小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第71話 星霊界の法




アゲハ
『……………………』

鳳仙花村に泊まった翌日、オレは自室で本を読んでいた。けど内容が全然頭に入ってこない。

アゲハ
『はぁ……ダメだ。集中できねぇ』

ルーシィが助けるとわかっていても、やはりロキの事が気になってしまう。昨日はロキに死ぬ事を止めるつもりはないって言ったけど、やっぱり無理だ。たとえオレが元々この世界の住人じゃなかったとしても、オレはアイツの仲間だから。

アゲハ
『よし』

立ち上がり、部屋着から普段着に着替える。今回、オレに出来ることは何もない。けど、ルーシィの手助けぐらいはできる。そしてあの頑固者にガツンと一言言ってやらなきゃな。


バタン


レナ
「アゲハ兄!!!」

部屋の扉が大きな音を立てて開かれ、レナがオレの名を呼んだ。

レナ
「アゲハ兄……ロキが………ギルドを出ていったって…」

アゲハ
『そうか……』

じゃあ行くとしますか。ロキの元へ。






━Side レナ━


レナ
「はぁっ……はぁっ……」

ロキがギルドを出ていってしまった。みんなで探してるけど見つからない。でも……

レナ
「アゲハ兄なら、ロキがどこにいるか分かるかもしれない」

私は全速力で家に向かった。

アゲハ兄は今日ずっと部屋で本を読んでいる。どこか上の空で無理に本を読むことに集中しようとしていたみたいだ。


バタン


アゲハ兄の部屋の扉を開ける。

レナ
「アゲハ兄!!!」

もしかしたらアゲハ兄はこうなる事を知っていたのかな?

レナ
「アゲハ兄……ロキが………ギルドを出ていったって…」

アゲハ
『そうか……』

アゲハ兄は大して驚いていなかった。見れば部屋着から普段着に着替えている。

レナ
「ねえ、アゲハ兄……」

アゲハ
『ん?何だ?』

レナ
「アゲハ兄は知ってたの?ロキがギルドを出ていく事……」

アゲハ
『ああ、なんとなくな……』

やっぱり!!

レナ
「じゃあ居場所もわかるんでしょ!?早く追いかけないと…!!」

アゲハ
『レナ』

レナ
「!!」

焦る私の名をアゲハ兄が呼ぶ。

アゲハ
『今回の件……オレに出来ることは何もない。もちろんお前にもな。ロキの抱える問題はオレたちに手出しできるレベルのものじゃないんだ』

そんな……アゲハ兄でも手出しできないなんて。ロキはそんなに大きな問題を抱ているの?

アゲハ
『それでも、お前は探しにいくのか?』

アゲハ兄が静かに問いかける。

確かに私に出来ることは何もないのかもしれない。でも、仲間が苦しんでるのになにもしないでいるなんて私にはできない。だから…

レナ
「もちろんだよ!!だってロキは…フェアリーテイルの仲間なんだから!!!」

私の答えにアゲハ兄は……

アゲハ
『よく言った』

笑ってそう言った。

レナ
「え!?」

アゲハ
『それでこそオレの妹だ。確かにオレたちじゃロキを救うことはできない。けど、ルーシィならそれができる。なら、ルーシィの手助けぐらいならオレたちにもできるはずだ。そうだろ?』

レナ
「アゲハ兄…うん!!」

アゲハ
『よし、それじゃあロキの元へ行くとするか!!しっかりついてこいよ!!』

レナ
「うん!!分かった!!」

行こう!!ロキを連れ戻しに……

アゲハ
『っと……その前に靴取ってこなきゃな。おいレナ、お前土足じゃねえか。後で掃除しとけよ』

ガクッ

なんか今のアゲハ兄の一言でシリアスな雰囲気が壊れた気がするよ……


━Side Out━





今オレとレナは家の庭でトリック・ルームの座標が確定するのを待っている。いつもならもっと早く確定するんだけどカレン・リリカの墓の場所を知らない上にロキの魔力が今ものっそい小さくなってるから時間がかかっている。ルーシィもまだ着いてねぇし……

