小説『細菌汚染』
作者:紅桜()

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   「アタシらで決めたんだ」

   「アイツは無視するんだって」

   「アイツに関わった奴はまとめてツブしちゃえばいいよね?w」


 今日も、アタシに聞こえていると知りながら、友達だった女子たちは大声で話し合う。
 理由は何でもいい。教師と校則に縛られ、好き放題できないストレスを晴らすことができればそれでいい。



 自分さえ楽しければいいという考えの人間の屑達。




 高校に入って、直ぐに友達ができて、ああ、これから楽しい高校生活が始まるんだと思ったら、いきなり裏切られた。昨日、「また明日」と笑って別れたのに。
 リーダーは気の強い女子たち。我侭で殆どの人から嫌われてるのに、彼女についてる少数の人たちも、気が強いから、逆らえずにそっちにつく。




「駄目だよね」

「可哀そう」



 そう言ってくれても助けを求めるように視線を向ければ目を反らす。どれだけ可哀そう可哀そうって言っても、助けてくれなきゃあんたたちも同類なのよ、分かる?
 




   ターゲットはアタシだ 誰かが噂してんだ





 でも、もうわかりきってるから何も感じない。ああ、やっぱりね、くらいしか。噂するくらいなら、先生たちに言ってよ。どうして言ってくれないの、アンタ達もみじめなアタシを見るのが楽しいの?そうなのね?そうなんでしょ?



   「アイツってムカツカね?(笑)」




 なんか、そんな単純な理由なワケで。それだけのために今日もアタシは貶されて、笑われて、傷ついて。

 笑っちゃう





    細菌汚染にかかって

    キミはもう逃れられないや

    最近ココロも病んで

    痛い いたイ いタい いたい 痛い



 イジメという最近汚染にかかって
 関係無いと思っているキミも、もう逃げられないよ?
 なんだか最近ココロも病んで
 痛い いたイ いタイ いたい 痛い




   「タスケテ」




 って思っても、視線を向けても。
 みんな助けてくれない。
 味方なんてダレもいないんだ。
 



   「クルシイ」



 って思っても、家に帰っても。
 アタシの携帯電話に何回もアイツらがかけてくる。電話番号を変えても、取られて無理やり携帯を見られる。
 逃げ場なんてドコにもないんだ。





 家族に相談して、学校に言っても学校は知らんぷり。お父さんもお母さんも、怒って何回も行くけど、しまいには会うのも拒否。なんなの?それ?




 学校って、生徒を護るためのものじゃないの?




 なに?子供を護る気もないくせになんでここにいんのよ、なんで教師やってんのよ。
 学校の名誉を傷つけない様にって、自分の保身に走って、あれだけ先生たちが護るからねって言っておいて。
 






    「死ねば?」





 屑どもから言われ言葉を、私は言う。





 ある日、転校生が来た。
 彼女は、明るくてみんなも大好き。私とは大違い。
 だから、暗いアタシなんか相手にされないだろうと思ってた。会っても無視してた。どうせこの子もアイツらと同じ奴らだと勝手に勘違いしてた。




「つらいよね。先生たちは何もしてくれないの?」




 いつも通り、アタシしかいない帰り道。待ち伏せていたのか、彼女がいた。そして、悲しそうな顔をしていた。
 


「私は味方だから」



 味方?何それ?



「大丈夫。嘘はつかないから」



 嘘。嘘でしょ?嘘ついてるんでしょ?今。




   誰もかも蔑んだ

   アタシをどうしてやりたいの・・・?





 そうやって、喜ぶアタシを裏切って、悲しむ様が見たいんでしょ?




   ココロがコワレルんだ

   アタシはどこへと消えるの・・・?




 もう、何も信じられない。信じたいけど恐いから信じたくない。




 本音を言えば、




    誰かを道ずれにして

    誰かに移してやって
 
    早く楽になりたいよ





 最低なことだって分かってる。アイツらと同じだって分かってる。けど、もう限界。



    アタシに手を差し伸べて

    優しくしてくれたアナタへ

    「ゴメンね」って謝るから




 だから、だからだからだからだからだからだからだからだからだからだから。





  許してほしい

  移すことを





 
    最近汚染にかかって

    キミはもう信じられないや

    最近“ジョーシキ”も病んで
   
    綺麗にもいれないや


 イジメの標的にされて
 アタシは優しく手の差し伸べてくれるキミさえも、もう信じられないや
 最近、皆が言う“ジョーシキ”も分からなくなってきて
 綺麗な心のままいれないや







    細菌汚染拡がって

    キミは強くなりたいや

    最低生きられたって

    イタイ 痛い いたイ いタイ 痛い


 イジメはどんどん広がってひどくなっていく
 キミみたいに、明るく強い人になりたいや
 正直、死ぬのもありだと思うの けど、最低生きられたって・・・

 イタイ 痛い いたイ いタイ 痛い








 
 それからもしばらくアタシはいじめられ続けた。しかし、当分すると、イジメはゆっくりと無くなっていった。
 イジメが無くなるはずがない。そう、標的を変えただけ。
 厭きたから、違う玩具を見つけたの。






    細菌汚染も治って
    気分はもうよくなった
    あの娘に移したので
    あハあはアハあはハは



 イジメも無くなって
 気分はもうよくなった
 あの娘に移したから
 ・・・だから 





    細菌汚染にかかって
    傷はもう塞がんないや
    最短で飛び降りたって
    綺麗にも死ねないや



 イジメに一度かかれば
 抉られ続けた心の傷はもう塞がんないや
 あの娘のことを忘れて、全てを忘れてやり直そうとしたって
 アイツらと同じことをした最低なアタシは綺麗にいられない



 



    細菌汚染拡がって 
    キミらもう誰もいないや
    最終的は独りで



 イジメはこれからも標的を変えながら広がり続けて
 関係のないやつらはキミら、もう誰もいないや
 最低なことをしたアタシは イジメが終わっても最終的には独りで






 
    いたいい イタイ いタい 痛い いたイ 痛イ

    イたい イタい 痛い いたイ いタい いたい

    痛い
    



 〜END〜

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