?」

そんな事はどうでもいいと言った態度のジイさん。ポーカーフェイス上手いな……本当は怒ってるくせに……

マカロフ
「ファントムだぁ?あんなバカタレ共にはこれが限界じゃ。誰もいねえギルドを狙って何が嬉しいのやら」

エルザ
「誰もいないギルド?」

ミラ
「襲われたのは夜中らしいの」

アゲハ
『じゃあケガ人は出なかったんだな?よかった、不幸中の幸いだな』

原作と違っているということはないみたいだ。ケガ人がいなくて何より何より。

マカロフ
「不意討ちしかできんような奴等に目くじら立てる事はねえ。放っておけ」


ダンッ!!!


ナツ
「納得いかねえよ!!!オレはあいつら潰さなきゃ気がすまねえ!!!」

ギルドのカウンターを叩いて叫ぶナツ。しかしジイさんはナツの話を聞き流して相手にしない。

マカロフ
「この話は終わりじゃ。上が直るまで仕事の受注はここでやるぞい」

ナツ
「仕事なんかしてる場合じゃねえよ!!!」

マカロフ
「そんな事よりトイレに行かねば……漏れそうじゃ」

酒の飲みすぎでトイレに向かうジイさん。すごいな……たしか原作ではもう一度ルーシィのケツをはたいたハズ、レナの影響力半端ねえ……

ナツ
「そんな事よりって……何で平気なんだよ…じっちゃん」

ミラ
「ナツ……悔しいのはマスターも一緒なのよ。だけどギルド間の武力抗争は評議会で禁止されてるの」

ナツ
「先に手ェ出したのあっちじゃねーか!!!」

アゲハ
『そういう問題じゃねえんだ。個人的にはすぐにでもぶっ潰しにいきてえくらいだけどな、ジイさんがああ言う以上ここは我慢するしかねぇんだ』

ナツ
「ぐっ」

エルザ
「マスターのお考えがそうであるなら………仕方……ないな……」







帰り道


アゲハ
『そういやレナ、お前オレがいない間一人で家に寝泊まりしてたのか?』

しっかりしているとはいえレナはまだ子供だ。こうして元気にしているのだから大丈夫だったんだろうが気になったので聞いてみた。

レナ
「うん。アゲハ兄が送ってきたダメQと一緒だったから平気だったよ。アゲハ兄いないとやっぱり少し寂しかったけどね」

アゲハ
『ハハッ、そうか、嬉しいこと言ってくれるじゃねえか………………ってちょっと待て!!ダメQまだ消えてねえの!?』

レナ
「え?うん……てゆーかそういう風にアゲハ兄が設定して作ったんじゃないの?」

アゲハ
『い…いや……ダメQは初めて作ったからとりあえず不足の事態が起こっても大丈夫なようにプログラムはしたけどまさかまだ活動していたなんて……』

意識が途絶えれば自動的に消えるもんだと思ってたけど違ったのか?未だにに活動続けているダメQについて考えているとレナに服をくい、と引っ張られた。

アゲハ
『どうした?』

レナ
「ねえアゲハ兄……お願いがあるんだけど…」

アゲハ
『ん?何だ?言ってみな』

レナ
「あのさ、ダメQも一緒に暮らしちゃダメかな?」

アゲハ
『へ?』

予想外のお願いに間の抜けた返事を返す。

レナ
「ダメQってちょっとドジだけど面白いし家事も出来るし少しの間だけだけど一緒に暮らして家族みたいに思えたんだ。お願いアゲハ兄!!」

手を合わせてオレに頼み込むレナ。

アゲハ
『……フッ、オレがお前の頼みを聞かない訳ねえだろ?いいぜ、ダメQとも一緒に暮らそう』

正直エルザのケーキを勝手に食べた件でちょっと(いや、かなり…)ムカついてたけどPSYREN原作見た限り基本いい奴みたいだからな。イルミナを同化させて半永久的に活動できるようにしてやるか。

レナ
「本当!?やったぁ!!ありがとうアゲハ兄!!!」

レナがお礼と共に抱きついてきた。…………この抱きつきグセ……オレ以外にはしてないよな?

