小説『ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者』
作者:アカツキ()

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第四十五話 旧魔王

闇慈が研究部員達の元に向かっている間、和平派は闇慈が倒した魔術師以外の連中と鉢合せの状態になっていた。そして時間が経って行き、会議室に突如現れた魔方陣を見て、サーゼクスは苦虫を噛み潰した様な表情をした

「・・・レヴィアタンの魔方陣」

しかしこの魔方陣はセラフォルーが何時も出している魔法陣とは異なっていた。ここで見覚えがあるのかゼノヴィアが声を発した。

「ヴァチカンの書物で見た事があるぞ。あれは旧魔王レヴィアタンの魔方陣だ」

そしてそこから一人の女性が出てきた。胸元が大きく開かれ、スリットも入ったドレスに身を包んでいる。イッセーが好みのそうな女性だ。

「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」

「先代レヴィアタンの血を引く者。カテレア・レヴィアタン。これはどういう事だ?」

サーゼクスの問いにカテレア・レヴィアタンは挑戦的な笑みを浮かべて言う。

「旧魔王派の者達は殆どが『禍の団(カオス・ブリゲード)』に協力する事に決めました」

カオス・ブリケードとは、この世界の『平和』を忌み嫌う集団で、破壊と混乱を巻き起こそうとしている・・・簡単に言い換えれば『テロリスト』である。

「新旧魔王サイドの確執が本格的になった訳か。悪魔も大変だな」

アザゼルは他人事の様に笑うが、今はそんなことを気にしている場合ではなかった。

「カテレア、それは言葉通りと受け取っていいのだな?」

「サーゼクス、その通りです。今回のこの攻撃も我々が受け持っております」

「クーデターか・・・カテレア、何故だ?」

「サーゼクス。今日この会談のまさに逆の考えに至っただけです。神と先代魔王がいないのならば、この世界を変革すべきだと、私達はそう結論付けました」

「オーフィスの野郎はそこまで未来を見ているのか?そうとは思えないんだがな」

アザゼルの問いかけにカテレアは息を吐く。

「彼は力の象徴としての、力が集結するための役を担うだけです。彼の力を借りて一度世界を滅ぼし、もう一度構築します。そして・・・新世界を私達が取り仕切るのです」

この時イッセーは和平の何が気に食わないのか疑問を抱えていた。

「・・・天使、堕天使、悪魔の反逆者が集まって自分達だけの世界、自分達が支配する新しい地球を欲した訳か。それのまとめ役が『ウロボロス』オーフィス」

「カテレアちゃん!どうしてこんな!」

セラフォルーの叫びにカテレアは憎々しげな睨みを見せる。

「セラフォルー、私から『レヴィアタン』の座を奪っておいて、よくもぬけぬけと!私は正統なるレヴィアタンの血を引いていたのです!私こそが魔王に相応しかった!」

「カテレアちゃん・・・。わ、私は!」

「セラフォルー、安心なさい。今日、この場であなたを殺して、私が魔王レヴィアタンを名乗ります。そして、オーフィスには新世界の神となってもらいます。彼は象徴であれば良いだけ。あとの『システム』と法、理念は私達が構築する。ミカエル、アザゼル、そしてサーゼクス。あなた達の時代は終えて・・・」

「下らないな・・・」

カテレアの言葉を遮り、第三者の声が響く。そして勢いよく会議室の扉が破壊され、入ってきたのはマントを身に纏い、デスサイズ・ヘルを右肩に担いだ闇慈だった。初めて闇慈の死神の姿を目にするアザゼル、ミカエル、セラフォルーは闇慈をじっと見ていた。

「貴方は・・・黒衣の死神!!どうして貴方がここに!?私の部下たちが貴方を亡き者にした筈!!」

「俺はあんな連中に遅れを取るほど柔じゃない。それにあいつ等には・・・『自分自身』にやられてもらった。こんな風にな・・・」

闇慈は再び『真紅の魔眼』を発動させ、逆五芒星が刻み込ませると、闇慈の足元の『影』がゆっくりと出てくるとそのままカテレアの顔を掠め、壁に突き刺さった。初めて見る闇慈の技にイッセーは疑問の声を上げた。