レナ
「ねえアゲハ兄…聞きたいことがあるんだけど」

アゲハ
『何だ?言ってみろ』

レナ
「うん、どうしてルーシィだけがロキを助けられるのか気になって。ルーシィが出来るんならアゲハ兄にだって出来るんじゃないの?」

アゲハ
『その事か……』

まあ、今言っても別にいいか。どうせ後で分かることだしな。

アゲハ
『実はロキはな、獅子宮のレオって星霊なんだ』

レナ
「へぇー、ロキは星霊だったんだぁ‥‥ってえぇええぇぇえええええ!!!?」

尋常じゃないくらいレナが驚く。

レナ
「ロ、ロキが星霊!?で、でもルーシィの牛や時計と違ってホントの人みたいじゃん!!」

アゲハ
『バルゴも人型だろ?』

レナ
「あ、そういえばそうだね」

結構簡単に納得するな こいつ……

レナ
「でも何で星霊のロキが人間としてフェアリーテイルに入ってたの?」

アゲハ
『カレン・リリカっつー魔導士が“青い天馬”にいてな、そいつはロキのオーナーだったんだ。けどそいつは星霊を道具としてしか見ていなくてロキや他に契約していた黄道十二門のアリエスを不当に扱っていたらしい。星霊を盾にして敵の攻撃を防いだり、とかな』

レナ
「そんな……星霊だって生きてるのに。ひどい…!!」

アゲハ
『だよな。んで、当時のロキはそれを見かねてカレンに自分とアリエスの契約解除を求めたんだ。けどカレンはそれを拒否した』

レナ
「それで、どうなったの?」

アゲハ
『自分の魔力を使って人間界に来たロキは契約を解除するまで星霊界には戻らないと言い出した。ロキが人間界にいる限りカレンは仕事ができない。それを利用したロキの強行策だ。結果、カレンは契約解除を拒否したまま仕事に行き、星霊魔法を使えず死亡した』

レナ
「そんな事があったんだ……でも、その事と今のロキとはどう関係してるの?カレンが死んだんならロキは星霊界に帰ったんじゃ……」

アゲハ
『帰れなかったんだよ。星霊界の法により、ロキは星霊界を永久追放されたんだ』

レナ
「な、何で…!?」

アゲハ
『カレンはロキのせいで死んだ。星霊界はそう判決を下したんだ。そしてそれ以降3年の間、ロキは素性を隠し、フェアリーテイルに所属していたんだ』

レナ
「そんな……そんなのおかしいよ。ロキはなにも悪くないじゃん……」

ロキの過去を聞き終えたレナは、納得のいかない表情をして言った。

アゲハ
『ああ、だがそれだけじゃない。長期間人間界に留まっていたロキの魔力はもう限界。ロキがフェアリーテイルを出ていったのは、死を迎えるためだ…!!』

レナ
「え……」

オレが口にしたこれからロキがとるであろう行動に、レナが固まった。

レナ
「う、嘘だよねアゲハ兄。ロキが死ぬつもりだなんて……嘘なんだよね…?」

アゲハ
『嘘じゃない。今もロキの魔力を探っているけど、小さすぎて見つからないんだ。恐らく今にも消えそうな位なんだろうな』

レナ
「そんな…!!」

レナの顔が悲痛に歪む。父親を亡くしているレナは人一倍誰かが死ぬのを怖がっている。ロキの事を心配していたのもロキが死のうとしていたことを感じ取っていたのかもな。

アゲハ
『諦めんのは早いぞ。言っただろ、ルーシィならロキを救えるってよ』

レナ
「え?ルーシィが?それってもしかして……」

アゲハ
『ああ、星霊との関係が希薄なオレじゃあさすがに法そのもの相手には手出しできねえ。けど、誰よりも星霊を愛しているルーシィなら…法律だって変えられるかもしれねえだろ?今、ルーシィの魔力も一緒に探してる。信じようぜ、ルーシィを……そしてロキを』

