小説『IS~インフィニット・ストラトス~もう一人の男性パイロット』
作者:睦海(ハーメルン)

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第二十八話。おねーさま。

臨海学校の前日。僕は珍しく一人で学園内を歩いていた。誰かと一緒の事が多いんだよね。うん。
……何か視線を感じる。ぱっと後ろを振り向くけど誰も居ない。僕の勘違いかなぁと思い歩き出す。……殺気!?
「……ッ!」
「あら?」
体を屈めるとさっきまで僕の頭が有った場所を綺麗な足が猛烈な勢いで通っていった。見とれてませんよ?
その足がそのまま落ちてくる。踵落としの要領だ。その足を捕まえ、さらにもう一方の軸足にも僕の足をかけ、引きずり倒す。
「きゃあ!?」
「!?」
女性かよ!?僕の知り合いには足の綺麗な男性も居るし急襲だったから問答無用だけど女性やったら怪我させたくない!
「そいっ!」
「え!?」
更に強く足を引き、受け止める。……良かった怪我はさせなかった。
「チェック」
「あ」
と思ったら首筋に何かが当てられていた。……油断した。思わず動きが止まる。すると、相手が笑い出した。
「ふふ、可愛いわねぇ」
「……」
反論したいけど出来ない……と思っていると首筋から何かが離された。……扇子?
「さて。初めまして、IS学園生徒会長、更識 楯無よ」
彼女はそう言った。


IS学園は実力至上主義だ。それは生徒会執行部にも言える。IS学園生徒会長とはつまりIS学園最強を表す。つまり目の前に居る女性が、この学校で最強……。思わず見つめてしまう。
「……恥ずかしいわ」
と言いながら会長が扇子を広げる。そこには『照』と大きく書かれていた。
「何のようなんです?」
「せっかちねぇ……もてないわよ?」
「……ほっといてください」
ぐさっときたよぐさっと。泣きそうだよバカ会長。
「まぁ特に予定はないわ」
と言いながらまた扇子を広げる。『自己紹介』と書かれていた。さっき照てなってなかったっけ?
「今日は顔合わせと依頼よ」
「依頼?」
何を頼むつもりなのだろう。
「臨海学校の時、皆をよろしくね。……何だか嫌な予感がするの」
「……」
なるほど。まぁ、
「勿論」
当たり前のことだよね。
「ふふ、ありがとう」
そう会長が笑った。凄い綺麗だった。
「それじゃ今日はこの辺で。じゃあね」
そう言って会長は立ち去っていった。……不思議な人だったな。ま、
「頑張りますかね……」
そう言った僕は体を伸ばし、皆のところに向かった。何もないといいのだけれどもね。

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