小説『ボカロ日常記録帳』
作者:螺旋()

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〜昼〜


うう、久しぶりだなぁ、この高揚感!

俺は大きく、深呼吸した。

あの後姉ちゃんと相談して、行き先はアニメイトに決定した。

それで今アニメイトにいるわけだが、ボカロがいると大人数で他人の邪魔になって迷惑になるから家で留守番をしてくれるよう頼んで、俺と姉ちゃんで来た。

ボカロたちはもちろん「ついていく!」と反論したが、姉ちゃんが事情を説明して、納得がいったのか、渋々といった様子だったがとりあえずついてはこなかった。

というわけで、俺は今アニメイトにワクワクしているのであります!

「わぁ、すごーい。恋は戦争のフィギュアだ!・・・・・・高っ」

箱の裏に書いてある値段を見て、姉ちゃんが顔を歪める。

まぁ、それなりに大きいフィギュアだし、フィギュアなんて大体そんなものだ。めっちゃ高い。

どこにそんなに金かけてんだ?知ってる人がいたら俺に教えてくれ。

そんなことを考えながらボカロコーナーを見渡し、とりあえず欲しかったCDを手に取った。

欲しかったんだよね、このCD・・・!

すると、姉ちゃんが、

「ああそうだ、海斗、はい、お小遣い」

と言って2千円を渡してきた。

「ちょ、今?」

嬉しいけど、今ここでかよ。

「そのCD丁度2千円でしょ?本当は千円のつもりだったんだけど、2千円に奮発してあげる。このお金でそのCD買いなよ!」

そう、笑顔で姉ちゃんが2千円を俺に差し出す。

うおお、俺弟でよかったぁぁぁぁ!!姉ちゃんの弟でよかったぁぁぁぁ・・・!!!

「ありがと、姉ちゃん!!」

そう言って俺はCDと2千円を持ってレジに並んだ。

本当はもっと見たかったんだけど、今日はボカロを買うって決めてる。誘惑に負けて何か違うものを買ってしまったら、新しいボカロが買えなくなってしまう。

見れば見るほど、欲しくなるからな。少なくとも俺は。

そうして会計を済ませ、俺は姉ちゃんと外に出た。

「姉ちゃんは何か買ったのか?」

俺がそう聞くと、

「ううん、買ってないよ。私ね、楽譜欲しいから」

と言われた。

姉ちゃんは、ボカロ曲の楽譜をいっぱい持っている。また増やすつもりらしい。

もう、いい気がするんだがなぁ・・・。

「さ、楽器売り場行こう!」

と姉ちゃんに手を引かれ、大型デパートの中に入り、楽器や楽譜など、音楽関係の物が売っている場所に着いた。

「海斗、じゃあ私は楽譜売り場にいるね」

そう姉ちゃんは言い、『楽譜』と大きく書かれた場所に行った。

さて、俺もボカロを探すか・・・。

・・・探すまでもなく、後ろを向いたらあった。

そこには、ボカロのソフトがズラリ。

『初音ミク』、『鏡音リン・レン』、『巡音ルカ』、『KAITO』、『MEIKO』、『GUMI』、『神威がくぽ』、『IA』、『蒼姫ラピス』、『CUL』、『結月ゆかり』、・・・・・・。

俺は目を輝かせながらそれら一つ一つを手にとってじっくり見た。

ああ、あれも欲しい、これも欲しい・・・!

言えば、キリが無い。

そして、俺はGUMIを手にとって、レジに行った。

アニメイトやここに行く前から決めていた。俺は、今日はGUMIを買うと。

あああああああ、早く家に帰ってGUMIをインストールしたい。早く声が聞きたい。会いたい。全身をじっくり眺めたい。

・・・最後の変態発言とか、言うなよ。

どうでもいいことだが、俺は、一番初め、初音ミクを買った。

その時はすごくドキドキして、うまくインストールできなかったらどうしようとか、金は損にならないかとか、乾坤一擲の挑戦のような感覚だった。

大袈裟すぎるとか思うかもしれないが、本当にそうだったのだ。今もそうだ。不安と期待が心に入り混じり、とても複雑な心境なのだ。

とりあえず、買った。

ああ、ドキドキする。姉ちゃんまだかな。

そう思って楽譜売り場を覗くと。

――大量の楽譜を抱えた姉ちゃんが、せっせとボカロ楽譜を探していた。

・・・あんな人知りません。他人です。

そう言いたくなるぐらい、姉ちゃんは大量の楽譜を抱えていた。

恥ずかしい・・・!

「ね、姉ちゃん、さっさと会計してよ!俺もう帰るよ!?」

「えー・・・」

と姉ちゃんが「もっと探したい」という目線をこちらに向けた。

「じゃあ、俺帰るよ!!」

「もう、わかったよ。だから待ってー」

姉ちゃんがレジに向かう。

会計を済ませ、俺の所に来る。

「なんでそんなに急かすかな、海斗は」

「自分の姉ちゃんが大量の楽譜抱えながら楽譜漁ってたら誰でも帰りたくなります」

わかってくれ。弟の心境を。

そんなわけでまぁ、俺と姉ちゃんは家に帰った。

ミクとリンに、「新しいボカロ買った!?」と聞かれたのは、言うまでも無い。

――さて、インストールするか。






-15-
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