小説『ボカロ日常記録帳』
作者:螺旋()

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――諒視点――

〜昼〜


「……」

「……」

俺は、海斗の眠るベッドの横で考え事をしていた。

―まさか海斗が熱を出すとは。

俺よりバカ(のような気がする)なのに熱出すなんて。

何かあったんだろうか?

まぁ、俺が心配したところで何が変わるってわけじゃないけどな。

…海斗。

いつまで、俺らは続くんだろうか。

俺は中学生の頃友達なんて全然いなくて、挙句の果てになんにも出来なくて。

学力だって決して高いわけじゃないし。

だから、高校に入ったら俺は変わるって決めたんだ。

もう、あの頃の俺じゃない。誰も前の俺を知らないこの場所で、新しい俺になるって。

そこで、最初にできた友達が、――

海斗なんだ。

冴えない顔してるし、ごく普通で平々凡々な庶民だけど、海斗といると楽しかった。

高校に入って海斗に出会って、友達になって、笑いあって。

海斗は、ずっとそんな世界で生きてきたのかと思うと羨ましくて、妬ましくて。

でも、楽しいことに変わりはなかったから。

海斗と友達になれて本当によかった。俺はそう思った。

俺の人生に彩りと笑顔を加えてくれたのは海斗だ。

でも、やっぱり妬ましかったんだな。

海斗が他の友達と仲良く笑いあってると、イライラする。

独占欲。そうなのかもしれない。

仲がよくなればなるほど、それは許せないことになっていった。

なぁ、海斗。

お前は裏でこんな風に思ってる俺を知ったらどう思うだろうか。

離れていくだろうか。

離れていくんだろうな。

海斗は優しい。

それは俺だけじゃなく、みんなに優しい。

それが許せないなんて、俺はなんて嫌な人間なんだろうか。

きっと、そのうち海斗も俺の本性がわかるだろう。

せめて、そのときまで。

海斗と仲良くしていたい。

笑いあっていたい。

楽しいままで。

なぁ…

海斗――………






-20-
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