小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第68話 次の世代


ミラ
「みんなー!!!今日から仕事の受注を再開するわよー。仮設の受け付けカウンターだけどガンガン仕事やろーね!!!」


「「「うぉおおぉっ!!!!仕事だ仕事━━━━━!!!!」」」


この前のルーシィの一件からまた数日して、仕事の受注が再開した。みんな久しぶりの仕事に勢いよく依頼板に集まっていく。

え?オレ?オレは蓄えが十分あるからな。もう少し休ませてもらうことにした。今はミラ、ルーシィと一緒にカウンターでみんなの様子を眺めてる。

ルーシィ
「なにアレぇ。普段はお酒呑んでダラダラしてるだけなのにィ」

ミラ
「あはは」

アゲハ
『確かにな』

ルーシィ
「そういやロキいないのかなぁ」

ミラ
「あーあ……ルーシィもとうとうロキの魔手にかかっちゃったのね」

ルーシィ
「違います!!!」

アゲハ
『鍵の件か?』

ルーシィ
「うん。なんか見つけてくれたみたいで……一言お礼したいな…って」

鍵を取りだし、理由を説明するルーシィ。それにしてもロキの奴…相当ヤバそうだな。まぁルーシィが解決するんだろうし、ほっといても大丈夫か。

ミラ
「分かった、見かけたら伝えとくわ。それより星霊に怒られなかった?鍵落としちゃって」

アゲハ
『アクエリアスに落とすなって言われてたんじゃなかったっけ?』

ルーシィ
「はは…そりゃあ…もう怒られるなんて騒ぎじゃなかったデスヨ……」

おおう……ルーシィの恐怖の感情がトランス波動になって伝わってくる。アクエリアスに相当やられたらしいな……

ルーシィ
「思い出しただけでお尻が痛く……」

ミラ
「あらら」

グレイ
「冷やしてやろうか?」

ルーシィ
「さりげないセクハラよ それ」

ハッピー
「ルーシィ 赤いお尻見せてー」

ルーシィ
「堂々としたセクハラよ それ!!」

ナツ
「もっとヒリヒリさせたらどんな顔すっかな ルーシィ」

ルーシィ
「鬼かお前は!!!」

アゲハ
『ショック療法って知ってるか?電磁'n【ショッカー】の電撃くらったら治るかもよ?』

ルーシィ
「治る訳ないでしょ!!!」

グレイ、ハッピー、ナツ、オレのボケを見事にツッコみきったルーシィ。お見事!!

オレがルーシィのツッコミに向けて拍手を送っていると、テーブルが転がってきてナツにぶつかった。

痛そうだな……

で、テーブルが転がってきた方を見ると……

エルザ
「もう一ぺん言ってみろ!!!!」

ルーシィ
「エルザ?」

アゲハ
『……………………』

エルザがラクサスに向かって怒鳴っていた。

ラクサス
「この際だ、ハッキリ言ってやるよ。弱ェ奴はこのギルドに必要ねェ」

エルザ
「貴様…」

ラクサス
「ファントムごときになめられやがって…恥ずかしくて外も歩けねーよ」

アゲハ
『歩いてんじゃん、外』

ルーシィ
「そーゆー意味じゃないと思うけど」

ファントムの件に対して文句を言い出すラクサス。なーんで憎まれ口しか叩けねぇんだろうな……

そのラクサスが今度はレビィたちを指差し、なじり始める。

あ、ちなみにレビィたちの怪我は完治してます。めちゃくちゃ頑張りましたから、オレ。グッジョブ!

なんて事を考えている内にも話はどんどん進んでいっていた。ありゃ、レビィたちのフォローし損ねちゃったよ。

ミラ
「ラクサス!!!もう全部終わったのよ。誰のせいとかそういう話だって初めからないの。戦闘に参加しなかったラクサスにもお咎めなし……マスターはそう言ってるのよ」

