〜夜〜
「じゃあ風呂入るわー」
そう言った俺に、姉ちゃんが、「あ、私が先入りたーい!」と言ってきた。
なんだよ・・・せっかく準備万端で風呂場向かってたのによ。
ボカロは機械だから風呂に入らない。だから、みんなそれぞれ好きなことをやっている。
「ごめんごめん、ちょっと急がなきゃいけない予定があってさ」
姉ちゃんが申し訳なさそうに風呂場に向かう。
「予定、って・・・もう夜だぞ。・・・・・・って、お?」
夜?夜の予定?夜の営みぃぃ!?←
姉ちゃんが鼻歌を歌いながら俺の隣を通り過ぎていく。
「姉ちゃん、夜の予定、といいますと、営みのことですかなぁ!?」
俺はさぞいやらしい視線を姉ちゃんに向けているのだろうが、気にしない。
すると姉ちゃんが振り返って、
「・・・海斗の変態!!誰が夜の営みよ!?氏ね!!氏ね!!」
と今まで聞いたことのない大声で怒鳴られた。
ボカロ全員が一斉にこちらを向く。
姉ちゃんでも「氏ね!」とか言うんだなぁ・・・。そんなことを思っていると、GUMIが、
「マスターが変態だってことはPCに入った時点で分かっていたけど、自分の姉にすらそういうことを言うのか・・・新発見」
と言いながらメモ帳にメモっていた。
「ちょーーー!?何やってんのかなGUMIさんんんん!?」
俺が必死になってGUMIのメモ帳を取ろうとすると、
「マスター、事実は知っておかないと☆」
と満面の笑みで言われた。
いやぁ、そりゃ事実だけどさぁ・・・知らなくてもいい事実だよ。それ。
つか、PCに入った時点でわかってたとか。地味に傷つくなぁ・・・。
GUMIはメモ帳をしまうと、さっさと自室(女部屋)に戻って行ってしまった。
この家には、俺の部屋、姉ちゃんの部屋、ボカロ用女部屋、ボカロ用男部屋がある。
って、そんなことどうでもいい。
GUMIって意外と毒舌なのかもしれない。
そう、俺は学んだ。
ちなみに、姉ちゃんの「予定」とは、コンビニまで行ってコーヒーを買ってくることだったらしい。
勉強するので、途中寝落ちしないようにコーヒーが飲みたかったらしいのだが、冷蔵庫開けたらコーヒーが切れていたとか。
ごめんよ、姉ちゃん。