レナ
「アゲハ兄……うん、分かった!!」

オレの言葉にレナが元気のよい返事を返した時だった。

アゲハ
『座標が確定した!!いくぞレナ!!』

レナ
「了解!」

そして次の瞬間、オレたちはカレンの墓へ空間移動した。













パァアア……


アゲハ
『着いたか』

レナ
「アゲハ兄!!ロキが…!!」

カレンの墓に着いた時にはもうロキの体が消え始めていた。ルーシィが必死に呼び掛けるもロキは消える事に抵抗すらしない。

ロキ
「フェアリーテイルのみんなに よろしく頼むよ」

アゲハ
『ふざけんな!!フェアリーテイルを出ていくってんなら自分の口で伝えやがれ!!』

ロキとルーシィの会話に割り込んだオレを見て、二人が目を見開く。

ルーシィ
「アゲハ…レナ……」

ロキ
「何で君達が…」

アゲハ
『昨日“またな”っつっただろーが。それに言っただろ、オレは全部知ってるってな』

そうロキに告げるオレに続いてレナも話を切り出した。

レナ
「ロキ…ロキの事はアゲハ兄から聞いたよ。でも何でロキが死ななきゃいけないの!?ロキは何も悪くないじゃない!!」

ルーシィ
「そうよ!!カレンの事は事故じゃないっ!!あたしがアンタを星霊界に帰してみせる!!開け 獅子宮の扉!!!ロキを星霊界に帰して!!!」

ルーシィはロキを抱き締め、無理矢理獅子宮の扉を開けようとし出す。

ロキ
「ルーシィ… もういいんだ。やめてくれ……」

ルーシィ
「よくない!!目の前で消えてく仲間を放っておけるわけないでしょ!!!」

そう言うとルーシィはさらに魔力を込め出す。

レナ
「私も手伝うよ!!」

ロキ
「レナ!!君まで何を…!!」

レナ
「ロキは大切な仲間なんだ……もう目の前で大切な人を失うのは嫌なの!!くううっ」

レナとルーシィから魔力がバチバチとほとばしる。

ロキ
「ルーシィ、レナ!!そんなに一度に魔力を使っちゃダメだ!!」

ルーシィ
「言ったでしょ!!!絶対助けるって!!星霊界の扉なんてあたしが無理矢理開けて見せる!!!」

ロキの忠告を無視してルーシィとレナは魔力を込め続ける。

アゲハ
『はぁ、お前ら……オレを仲間はずれにすんじゃねえよ』

そう言ってオレはレナが掴んでいるのとは反対側のルーシィの肩に手を添える。

アゲハ
『オレも手伝う』

ルーシィ
「アゲハ……」

レナ
「アゲハ兄…!!」

そしてオレも獅子宮の扉をこじ開けようと魔力を込める。

ぐっ!!想像以上にキツいな。体中に電流が流れるような痛みを感じる。原作のルーシィは一人でこの痛みを耐えたってのか…すげえな。

ロキ
「アゲハ!!何で…何でそこまでするんだ!!そんなことをしても扉は開かない!!契約している人間に逆らった星霊は星霊界には戻れないんだ!!!」

アゲハ
『うるせぇよ……んな事関係あるか!!目の前で死にそうになってる仲間を放っておいて明日を笑って生きられるほどオレの神経は図太くねぇんだよ!!』

どんどん魔力が吸いとられていく。体に激痛が走り、思わず呻き声が出る。ルーシィもレナも苦しそうだ。

けど…諦めてたまるかよ!!絶対に死なせねえぞ、ロキ!!!