「な、何だよ!?アンジ。その技は!?」

「これが俺の新しい技・・・[影の支配者]『シャドゥ・ルーラー』だ。自分の視界に存在する『影』を自由自在に操ることが出来る」

「・・・成る程。『自分自身』にやられて貰ったと言うことは私の部下の影を支配して倒したと言うことですか」

「ご名答だ。話は変わるが貴様のさっきの言葉には下らないの一言だな。コカビエルにも言ったが、力で支配した世界に何の価値がある?そして他人の力を借りて、奪われたことに仕返しをする・・・まるで『子ども』だな。そんな奴が世界を管理する一角に入るだと?笑わせてくれるな。いや、寧ろ哀れに思えてくるな。それなら周りのことを良く考えているセラフォルー様の方がレヴィアタンの名前を持つ方が良いと思うがな。貴様はもう、どうしようもない奴だ・・・」

「アンジくん・・・」

セラフォルーは闇慈の言葉が嬉しかったみたいだ。しかし、闇慈がカテレアに対する哀れみの言葉を言った瞬間、魔力弾が闇慈に直撃した。カテレアが闇慈に撃ったらしい。魔力弾は破裂して、闇慈の周りには煙が立ち込めた。

「死神ごときが私に意見するなんて・・・あの世で後悔しなさい」

「アンジ!!なんてことを!!」

リアスが怒りの声を発するが、煙が晴れると何も無かったように闇慈が立っていた。

「どうして!?私の魔力弾は貴方を捉えた筈!!」

「それはこの『マント』のお陰だ。このマントは唯のマントじゃない。魔力を弾く能力がある・・・つまり、魔力を使った技は俺には効かない。名前は・・・そうだな、[AMCマント]。通称『アンチ・マジック・コーティング・マント』とでも言っておこうか」

「良いネーミングセンスしてんじゃねえか、黒衣の死神」

「アザゼルさん。僕には黒神闇慈って名前があります。出来ればそっちで呼んで下さい」

「くっ・・・やはりあなたは我々にとって危険因子の様ですね!ここで消えて貰います!!」

「世界を滅ぼそうとする貴様が言った口か?どう見ても貴様らの方がよっぽど危険なように思えるが?部長。あの人は俺がやります。部長はギャスパーを助けに行ってやって下さい」

「アンジ!?貴方本気で言ってるの!?彼女は旧魔王なのよ!?幾ら貴方がコカビエルを倒した力を持っているとしても一人では・・・」

リアスが闇慈に反論をしたがサーゼクスが言葉を発する。

「リアス。ここは彼に任せよう。私たちはここを守らなければならない」

それにミカエルが続ける。

「そうです。貴女の眷属が捕まっている以上、再び時間を止められてしまう可能性があります。ここは一刻も早く貴女の仲間を救出するべきです」

「お兄様。ミカエル様」

リアスがしばらく考え、闇慈に頼んだ。

「アンジ。ここは貴方に任せるわ。しかしこれだけは約束して頂戴!!死んじゃダメよ!!」

「勿論です!!」

それを聞くと闇慈とアザゼル以外はその場から居なくなり、それぞれの役目を開始した。そして三人は会議室から飛び出し、空に飛び上がった。

「さてと・・・覚悟して貰おうか?カテレア」

「貴方ごとに遅れてはレヴィアタンの名前が廃れてしまいます。貴方を倒し、私こそがレヴィアタンの名前を持つのに相応しいことを証明してあげましょう!!」

それを聞いたアザゼルはここでカテレアに言葉をかけた。

「やっぱりおまえは石頭だな。言葉が陳腐すぎるぜ。はっきり言って傍迷惑だぜ。レヴィアタンの末裔。お前の台詞。一番最初に死ぬ敵役のだぜ?」

「アザゼル!!貴方は何処までもわたしたちを侮辱する!!」

「思ったことを言っただけだ。・・・黒衣の死神。ここは協同戦と行こうぜ?」

「それは心強いな。でも好い加減、俺の事を名前で呼んでくれないか?」

「それはこの戦いで決めてやるよ」

「なら。尚更負けるわけにはいかないな!!」

闇慈とアザゼルが肩を並べ、闇慈はデスサイズ・ヘルを、アザゼルは光の槍を取り出し、身構えた。

「一人増えたことで何も変わりません。すぐに消してあげましょう!!」

「そんな減らず口が何時までも言いえると思うな!戦いを生み出す権化が!!貴様らのようなのが居るから、戦いが終わらないだ!!ここで俺が貴様に・・・『死』を見せてやる!!」

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