小説『ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者』
作者:アカツキ()

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番外3 甘味

ライザーとのレーティングゲームが終わった数日後、特に大きな問題もなく普段どおりの生活を送っていた。ゲームでやられた小猫たちも元気になっていた。変わったことがあるとすればリアスが一誠に惚れてしまったのか一誠の家にアーシア同様にホームステイすることとなったこと位だった。闇慈は学校の授業を終え、部室に向かった。そして部室に着き、部屋に入ると小猫が相変わらず甘いものをほお張っていた。

「あれ?小猫ちゃんだけ?他のみんなは?」

「・・・まだ来てません」

「そっか」

闇慈は荷物を置くと小猫と向かい側のソファーに座った。小猫は食べるのを一時中断し、闇慈と向き合った。

「・・・闇慈先輩。ありがとうございました」

「ん?いきなりどうしたの?小猫ちゃん」

「・・・リアス部長から聞きました。レーティングゲームの時、私の敵を闇慈先輩が取ってくれたって」

「ああ。それなら気にすることはないよ?小猫ちゃん」

「・・・先輩はしなくても私は気にします。何か私にして欲しいことってありますか?」

小猫は小猫なりにそれなりの覚悟があるようだった。

「そうだね・・・あっ!!そうだ!!忘れてた」

「・・・?」

闇慈は鞄から二枚のチケットを取り出し、小猫に見せた。そして説明を開始した。

――回想――

「はい。闇慈。これあなたにあげるわ」

ある日、闇慈は母から2枚のチケットを貰った。

「ん?『ワールドスイーツフェスティバル・無料参加試食券』?これって年に一回、世界中の有名スイーツを楽しんでもらうための大きなフェスティバルの参加券?何で母さんがこれを?」

「商店街の福引きで当たったのよ。だから闇慈にあげるわ」

「でも母さんだって行きたいんじゃ?」

「あなた。後輩の娘の良い雰囲気なんでしょ?名前は確か・・・塔城小猫さんだったかしら?」

そのことを聞いた闇慈は驚いたように母に尋ね返した。

「なっ!?どうして母さんがそれを知ってるの!?」

「同級生のイッセー君から色々聞いてるわよ」

(・・・イッセー。今度あったら拳骨100発だよ)

「だから行ってらっしゃい。その方が親としても嬉しいものよ」

闇慈の母は闇慈微笑むようにそう促すと闇慈は笑顔で頷いた。

「分かったよ、母さん。ありがとう」

闇慈はその二枚の券を受け取った。

――回想終了――

そして説明をし終えた闇慈には小猫の目はキラキラと輝いて見えたらしい。それもそうだろう甘いもの好きの小猫にとっては思ってもいなかったことなのだから。

「小猫ちゃん。次の日曜日にこのフェスティバルがあるんだけど、僕と一緒に行ってくれないかな?」

「・・・闇慈先輩となら行きます」

「ありがとう。開始は午後3時からだけど、フェスティバルの場所はかなり遠いから二人で電車に乗って行かないといけないから駅に午後2時に集合ってことで良いかな?」

「・・・はい(これは・・・闇慈先輩とデート?///)」

小猫は照れている表情を顔には出さなかったが心の中では火照っていた。何にせよ闇慈は小猫を誘うことが出来たようだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

当日。闇慈は少し早めに駅に到着し、小猫を待っていた。考えてみれば闇慈は女子とこう言ったことは初めてらしく。少し緊張しているみたいだ。

(ふう。やっぱり少し緊張するな・・・)

ここでデスが闇慈の頭の中に呼びかけ、冷やかしをかけた。

(何だ?お前ともあろうものが緊張しているのか?)

(それは緊張しますよ。こう言ったことは初めてなんですから!!それからデスさん。小猫ちゃんと回っている時は頭の中に呼びかけないで下さいね)

(ふっ。分かっている。我は無粋な真似はしたはないのでな・・・そういっている間にお前の『姫(プリンセス)』が到着するらしいぞ?)

(デスさん!!)

(冗談だ)

そう言うとデスは引っ込んでしまった。そして小猫を見た。白のワンピースを装った小猫が闇慈の元に寄ってきた。あまりに似合っていたため闇慈は小猫に釘付けとなった。

「・・・すみません、闇慈先輩。遅くなりました」

「大丈夫だよ?小猫ちゃん。僕も今来たところだから」

「・・・そうですか。よかったです」

「小猫ちゃんの服装。とても良く似合ってるよ」

「あ、ありがとうございます。先輩の服も・・・カッコイイと思います」

闇慈の服は黒を中心とした服装でだった。メンパン・Tシャツ。そしてその上から半袖のジャンバーを羽織っていた。

「ありがとう、じゃあ行こうか?」

「・・・はい」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そして闇慈と小猫は電車を乗り継ぎ、フェスティバルの会場へと到着したが、有名なフェスティバルでもあるのか会場内は人でいっぱいだった。

「やっぱり人が多いね?小猫ちゃん」

「・・・はい。下手をしたらはぐれてしまいそうです」

「そうだね。何か良い方法は・・・そうだ」

闇慈は自分の右手で小猫の左手を優しく包んだ。

「・・・あ、闇慈先輩」

小猫はいきなり手を握られたため少し驚いたようだ。

「あ!ゴメン!いきなり手を掴んで。これならはぐれる事もないと思うし、嫌?」

「・・・嫌じゃないです(闇慈先輩の手・・・とても暖かいです)」

小猫は闇慈の温もりに安堵したのか、穏やかな表情に戻った。

「なら、良かった。じゃあ今日は楽しもう?小猫ちゃん」

「・・・はい」

こうして闇慈と小猫は会場内へと溶け込んで行った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「・・・♪」

フェスティバルが終わり、闇慈と小猫は実家に帰っていた。小猫は世界中のスイーツを楽しめたため、かなりのご機嫌のようだ。というよりほとんどのスイーツを堪能していたようだ。

「あはは。ご機嫌だね?小猫ちゃん」

「・・・はい。世界中のお菓子を食べることが出来ましたから」

「僕も誘ったかいがあったよ」

そう話している間に分かれ道に来た。ここで闇慈と小猫は分かれるようだ。

「・・・今日は楽しかったです。ありがとうございました」

「気にしないで?小猫ちゃんが良かったらまた行こう」

「・・・はい」

「じゃあ。また明日、学校で会おう」

そう言うと闇慈は小猫と別れ、実家に足を向けた。しかしその途中に巡礼服を着た二人の人とすれ違った。顔をフードをかぶっていたため見えなかった。闇慈は何も感じなかったが・・・

「・・・ん?」

「どうしたの?」

「さっきの男。異様な力を感じた」

「悪魔?」

「分からない」

二人の巡礼者は闇慈の力に気付いたのかそう呟いていたそうだ。

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