ロキ
「止めてくれ!!星霊と同化し始めてるじゃないか!!このままじゃ君達も一緒に消え てしまう!!!」

アゲハ
『消させやしねえよ。オレ達はこれぐらいで消されるほどやわじゃねえ!!』

レナ
「そうだよ!!それに仲間を守れないなら、魔法を使えるようになった意味がない!!」

ロキ
「やめてくれ…!!これ以上僕に罪を与えないでくれ━━━━━っ!!」

ルーシィ
「何が罪よ!!そんなのが星霊界のルールなら…あたしが変えてやるんだから!!!!」

その瞬間、オレ達を取り巻いていた光や魔力が弾けとんだ。

そして周りの景色が変わり始めた。滝の水が一つに集い、空も夜空へ変わり、星々が輝き出す。

アゲハ
『空が…!!景色が…変わった…?』

ルーシィ
「な、何なの!?」

レナ
「どうなってるの…?」

ロキ
「ま、まさか……そんな…」

そして滝の水を媒体として、その身を神々し い鎧で身に纏い、マントをなびかせ立っている巨人が現れる。

ロキ
「星霊王!!!!」

ロキが目を見開き、現れた星霊王の名を叫ぶ。

アゲハ
『星霊王……こいつが星霊達の親玉か。デカイな…』

なんかこいつ髭生えたガ〇ダムみてえ……

レナ
「でも何でそんな偉い星霊がこんな所に?」

レナがあれこれ思案しているうちに星霊王が口を開いていた。

星霊王
「古き友 人間との盟約おいて我ら…鍵を持つ者ヲ殺めることを禁ズル。直接ではないにせよ、これを間接的に行ったレオ。貴様は星霊界に帰ることを禁ズル」

ルーシィ
「ちょっと!!そりゃ あんまりでしょ!!!」

レナ
「ちゃんとロキの事見てよ!!ロキは何も悪いことはしてないよ!!」

ロキ
「よ、よさないかルーシィ、レナ!!」

星霊王
「古き友よ その“法”だけは変えられぬ…」

レナとルーシィの訴えは星霊王には聞き届けられない。やっぱり法の力は強大だ。そう易々と変えられはしねえか。

けど…ルーシィなら………

ルーシィ
「ロキは三年も苦しんだのよ!?仲間の為に!!アリエスの為に!!仕方なかったことじゃないの!!!」

星霊王
「余も古き友の願いには胸を痛めるが……」

ルーシィ
「違う!!」

星霊王の言葉を遮りながら、ルーシィは話し続ける。

ルーシィ
「古い友達なんかじゃない!!今、目の前にいる友達の事言ってるのよ!!ちゃんと聞きなさい!!このヒゲオヤジ!!!」

アゲハ
『おお……仮にも星霊魔導士が星霊王に向かってヒゲオヤジとか……』

レナ
「度胸あるね、ルーシィ(汗)」

まあオレも評議院相手に似たようなことしてるから人の事言えねえか。

ルーシィ
「これは不幸な事故でしょ!?ロキに何の罪があるって言うのよ!!!無罪以外は認めないんだからねっ!!!!」

そういって魔力を放出するルーシィ。それを 見たロキは自分の思いを叫んだ。

ロキ
「もういいルーシィ!!僕は誰かに許してもらいたいんじゃない!!罪を償いたいん だ!!このまま消えていきたいんだ!!!」

ルーシィ
「そんなのダメ━━━━━!!!」

ルーシィはそんなロキの思いを一蹴し、さらに魔力を放出する。

ルーシィ「 罪なんかじゃない!!仲間を思う気持ちは罪なんかじゃない!!!」

ルーシィの叫びに応えるように、ルーシィの 星霊達がルーシィの周りに一斉に現れた。しかしそれもわずかな時間だけで、ルーシィは倒れてしまった。

ロキ
「ルーシィ!!」

レナ
「大丈夫!!?」

アゲハ
『ったく、無茶しやがって!!』

やはり複数の星霊を呼び出すのはかなりの負担がかかる。すぐにCUREを使ってルーシィの魔力を回復させる。

ルーシィはオレに続いて礼を言った後、話を続ける。

ルーシィ
「今姿を見せてくれたあたしの友達も…皆同じ気持ち…」

ルーシィは体を震わせながらも必死に言葉を紡ぐ。

ルーシィ
「アンタも星霊なら、ロキやアリエスの気持ちがわかるでしょ!!?」

その言葉を聞き、星霊王の表情が少し変わっ た。

アゲハ
『オレからも一言言わせてもらうぞ、星霊王』

ロキ
「アゲハ…」

アゲハ
『法っていうものは時代と共に変わっていくものだ。悪い点をより良く改善し、皆が幸せにななれる世の中を作るためにある。けど今のアンタが言う法じゃあ誰も幸せになんかなれねーよ』

レナ
「そうだよ!!ロキが死んじゃったら私達も、ギルドの皆も、星霊達だって悲しい思いをするだけ!!だからお願いします!!ロキを星霊界に帰してください!!!」

星霊王
「………」

オレの意見とレナの訴えに口を閉ざす星霊王。数瞬の後、星霊王はその重い口を開き、言葉を紡ぎ出す。

星霊王
「古き友にそこまで言われては…間違っているのは法かもしれぬな。同胞アリエスの為、罪を犯したレオ。そのレオを救おうとする古き友。その美しき絆に免じ、この件を例外とし、レオ…貴様に、星霊界への帰還を許可する」

ロキ
「なっ」

アゲハ
『ふぅ…なんとかなったな』

レナ
「ありがとう星霊王さん!!」

ルーシィ
「いいとこあるじゃない ヒゲオヤジ!」

星霊王
「ニカッ!」

ルーシィのグーサインに文字通りニカッと笑い、星霊王は消え始めた。

星霊王
「免罪だ。星の導きに感謝せよ…」

ロキ
「待ってください…僕は……」

星霊王
「それでも罪を償いたいと願うのなら、その友の力となって生きる事を命ずる。それだけの価値のある友であろう。命をかけて守るがよい」

星霊王はそう言って光と共に消えていった。 そして再び時が動き出すと、滝の水は落 ち、夜空は青空に戻った。

ルーシィ
「だってさ…」

ロキ
「ルーシィ、レナ、アゲハ…」

オレ達の名を呼ぶロキ。その背後には星霊界への門が開かれている。

ロキ
「ありがとう、三人とも。そしてルーシィ、今度は僕が力になるよ。よろしく」

ルーシィ
「こちらこそ」

ロキは星霊界に戻っていくと、ルーシィの手のひらに一つの鍵が現れていた。

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