アゲハ
『どういたしまして』

返事を返しながらも複雑な気分になった。





そうこうしている内にオレたちの家に着いた。二人暮らしには少し広いが二階建ての一軒家だ。ちなみに借家ではなく購入したものだ。何度も言うがオレ、金持ってるからな。フフフフフ……



ガチャ


アゲハ
『あれ?』

レナ
「靴が多い?」

ドアを開いてレナと共に玄関に入る。日本の家ベースなので靴は脱ぐタイプの家だ。つまり玄関に自分達のものでない靴があればすぐに分かる訳で………



ダダダダダダッ……

バッ



グレイ
「おかえり」

ハッピー
「おかー」

エルザ
「邪魔してるぞ」

ナツ
「よォ」

ルーシィ
「ごめんねー、勝手に上がっちゃって」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



アゲハ
『何でいるんだお前ら!!?』

リビングにダッシュで行ってみれば原作ではルーシィの家で繰り広げられる予定だった光景が……

レナ
「みんな帰ったんじゃなかったの?」

エルザ
「ああ、実はファントムの件で奴等がこの街まで来たという事は我々の住所も調べられてるかもしれないんだ」

グレイ
「まさかとは思うが一人の時を狙ってくるかもしれねえだろ?」

ハッピー
「だからしばらくはみんなでいた方が安全だ……ってミラが。今日はみんなお泊まり会やってるよ」

レナ
「そうなの?やったねアゲハ兄!!みんなでお泊まり会だよ!!」

目をキラキラさせているレナを見て文句が言えなくなってしまった。ま、ルーシィの家からオレん家に変わっただけの事だしな。別にいいか。

アゲハ
『それにしても何でオレん家なんだ?』

エルザ
「決まっているだろう、広いからだ」

アゲハ
『もっともなご意見ですな…』

それにしても、原作通り清々しいほど人ん家エンジョイしてるなぁ……

ナツ
「うおっ、うまそうなもん発見!!」

ハッピー
「ルーシィ見て見て!!面白そんな本見つけたよ」

ルーシィ
「うわぁ!!これ今はもう絶版になったやつ!!読みたかったんだぁ!!」

グレイ
「オレはもう寝っからよォ、騒ぐなよ」

部屋を見渡せば好き勝手行動する仲間たち。遠慮というものを知らないらしい。

エルザ
「む、こいつは確か……」

アゲハ
『ああ、オレが作った自律プログラム、通称ダメQだ』

オレとエルザの視線の先には隣接しているキッチンから顔を覗かせるダメQがいた。

レナ
「あ、ダメQ!!ただいま」

レナがダメQに呼び掛けるとダメQはすぐに駆け寄ってきた。そしてオレの目の前に立ち敬礼のポーズをとった。

アゲハ
『よっ、ダメQ。元気してたか?』

コクコク、と首を振るダメQ。本当人間味のあるやつだよな。

アゲハ
『そうだ、先にやる事やっとかないとな』

“?”マークを浮かべるダメQを尻目にオレはポケットからイルミナを取り出す。その様子を見て他のみんなも集まってきた。

アゲハ
『これからこのイルミナをお前に同化することでお前を完全にひとつの生命体へと進化させる。これによりお前はオレが力尽きた時、オレとのリンクが切れたとしても活動を続けることが出来る』

ルーシィ
「そんなことが出来るの!?」

ナツ
「すげェな!!」

アゲハ
『ああ、まぁ見てな。“イルミナス・フォージ”』

オレはダメQにイルミナを生命融合【ハーモニウス】を使って融合した。イルミナス・フォージが失敗することが多いのは人間を対象とした場合だ。ダメQの場合、単純にPSI同士を融合させるだけなので100%成功する。




カアッ




一瞬部屋がすさまじい光に包まれる。

思わず閉じた目を再び開けばそこには姿形こそ変わっていないが確実に生命体としてのランクが上がったダメQがいた。

ナツ
「なんも変わってねえぞ?」

アゲハ
『見た目はな。けどこれでダメQはオレの魔力が尽きたり気絶してリンクが切れてもそのまま活動できる』

ま、性格は変わってないみたいだけどな。

ダメQがレナと一緒に踊ったりしている光景を見てそう思った。

ルーシィ
「本当あんたって何者なのよ」

アゲハ
『いつも言ってるだろ?サイキッカーだよ』

ルーシィ
「結局それで片付けちゃうのね」

ハッピー
「あい、それがアゲハです」

アゲハ
『何だよそれ……』

ハッピー、なんかうまく纏めたように言ってるけど意味わかんねぇぞ?







