〜翌朝〜
「海斗!」
姉ちゃんが勢いよくドアを開ける。
「いつまで寝てんの・・・って、海斗?」
俺だって、好きでこんな時間(只今12時)まで寝てるんじゃない。
具合が悪いんだよな・・・なんか。
「海斗、大丈夫?具合悪そうだけど」
はい、悪いです。
姉ちゃんが俺の額に手を置く。
「うわっ、熱っ!海斗熱あるよ。大丈夫?ちょっと待っててね、お粥作ってくるから」
「あざます・・・」
こういうところで気が利くから、いいよなぁ。姉ちゃん将来絶対いい奥さんになるだろうな。
って、何考えてんだ、俺は。
姉ちゃんはまたまた勢いよく俺の部屋を出て行った。
その瞬間。
ピーンポーン♪
家のチャイムが鳴った。
「はいー」
出たのはレンだろうか。
「どうも、諒といいます海斗の友達ですー」
諒!?
なんでいるんだ。
「はいー」
と言ってレンがドアを開ける。
待て、開けるな!
こんな弱弱しい姿、諒に見せられるか。
俺のプライドが、ダメだと叫んでいる。
が、もう遅かったようだ。
姉ちゃんが開けっ放しにして行った俺の部屋のドアが、閉まる。
「よう、海斗」
「おお・・・諒」
あーあ。もういいや。うん。
「お前、熱出すとかざまぁwww」
「やめろしw人が熱出してんのにざまぁとかwつか、なんで俺が熱出してんの知ってんの」
「携帯にメールが来たんだよ」
「誰から」
「ネル、って奴から」
「ネルぅぅぅぅ!?」
何でネルが諒のメルアド知ってんだよ!?
諒がこの前来たのは、ネルが生まれる前だ。何でだ。何でなんだ!?
「はーい、お呼びでしょうかマスター」
ネルがやる気なさそうに、携帯をいじりながら俺の部屋に入って来た。
「お前、なんで諒のメルアド知ってんだよ!?」
「この前マスターが寝た後マスターの携帯からメルアドパクった」
「はぁ!?」
勝手になにしやがるこいつ!!
幸い(?)秘蔵データは入ってないが、男友達とのメール(変態的やりとり)が残ったままだというのに・・・!!
「大丈夫マスター、マスターが変態だってことは誰もが承知済みの事実だから」
「それ以上言うなぁぁぁ!!!」
俺は熱があるにもかかわらず大声を張り上げたせいで、咳き込んでしまった。
「マスター・・・無理しないでよ。マスターの代わりはいないんだから。あの陽気姉ちゃんじゃ務まんないんだからね」
「俺が死ぬみたいなこと言うなし」
「死ぬかもしれないじゃん」
「死なねぇよ!」
「それならいいけど。っつか、バカは風邪ひかないって嘘だね。まぁ、この調子じゃ死ぬことはない(と思う)からいいけど」
と言ってネルは俺の部屋を後にした。
「と思うってなんだ・・・」
諒が笑う。
「はははwwwでもよ、それってつまり、お前、ボカロに必要とされてるってことだろ?嬉しく思えよ」
あ・・・まぁ、そういうことか。
「いや、嬉しいけどよ・・・」
「・・・www」
「え、何笑ってんだよ気持ちわりぃ」
「wwwwwwwww」
「なんだよwww」
と、そこでドアが開いた。