〜夕方〜
夕日が綺麗だ。
そんなことを自室の窓際で思っていると、ボカロたちの騒ぎ声が聞こえた。
どうせ、夕飯の準備で皿でも割ったんだろ。
俺の家には、俺、俺の姉ちゃん、そして大勢のボカロが住んでいる。
親からは、毎月生活費が送られてくる。
姉ちゃんもバイトをしているので、お金にはあまり困ってはいない。
――1週間後から、学校が始まる。
気分は重くなるばかりだが、多少の楽しみもある。
久しぶりに友達に会って、春休みにあったことを存分に話し合いたい。
そんなことを考えながら黄昏ていると、部屋のドアノブが開く音がした。
「マスター、ご飯」
とボカロの『KAITO』が俺を呼びに来た。
カイトは、俺と同じ名前だが、性格が全然違う。
俺の持っているボカロの中で、一番大人しいのはこいつかもしれない。
アイスを溜め込むせいで、カイト専用の『アイス保管冷蔵庫(ただのちっちゃい冷蔵庫)』を買わされたこともあったが。
「はいはい、今行く」
そう言って、俺はリビングに向かった。
たまには、黄昏るのも悪くないな。