ルーシィ
「ねぇ…例のファントムって何で急に襲ってきたのかなぁ?」

エルザ
「さあな…今まで小競り合いはよくあったがこんな直接的な攻撃は初めての事だ」

風呂上がりのルーシィの疑問にパジャマに換装したエルザが答える。こんな所までやはり原作通りなんだな、と妙に感心してしまった。

ナツ
「じっちゃんもビビってねえでガツンとやっちまえばいいんだ」

グレイ
「じーさんはビビってる訳じゃねえだろう。あれでも一応聖十大魔道の一人だぞ」

ルーシィ
「聖十大魔道?」

聞きなれない単語にルーシィが首をかしげる。

アゲハ
『評議会のあの頭の固ぇ議長が定めた大陸でもっとも優れた10人の魔導士につけられた称号だ。普段はただの酒飲みジジイだけど意外とすごいんだぜ』

ルーシィ
「誉めてるんだか貶してるんだか分からないわね」

アゲハ
『失敬な!!貶してるに決まってるだろ…ってごめんなさいエルザ嘘ですホントは尊敬してますだからその剣しまおう?ね?』

マスターを侮辱されて怒ったエルザが剣を突きつけてきた。相変わらず冗談通じねぇなエルザは。

ハッピー
「ファントムのマスター・ジョゼも聖十大魔道の一人なんだよ」

ハッピーの補足説明にエルザが神妙な顔つきになる。ジークレインの事を考えているのだろう。

ナツ
「ビビってんだよ!!ファントムって数多いしさ!!」

グレイ
「だから違ぇーだろ。じーさんもミラちゃんも二つのギルドが争えばどうなるかをわかってるから戦いを避けてるんだ。魔法界全体の秩序のためにな」

ルーシィ
「そんなにすごいの?ファントムって」

ナツ
「たいした事ねーよあんな奴等!!」

ごくりとのどを鳴らして聞くルーシィにナツは体から火を出しながら言い切った。てか火事になるからやめろ!!

エルザ
「いや……実際争えば潰し合いは必至……戦力は拮抗している。マスターマカロフと互角の魔力を持つと言われている聖十大魔道のマスター・ジョゼ。そして向こうでのS級魔道士にあたるエレメント4」

エレメント4……確かジュビアもその一人だったよな?初めて会って以来たまに会ってるけど最近は忙しくて全然だな。元気でやってるかな……

そんな事を考えてる内にガジルの事も話し終わったみたいだった。

エルザ
「さぁ、もう時間も遅いしそろそろ寝るとしよう」

アゲハ
『そうだな、もう夜中の1時だしな。レナ、早く寝ろよ』

レナ
「うん。じゃあおやすみ、みんな」


結局余った部屋やリビングのソファを使ったりしてみんなそれぞれ就寝した。







みんなが寝静まった頃、オレは迷っていた。

アゲハ
『レビィ…ジェット…ドロイ………オレは…』

シャドウ・ギアの3人を助けに行くか否か。仲間がやられるのを黙って指をくわえていられるほどオレは我慢強くはない。けどこの事件はジュビアとガジルが仲間になるためには必要不可欠。何よりここでガジルを撃退して原作が変わる方が遥かに危険だ。それに今のオレはゼロギアのリバウンドで満足に戦えない。助けに行ったところで返り討ちに遭うだけだろう。

くそっ、ごめん……3人とも……オレは助けにいくことはできない。その代わり、オレが全力でお前たちの治療をするから……それで許してくれ………


何かを我慢するという事は……想像以上に辛いことだと………オレはこの夜……思い知ったんだ

噛み締めた唇から…一筋の血が流れた。

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