カウンターを叩いてラクサスをたしなめるミラ。

けれどラクサスはそれに構わず話を続ける。

ラクサス
「そりゃそうだろ。オレには関係のねえ事だ。ま……オレがいたらこんな無様な目にはあわなかったがな」

その言葉に怒ったナツが拳を振り上げる。

ナツ
「ラクサスてめえ!!!ぶっ…!!!」

アゲハ
『ハイ、スト━━━ップ』

ラクサスに向かっていくナツの目の前にマテリアル・ハイの障壁を設置して止める。

ナツ
「何すんだアゲハ!!!」

アゲハ
『このままだとお前、暴走しそうだったからな。選手交代だ』

そしてそのままラクサスの方へと飛んでいく。

……………まだ下半身がうまく動かないんだよね。無空術にお世話ななりっぱなしっス。

ラクサス
「アゲハか……」

アゲハ
『よう、ラクサス。相変わらず調子に乗りまくってんねぇ』

ラクサス
「ハッ、うるせぇよ。そういやてめえ今回ずいぶんとボロボロになったみてぇじゃねえか。ジョゼにやられてまだまともに歩けねぇんだろ?」

アゲハ
『厳密には違うけど……ま、似たようなもんか。人間相手だとやりづらい事この上ないんだよ。まぁそれは置いといてと、お前さぁ…その憎まれ口どうにかなんない訳?』

ラクサス
「ハッ、事実を言ってるまでだ、何が悪い。オレがギルドを継いだら弱ェモンはすべて削除する!!!そしてはむかう奴も全てだ!!!オレが作ってやるよ!!最強のギルドをなぁ!!!」

高らかにそう宣言するラクサス。

アゲハ
『はぁ、調子に乗るのも大概にしろよラクサス。お前の“じーじ”に怒られるぞ?』

ラクサスの発言がムカついたので、こちらも挑発して怒りを煽った。

ラクサス
「てめっ…!!!」

額に青筋を立てたラクサスがオレに攻撃を仕掛けようとする。

アゲハ
『生命の樹【セフィロト】』


ギュバァ!!!


ラクサス
「ぐっ!!!」

ラクサスが雷と化すよりも早く、セフィロトの蔓でラクサスを拘束する。

アゲハ
『自分の力を過信しすぎるなよ?その気になればお前ごとき一瞬で消し去れるんだからな』

ラクサス
「野郎…!!」

アゲハ
『ま、今日のところはこれぐらいにしておいてやる。けど、次に自分の仲間を否定するような事を言ったらぶん殴るぞ』

セフィロトを解除して、ラクサスに言い放つ。

ラクサス
「チッ、今日のところはおとなしく引き下がっておいてやる。だがオレはお前を必ず倒す!!忘れるな!!」

ラクサスは切れる寸前だったが、なんとか去っていってくれた。

ナツ
「やっぱアゲハすげ━━━━!!!」

グレイ
「あのラクサスを圧倒するなんてな!!!」

ルーシィ
「あたしスカッとしちゃった!!!」

レナ
「さすがアゲハ兄!!ラクサスなんて目じゃないね!!!」

ラクサスが去った途端口々にオレを誉めてくるみんな。

いや、あの……今のオレの行為、本来なら誉められたものじゃないからね?仲間同士で戦うって普通ダメだからね?





騒ぎが一段落ついて、オレは今仮説カウンターでミラが作った飯を食っている。隣ではルーシィとレナも座っていた。

ルーシィ
「ねぇ…ラクサスがギルドを継ぐって言ってたけど、アレ本気なの?かなりぶっとんだ事いってると思うんだけど」

アゲハ
『それがそうでもないんだよなぁ』

ミラ
「ラクサスはマスターの実の孫だからね」

ルーシィ
「え━━━━━━━━━っ!!!?」

レナ
「知らなかったのルーシィ?」

ルーシィが凄い驚いた顔をしている。相当に衝撃だったようだ。うん、まぁ似てねぇしな。身長とか顔とか身長とか身長とか……

ミラ
「だからマスターが引退したら次のマスターにラクサスがなる可能性はすごく高いの」

ルーシィ
「そ…そんな…。でも…あたしは嫌だな…仲間の事をあんな風に思ってる人がマスターになるなんて」

アゲハ
『だよなぁ。確かにあいつはマスターの資質を十二分に持ってるけど、あの性格だからなぁ』

レナ
「仲間を大切にしない人にマスターなんて務まらないよ」

ミラ
「だからマスターもなかなか引退できないんじゃないかっていう噂なの」

ルーシィ
「あの人がマトモになるのを待ってるって訳?」

ミラ
「あくまで噂よ。実際 次期マスターの話なんて一言もマスター本人は漏らしてないし」

まあ、オレはラクサスのあの性格がなんとかなればあいつがマスターでも構わないけどね。ただ、やっぱり仲間を切り捨てるような発言は許せねぇ……それさえなんとかなりゃいいんだけどな。

ナツ
「あんのヤロォ……」

エルザ
「もういいナツ……あいつに関わると疲れる」

エルザがはぁ、とため息をつく。

アゲハ
『苦労してんな、エルザ。もっと気楽に行こうぜ』

エルザ
「お前はお気楽すぎるだろう。まぁいい、それよりどうだろう。仕事にでも行かないか?」

ナツ
「え?」

アゲハ
『仕事?』

レナ
「私たちと?」

エルザ
「ああ、もちろんグレイとルーシィも一緒だ」

その発言にグレイとルーシィが驚きの声をあげる。

エルザ
「アイゼンヴァルトの件からよく一緒にいる気がするしな。この際チームを組まないか?私たち6人で。ハッピー入れて7人か」

ルーシィ
「わあ!!」

なんかトントン拍子で話が進んでるんだけど。なんか周りも最強チームだなんだ盛り上がってるし……ナツとグレイもエルザに脅されてだが了承したようだ。けど………

アゲハ
『あー、盛り上がってるトコ悪いんだけどオレ、パスな』

ルーシィ
「えぇ!?何で!!?」

アゲハ
『何でって……オレは評議院からの頼まれ事が多いし、7人だとチームとしては多すぎる。何よりもオレは好きなときに組みたい奴と組みたい。だからこの提案は却下だ』

一番の理由はこいつらといると絶対問題起きて報酬額減らされるからだけどな。始末書書きたくないし。

レナ
「あ、アゲハ兄が入んないんなら私もパスで」

エルザ
「そうか、ならば仕方あるまい。ナツ、ハッピー、ルーシィ、グレイ。私たち5人でチームを組むとしよう」

結局、原作通りの最強チームとなった。早速仕事に行ったエルザたちを見送って、オレはミラにメシのおかわりを頼んだ。





















マカロフ
「引退…か」

ジイさんが空を仰いでポツリと言った。

アゲハ
『よう、ジイさん』

作りかけのギルドの上でジイさんが酒を飲んでる。オレは自分の分のジュースとジョッキを持ってジイさんの隣に座った。

アゲハ
『何悩んでんだ?』

マカロフ
「アゲハか……いや、今日評議院でヤン坊に言われたことを思い出してたのじゃ」

アゲハ
『ヤジマさんに?』

マカロフ
「ああ、そろそろ引退せんと身が持たんとな」

アゲハ
『……………そっか』

オレは黙って空を見上げながら話を聞く。

マカロフ
「ギルドも新しくなる。ならばマスターも次の世代へ……」

アゲハ
『次の世代……ね。ジイさんは誰を次のマスターにしようとしてんだ?』

マカロフ
「フム…ラクサスは心に大きな問題があるしのぉ……ギルダーツは無理じゃし……ミストガンはディスコミュニケーションの見本みたいな奴じゃ」

アゲハ
『ハハ……マトモなのいねえな。やっぱりジイさん以上にマスターにふさわしい奴なんてオレはいないと思うぜ』

マカロフ
「フン、誉め言葉として受け取っておくわい。そうじゃアゲハ、お主マスターやらぬか?」

アゲハ
『無理!!』

オレがマスター?無理無理無理!!あんな個性が強い連中まとめるなんてオレにはできない。

マカロフ
「即答じゃな(汗)。人望、実力、精神ともにぴったりだと思ったんじゃが……」

アゲハ
『オレにマスターの資質なんてねえよ。オレなんかよりエルザはどうだ?』

マカロフ
「フム、エルザか……まだ若いがエルザなら……」

そう言ってジイさんが考え込んだ時だった。

ミラ
「マスター こんなトコにいたんですかぁー」

マカロフ
「ん?」

アゲハ
『ミラ?』

ギルドの上から見下ろしてみると、ミラが何か書類のようなものを持って立っていた。

ミラ
「あ、アゲハもいたのね」

アゲハ
『おう、まあな。それよりどうしたんだ?』

ミラ
「あ、そうそう。マスター、またやっちゃったみたいです」

マカロフ
「は?」

ミラ
「エルザたちが仕事先で街を半壊させちゃったみたい」

マカロフ
「!!!!」

うおっ!!ジイさんの顔が凄い事に!!そんなジイさんに追い打ちをかけるようにミラの言葉は続く。

ミラ
「評議院から早々に始末書の提出を求められてますヨー。あれ?マスターどうしました?」

アゲハ
『ジ、ジイさん………』

灰のように白くなったジイさんは次の瞬間夜空に向かって叫んだ。

マカロフ
「引退なんかしてられるかぁ━━━━!!!」

……と。

アゲハ
『はぁ、やっぱりマスターって大変なんだな。絶対やんねえ』

ジイさんの落ち込み様を見て、絶対マスターにはならないと人知れず誓いを立てるのだった。






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